貧血
──written by みつまめ@フル〜ツ☆ぽんち
ランディが執務室に向かう廊下を歩いていると廊下の隅に派手な物体、いや、格好をした人物が丸くうずくまっている。
近づいてよく見ると青ざめた顔をしたオリヴィエだった。
「オリヴィエ様。どうしたんですか?」
慌ててランディが駆け寄るとオリヴィエはしゃがんで俯いた顔を少し上げた。
蒼白な顔でランディを見つめる。
白く陶磁器のようなすべやかな肌が一層儚げでランディはその美しさに一瞬息を呑む。
ごくっ。
「あぁ、ランディかい?ちょっと貧血で立ちくらみしちゃってね。わたしらしくないよね。」
そう言って笑ったオリヴィエの顔は、ランディから見て美の女神ヴィーナスそのものだった。
今にも廊下の上にペッタリと倒れこみそうなオリヴィエをランディはそっと支えた。
ほのかにオリヴィエのつけている香水がランディの鼻を擽る。
ドキドキする感情を押さえつつ、ランディは平生を装ったまま言葉を続けた。
「俺、執務室まで連れてってあげますよ。」
ランディは自分の肩で支えて運ぼうとオリヴィエの脇の下に自分の腕を廻しその場を立った。
しかし、オリヴィエは自分で歩ける状態ではないらしい。
一歩も前に足が出ず、すぐ近くの自分の執務室へ向かうのもおぼつかない。
「オリヴィエ様、ちょっとジッとしててくださいね。」
ランディはそう言うとオリヴィエを抱きかかえた。
「えぇ〜〜〜〜〜、ランディ、ちょ、ちょっと降ろしてよ。」
クラクラする頭でオリヴィエはジタバタと暴れた。
「オリヴィエ様、暴れないでくださいってば。落っことしちゃいますよぉ〜。」
ランディは抱きかかえているオリヴィエを落とすまいと必死で身体を握り締める。
ぎゅぎゅぎゅっ。
いささかせんの細い身体をおもいっきり抱きしめてランディはオリヴィエを拘束した。
「ラ、ランディ、苦しいよぉ〜〜〜。」
「なんだ、なんだ。」
廊下の騒ぎを聞きつけてゼフェルが執務室のドアを開けて飛び出してきた。
「あん、何してんだよ。おめーら。ぷっ。はははははっ。」
ランディにお姫様だっこをされて暴れているオリヴィエを見てゼフェルは大笑いをした。
「ゼフェル、笑いごとじゃないぞ。オリヴィエ様は具合が悪くて歩けないんだからな。」
ランディの目はゼフェルをキッと睨みつけて本気で怒ってるようだった。
それを見てゼフェルも急におとなしくなった。
な、なんなんだよぉ。
「何も、そんなに怒ることねーだろ。悪かったよ。」
ゼフェルは本当に悪かったと思ってるのか神妙な顔をして二人の顔色を伺い、そして、ランディに素直に謝った。
機嫌が良かったせいもあるが・・・。
「ゼフェル、お前も手を貸してオリヴィエ様を部屋まで運ぶの手伝ってくれよ。」
ランディが言った言葉にゼフェルは思いっきり嫌な顔をした。
「ヤダよ。だって、化粧くさくなるじゃねーか?それに執務室まで2、3メートルもねーだろ。」
「ゼ〜フェ〜ル〜、あんた、わたしが調子がよくなったら覚えてなさいよ。あ、痛たたた…。」
大きな声を出して頭痛が一段と酷くなってオリヴィエは唸っている。
ジタバタとランディの腕の中でオリヴィエが暴れる。
「ふん、日頃の行いが悪りぃからだろ。」
ざまあみろとゼフェルは舌をべぇーと出してオリヴィエに向かって悪態をついた。
「ゼフェルいいかげんにしろよ。・・・大丈夫ですか?オリヴィエ様。」
ランディは心配そうにオリヴィエの顔を覗き込む。
どきっ。
ヤバイわねぇ〜、こんなに近くにランディの顔が……。
あら?睫毛長いわねぇ〜、化粧したら映えるのに・・・。
あっ、こんな事考えてる場合じゃないわよねぇ〜☆ミ
「……あの、ランディ。お願いだよ、こんな格好オスカーにでも見られたら何いわれるか分からないから降ろしてくれないかい?」
オリヴィエは自分の置かれている状態に恥ずかしさを隠しきれない。
頼み込むようにランディに懇願した。
しかし、ランディは…
「ダメですよ。さっき歩けなかったじゃないですか?俺が執務室まで運びますからおとなしくしていてくださいね。心配ですから・・・。」
ランディに押し切られてオリヴィエはシブシブ頷いた。
「ホントに調子が悪りぃみたいだな…しゃーねな、オレが扉を開けてやっから、ランディ、おめーがオリヴィエを運べよ。」
「解かった、じゃ、頼むよ、ゼフェル。」
執務室に入るとランディは奥にあるゲストルームへとオリヴィエを運んだ。
そこには仮眠を出来るスペースも用意してある。
「あっ、ランディ、悪りぃけど、オレ、用を思い出したから後はおめー一人で頑張ってくれよな。」
「お、おい。ゼフェル。」
オリヴィエを運んだ後、ゼフェルはルヴァに用事があることを思いだしたといってそそくさと部屋を慌てて飛び出して行った。
ランディはオリヴィエと二人きりで静かな空間にとり残される。
▼◎□×?!
どうしたんだろう、俺。
変だ!!
オリヴィエ様は男なんだぞ。
いくら成りが女性ぽいからって・・・。
二人っきりにされてドキドキが止まらなくって息苦しくって・・・変だよな?これって・・・
誰もいない執務室の奥の部屋で。
オリヴィエと二人きり。
何かを話すわけでもなく、ただ静かに時間だけが空気にとけ込んでゆく。
先にその沈黙を破り口を開いたのはオリヴィエだった。
「どうしたのさぁ?ランディ。」
オリヴィエはぼーっとしたランディの顔を覗き込んで顔をそっと引き寄せた。
「ありがと、ランディ♪これはお礼だよ。」
ちゅ。
△◆◎?×▼!?
ランディは何がなんだか解からない。
視界が遮られたと思った瞬間オリヴィエはランディの頬に口付けを一つ落とした。
「いきなり何するんですか?オリヴィエ様〜〜〜。」
「うん?お礼のキスだよ。貧血治ったらまたこの埋め合わせはきっちりしてあげるから楽しみにしててねぇ〜☆」
ひらひらとオリヴィエはランディに向かって手を振る。
ランディは自分の頬についた口紅を擦りながら真っ赤になって言った。
「えぇ〜〜〜、お礼って・・・。まさか・・・。」
すきだよ、ランディ。この宇宙で一番に・・・。
オリヴィエは心の中でそっと呟いた。
End
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さんくすめっせーじ(by ひろな) 2001.4.15
うっふふふ〜ん♪(妖) ランヴィエっすよ〜ん♪
いくらキリ踏んだからって、ノーマルサイト様にBLを、しかもこんなマイナ〜な風夢を書かせてしまうとは、なんて罪作りなア・タ・シ☆(爆死)
ランディ様ったらヴィエ様をお姫様抱っこしちゃうんですね〜んvv 二人してドキドキしちゃうんですね〜んvv うふふふふ〜(激妖)
このお話はですね、【フル〜ツ☆ぽ・ん・ち 】で、キリ番とは明記されてなかったんだけど7887ておもしろそうな(?)数字をGetした記念に、みつまめさんが書いてくださったんです〜♪ この直後に、ホントのキリ番8000Getしてしまって、悪いかな〜と思って一応遠慮したんだけど(一応。7887&8000記念、でいいですよって)、結局ご厚意に甘えてイラストももらってしまいました。
イラストは、やっぱり風夢でっv ピーチさんが描いてくださったんですよ〜♪
ステキなの〜んっv そちらもぜひぜひっ!見てくださいな〜っv
ホントにどうもありがとうございました〜vv
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