衝動


 ゼフェルのことが好きだから、とランディは抱かれることを拒まなかった。それは半ば
予期していた答えのようでもあり、意外な答えにも感じられ……。
 どちらにしろ、ゼフェルはランディを抱きたかった。触れたいだけでなくて、抱きたい
と思った。それは、いつもどこか“先輩”であることを伺わせる言動をするランディを、
自分の支配下に置きたいという気持ちもあったのかも知れない。
「いやじゃないけど、……恥ずかしいよ…………」
 囁くように告げた唇に、口づけた。そのまま押し倒してシャツのボタンをはずし、しな
やかな筋肉を辿るように手を這わせる。そこからはもう、何も考えられなかった。ただ身
体が動くままに、ランディの身体を撫で、口づけ、舌を押しつける。触れるたびに身体が
揺れる。確かな反応に勇気づけられて、ゼフェルはさらに愛撫の手に力を込めた。
「あ……っ」
 思わず上がったその声に、ゼフェルの手が止まる。ランディは両手で口を覆って真っ赤
になった。
「おめー……、──そんな声だすんだ」
「ッ……、」
 顔を背けたランディの首すじに顔を近づけて舌を伸ばす。ぴくんと首を隠すようにすく
められた肩を押さえて、耳朶に舌を這わせた。
「ランディ……もっと声出せよ……」
「っ……や、だ……っ」
「なんで」
 耳の後ろを舐めながら低く問いかけてやる。その間も身体を辿る手は休みなく動いてラ
ンディの快感を引き出している。
「んっ……」
「ランディ」
「ぅっ……ゼ、フェッ……、あっ……!」
 脚の間に触れられてランディが身を捩った。滑らかな喉を見せつけるように反らせて、
小さく叫びが上がる。喉元を咬むように口づけると、息を飲む動きが触れた舌に伝わって
きた。
 右手で肩を押さえたまま、ランディの情熱を握る左手の動きが大きくなる。
「あっ……ゼフェ……っ、んっ……」
「ランディ、もっと声出せよ」
 ふるふると首が左右に振られる。ちっと舌打ちをして、ゼフェルは左手の人差し指でラ
ンディの先端を強く擦った。
「ア……ッ!!」
 大きく背をを反らせ、手足の指がシーツを掴んだ。苦痛をこらえるように歪められた眉
にかかる前髪が、汗で張り付いている。汗を舐め取るように口づけて、熱を持って潤んだ
瞳を見下ろした。
「ランディ……好きだぜ」
「……!」
 びくりと身体を揺らし、ランディが目を見開いた。ゼフェルの手の中にもその動揺が伝
わる。かあぁ……っと見る間に顔が赤くなり、首筋にまで広がっていく。
「ッ……ずるっい、ぞ……そんなの」
「なにがだよ」
「だって……っ」
「好きなヤツに好きだって言うのがずりーのかよ、じゃあもう言わねーよ」
 怒ったように目を逸らす。もちろんわざとだ。ランディが慌ててゼフェルの腕を掴む。
「ちがっ、そうじゃないよ! そうじゃなくて……っ」
 羞恥と困惑に瞳が揺れる。もっとその表情を見ていたくて、ゼフェルは追い打ちをかけ
た。
「じゃあなんだよ」
「そんな……こと、言われたら……」
「そんなことってなんだよ?」
「! ゼフェル、意地悪だぞ……」
「オレが意地悪なのは前からだろ」
 今さらなに言ってんだ。わざと冷たく突き放した言い方をする。
 ゼフェルの顔と自分の手と、シーツとベッドサイドに落とされた服と。落ち着きなく視
線を動かして、もう一度ゼフェルの顔に目を向けると、ランディは静かに瞳を閉じた。ゼ
フェルの腕を掴んだままの手に額をつける。本当はもっとちゃんとゼフェルに身を寄せた
かったけれど、壊れそうな鼓動を聞かれてしまうのがこわくてできなかった。
「ゼフェルに……、おまえにそんな、好きだなんて言われたら…………もう俺、なにも逆
らえない、なにも言えないよ……」
「フッ……、言ってんじゃんかよ…………」
 顎に手をかけて揺れる視線を向けさせると、ゼフェルは優しく微笑んだ。ほっとしたよ
うにゆるむ唇に口づける。さっきまでとはちがう衝動が、ゼフェルの身体を動かしていた。

                                         おわし!

こめんと・ばい・ひろな  2000.11.5
ぎゃー! 初のラン受け! 初の鋼風!
何考えてんだ自分!
てゆうかゼフェル、意地悪さん……///
でも互いに惚れた弱みな感じですな。




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