春にして君を想う


 やけに眩しいと思ったら。
「──ああ、いい天気」
 雲ひとつない青空なんて、珍しい。
 穏やかな、と形容される春だけれど、その天候は意外と移ろいやすい。先に待つ夏の暑
さを思わせるような鋭い陽差しを投げかけたかと思えば、急に冷めた表情をしてみたり。
激情のままに吹き荒れもするし、大雨をこぼして泣いたりもする。
 そう、まるで。
「ああもう……っ!」
 我知らず思い浮かべた顔を打ち消して。
「いい加減、解放してくれてもいいんじゃないの」
 思い出すのは、この青空のような。


『永遠の愛なんて信じているの』
 信じたい、と彼は言った。
 本当にそんなものの存在を信じられるのなら、信じるという言葉は必要ない。そんなも
の、在りはしない。
『先のことはわからないけれど、でも俺は、今の自分の気持ちを信じたい。この想いが、
ずっと続くって』
 永い時間が流れても。どんなに遠く離れても。
「馬鹿らしい」
 どこまでも続くのは空だけだ。
 そう、この世に生まれて命を永らえている限り、いつでもどこでも空は必ず頭の上に広
がっていて。そのときどきの表情で、気まぐれに人の心を翻弄する。
「──どうして空なんかにたとえてしまったのかな」
 そうでなければ、逃れられたかも知れないのに。
 まだ太陽の方がいくらかましだ。星々が子守歌を口ずさむ間くらいなら、心の平穏を保
つことができる。
「空なんか……何もないのに」
 それでも人は、天に向かって手を伸ばす。
 救われないと、わかっていても。


「ああ、もう……。──いやになるほど、いい天気だね」
 空に向かって唾棄するなんて、これほど無駄なこともない。どんな恨み言を言ってみて
も、どうせ聞こえるわけがない。
 掴めない空、届かない声。苛立ちが募る。
 それなのに。
 思い出すのは、今日のような穏やかな春の陽差し。雲ひとつなく晴れ渡った空の色。
 鼓膜を震わせる、力強い羽ばたきにも似た足音。目を射る光をものともせず、天高く飛
んでいく鳥のような……。
「ほんとに、いやになるくらいに……」


                                        fin.


こめんと(by ひろな)          2002.3.31

……………………(無言)
ええと……どうしていつもこうなってしまうのでしょうかしら(苦笑)。
ランセイです。
ええ、ランセイなんです。ランディ様出てきていませんが、セイランさんもはっきりとこの人がセイランだと明記はしていませんが! ランセイなんですよこれは。
3月28日ランディ様のお誕生日当日、私は有休を取って一日ランディ様のことを考えてうっとりする日、と決め、90%くらいその通りに過ごしました。上旬のあたたかさが嘘のように冷え込んでいた1週間、しかしこの日はあたたかく、空もよく晴れていて、雲ひとつない綺麗な青空。そんな中、空を眺めながら散歩しながら、──浮かんだのがこんな話とわ(^^;)。私、荒んでる?(^^;)
空を見上げて、その美しさに、その向こうの儚さに、思いを馳せる。──そうすると、私の場合こんな感傷的なランセイが浮かぶらしいです。まったくもう(笑)。たまには幸せなの書こうよ。っていうか二人一緒なのを書こうよ(爆)。
人生はままならないことがとても多いです。人の心ももちろん。運命とか、使命とか、願いがあったらなおのこと。煩わされるのはいやなのに、それでもその記憶をなかったものになどできはしない。ことあるごとに、忘れるのは許さないとでも言うように甦ってきて。
「好きだ」とか「会いたい」だとか、そんなことは逆立ちしたって言えそうにないセイランさんの、ランディへの想いを。
この春の空は、少しでも癒すことができるでしょうか。


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