マルセルの身体を静かにベッドに下ろすと、オスカーはそのまま額にキスをした。こめ
かみ、頬と降りてきた唇が、マルセルのそれに軽く触れる。優しく髪を梳いて、アイスブ
ルーの瞳が真っ直ぐマルセルを見つめた。
「マルセル、──愛している」
 熱い囁きとともに熱を持った手がマルセルの顎を捉え、深い口づけを施される。マルセ
ルは力の抜けた身体が嵐の中の船のようにオスカーに翻弄されるのを感じながら、逞しい
背に腕を回した。
 唇を離し、オスカーが緊張した面持ちのマルセルに気づく。
「こわいか……?」
「はい……。でも、──でも」
 もっと触れたい、もっと触れられたい。
 想いを込めて、シャツの背をきゅっと掴む。応えるようにオスカーが頬に落とした口づ
けを耳元まで滑らせ囁いた。
「マルセル、愛している。──この世の誰よりも、何よりもおまえを大切にしよう」
「ん……っ」
 耳から入り込んだ言葉が背すじを走り、足先まで突き抜けた。痺れるような甘い痛みに
身体が震え、目に涙が滲む。
 大きく熱い手が服の上からマルセルの身体を撫で回す。わずかにその存在を主張し始め
た胸の突起に触れられて顎がのけぞった。浮いた背の後ろに手をすべり込ませ、オスカー
が服の裾から手を差し入れる。
「あっ……!」
 途端、マルセルが鋭い悲鳴を上げた。一気に服をたくし上げたオスカーが、直接そこに
唇をつけたのだ。熱く濡れた舌が肌を辿り、胸の尖りを確かめるように舐める。その度に
震える身体を抱きしめて、オスカーは丁寧に愛撫を施していく。
「ん……っ、ぁっ、は……オスカー、さま……っ」
 身を捩り、マルセルの手が炎の髪を抱いた。すみれ色の瞳は涙に潤み、頬を伝った雫が
わずかにシーツを濡らしている。
 再び唇を貪りながら、オスカーがマルセルの下衣に手をかけた。
                                    タメラ
 素直に快感を訴えているそこの幼さを目の当たりにして、オスカーがさすがに躊躇いを
覚える。今ここで、自分の望みのままマルセルに身体の関係を求めてもいいものか──。
「オスカー様……」
 小さな呟きとともに、マルセルの手がオスカーに触れた。羞恥に頬を染めながらも、真っ
直ぐ自分を見つめてくるマルセルに愛しさが募る。
 マルセルの手が、オスカーのシャツを小さく引っ張った。躊躇いがちに、裾から手を差
し入れ脇腹に触れる。稚拙な愛撫に、しかしオスカーは目眩がするほどの快感を覚えた。
もっともっと、この幼い身体の全てを自分の色に染めてしまいたい。
 オスカーは身を起こすと自らのシャツをぐいと脱ぎ捨てた。眩しそうに目を細めて見つ
めるマルセルにキスをする。マルセルの声がオスカーの名を呼び、手が腰に触れた。その
手を掴んで、熱を持ち想いを形に変え始めている情熱へと導く。怯えたように手を引こう
とするのを押さえつけて、形を確かめるように触れさせる。
「マルセル、わかるか……? 俺が、どれだけおまえを求めているのかを」
 首すじまで赤く染めて、マルセルが小さく頷いた。手を離し、今度はオスカーの手がマ
ルセルの幼い情熱を包み込む。
 先刻触れるのを躊躇ったそこは、確かにそれだけ未成熟だったが、オスカーと愛を分か
ち合える程度にはもう成長を遂げているのだと主張をしている。
 握った手をゆっくり上下させると、マルセルが身を震わせ涙をこぼした。
 か細い声が、鼓膜を震わせる。
 浅く息をつきながら、マルセルの手がオスカーの情熱に伸びた。触れてすぐ離れた手が、
おそるおそる、再び触れる。躊躇う間の後、そっと、小さな手がオスカーの情熱を包んだ。
 その一部始終を、オスカーは目を瞠って見つめていた。
「……マルセル」
 自分でも予期せぬほど低い声が漏れた。びくりとマルセルが身体を震わせ、けれど全身
を朱に染めながらも潤んだ瞳が自分を見上げる。
「オスカー様……、好き」
「マルセル……!」
 ぐいっと細い身体を抱き寄せた。マルセルを胸の中に抱いたまま身を起こし、ベッドの
  アグラ
上に胡座をかくように座ったその上にマルセルを座らせる。向かい合って座る2人の身体
の間で情熱が触れ合い、その感触にマルセルが腰を引いて逃げようとする。
「あ……っ」
 腰を掴んで引き寄せ、オスカーの手が2人の情熱をまとめて包む。
「っ……! ん、ゃっ、ぁ……」
 強すぎる快感に逃げを打つ身体を逃がさぬように抱き留めて、オスカーは喘ぐマルセル
の唇を塞いだ。舌を絡め取り強く吸い上げ、力をなくしたマルセルの手を、2人の情熱が
触れ合う箇所に導く。マルセルの手ごと情熱を握り、強く弱く、手を動かす。
「あ……っ、はっ、ぁ、ぅ……オ、スカー、さまっ……」
 オスカーの胸にすがり、息を絶え絶えに名を呼びながら涙をこぼすマルセルを抱きしめ
て、オスカーは2人の想いを解き放った。


Next Morning




Parody Parlor    CONTENTS    TOP