Secret Kiss ── in the morning




 かすかな息苦しさに目を開けると、いつもとは少し違った景色がランディを待っていた。

「え……? っと、…………」

 オリヴィエ様、だよな。

 自分の腕が他の人を抱いて眠るわけがないのに、思わず確認をしてしまう。

 顔を上に上げると、見慣れた金の髪と静かに息をする女神──と呼ぶにはいささか語弊
がある──の穏やかな寝顔があった。

 それにしても、この体勢はどうしたものか。

 ランディの目の前には、案外と逞しい、オリヴィエの胸がある。つまりオリヴィエが胸
の中にランディの頭を抱え込むようにして眠っているわけで。

「オリヴィエ様……、オリヴィエ、肩冷えちゃいますよ」

 腕を伸ばして触れると、白い肩は案の定すっかり冷たくなっていた。

 もぞもぞと腕の中から抜け出し起きあがる。女神の瞼に暁の使者が訪れる気配はない。

 それでも万が一にも起こしてしまうことのないようにと、ランディはそっと、オリヴィ
エの肩と腰の下に手を入れ力をなくした身体を引き寄せた。

 冷たい肩に唇を押し当てる。しばらくそのまま動かずにいると、唇の触れたところに温
もりが戻ってくる。唇の間から熱く濡れた舌を押しつけて、味わうように口づけを繰り返
すと、オリヴィエを温める以上に自分が熱くなってしまいそうで、ランディは慌てて顔を
離した。

 自らを落ち着かせるように息をついて、髪を掻き上げる。

 白い頬にかかる髪をそっと払って、目尻のほくろに唇を落とした。

 シーツを持った手をオリヴィエの肩に回して、端から身体が出ていないことを確認する。
そのまま身を横たえると、ちょうど目の前に穏やかな寝顔があった。

 驚いたように空色の瞳が見開かれ、すぐに優しい笑みを湛える。

 そっと唇を触れ合わせ、ランディは微睡みの湖畔へと足を踏み出した。


                                    fin.
in the midnight
   



こめんと(byひろな)     2001.10.20

オリヴィエ様お誕生日おめでとうございますv の、風夢第2弾。風様編。
オリヴィエ様が「寝込みを襲う」なら、ランディくんは「寝姿にときめく」ですか!?(爆笑)──ってだから私ってば……(^^;)。ごめん、ランディ(笑)。でも寝ているヴィエ様の肩舐めちゃうなんて、ちょっと今回大胆なコトしてます(たったそれだけで大胆とか言われるうちのランディって……)。
起きてるとなんだかんだで言い負かされちゃいますが(^^;)、眠ってるオリヴィエ様は無防備で、綺麗で、愛しいこの人を幸せにしたい、という想いを募らせるには充分ですね(#^.^#)。ヴィエ様、『─in the midnight』でも書きましたが寝起きが悪いという設定なので(笑)、そしてランディくん早起き健康優良児なので、彼は朝陽の中の眠るヴィエ様を見るのが日課(!)になっています(どんどんふくらむmy設定・笑)。



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