Summer Day

「う゛あっぢー……」
 ウナ
 呻るように言葉を押し出したゼフェルに、ランディは呆れた顔をした。
「しょうがないじゃないか、夏なんだから」
「しょーがねーだろーがなんだろーが、あっぢーもんはあぢーんだよ」
 額にかすかに汗を浮かべながらも、ランディは全然へっちゃらな顔をしている。一方の
ゼフェルはというと、両腕をだらしなく窓枠にもたれさせて、でろ〜んという擬音そのま
まに身体を伸ばしていた。反った喉元、褐色の肌に汗の玉が浮かび、静かに滑り落ちる。
「でも、ちょっと意外だな。ゼフェルが夏嫌いだなんて」
 呟いて、ランディは首を傾げた。
「あぁ? ダレもキライだなんて言ってねーだろ」
「え? だって……」
 さっきから文句ばっか言ってるじゃないか。
                                    イブカ
 言いかけて、ランディはふと口をつぐんだ。くすっと笑う気配に、ゼフェルが訝しげな
視線を向ける。
「そっか。──ゼフェル、夏好きだよね?」
 一転、さっきと正反対のことを言うランディに、ゼフェルが片側の瞳を大きくする。
 あぁ? ナニ言ってんだおめぇ。
 言わなくても聞こえる台詞に、ランディが初夏の風のような笑顔を浮かべた。暑さも忘
れ、ゼフェルが見とれる。
「──だってゼフェル、俺のこともいつも文句ばっかりじゃないか」
 そう言いつつ、ランディは嬉しそうな顔をしている。
                                  ワメ
 ゼフェルは思わず寄りかかっていた壁からずり落ちて、慌てて体勢を整え喚いた。
「なっ……、ナニ言ってんだてめ……っ」
「ゼフェルって、ほんとに嫌いなものは、嫌いだって言って終わりなんだよな。だからい
ろいろぶつぶつ文句言うのは、結局好きなんだよ」
「だっ……から、てめ、黙れッ!」
「──当たり?」
 紅い瞳を覗き込んで、空色の瞳が楽しそうに瞬いた。
 ゼフェルは息を吸い込んで、何も言わずにただ長くため息をついた。腕と頭を窓枠に置
き直し、深呼吸をする。汗で黒いランニングの張り付いた胸が、ゼフェルの呼吸に合わせ
て上下した。
「……勝手に言ってろ、バカランディ」
「うん」
 あっさり返して微笑むと、ランディもゼフェルと並んで壁に寄りかかる。目を閉じて、
ことん、とランディの頭がゼフェルの肩に落ちた。汗ばんだ腕が、かすかに触れる。
「ランディ、あちーだろ、離れろよ」
「俺は暑くないもの。気持ちいいよ」
 小さく舌打ちして、ゼフェルも目を閉じる。
 やがて、2人の穏やかな寝息が、かすかな夏の匂いとともに部屋を満たした。


                                           fin.



こめんと(byひろな)     2001.3.6

短い(きぱっ)。そしてランゼともゼフェランともつかぬお話(いや、ランディの方がヨユーっぽいから、これはランゼかな。私の書くゼフェランだと、ゼーがもっといぢわる。……でもくすっと笑って覗き込んじゃうあたりが、ランディくん、確信犯(苦笑))。そして突発的にプラチナさんへの贈り物。そしてさらになぜか夏(笑)。
っつーか、なんで2月(書いたのは2月)に夏のハナシ書いてンだ!?って、思いますよねー……(^^;)
『永遠のヴァカンス〜La Foret〜』のゼッくんの語りがさー、なんかどーっしてもランディ相手みたいに聞こえてしまって(この時点ですでに重症)、しかも超真夏なランゼ(?)が浮かんでしまって、部屋の掃除途中だったのにほっぽりだして書いてしまいましたのことでしたのよ。
でもさ。
聖地って、常春なんじゃなかったっけ?(笑)
ココは聖地とは違うトコ?
なんか、フツーの(?)、ちょっっぴりホモテイスト入った少年たちのハナシって感じぃ〜(爆)。
ああ、ちなみに。
ホントはゼッくん、『ヴァカンス』の語りの中で「オレは汗かくの好きだぜっ」と、言っております(フォロー?)。


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