1万回のKissをあなたに

- チャーリー & アンジェリーク -

──written by 平 遊@Fairy Pack's Trick



(幸せやなぁ・・・)
 なんとも言えん、ほんわかした気分に包まれて、すぐ隣にいるアンジェリークを見る。
 サラサラの髪を緩やかな風になびかせて、流れゆく雲を見つめるこの可憐な少女の名は、アンジェリーク・コレット。この宇宙とは違う、もう一つの宇宙の女王。
 視線を感じたのか、ふとこちらを振り返ったアンジェリークは、あまりにも柔らかくて、周りの空気に溶けてしまいそうで・・・俺は思わず腕を伸ばして彼女の体を抱きしめた。
(好きや・・・アンジェリーク・・・)
「ちゃ、チャーリーさんっ・・・」
 腕の中で、恥ずかしそうに身を捩る細い体を、ほんの少し、力を込めて封じ込めて頬を寄せると、白い頬をピンク色に染めて、ブルーグリーンの瞳が躊躇いがちに伏せられた。
(アンジェリーク・・・)
 小さな唇に、啄むような軽いキスをのせながらも、俺は自分の欲求が、留まる事を知らずに溢れ出してきそうになるのを、必死で押さえた。
 このまま彼女を、俺のもんにしてしまいたい。
 この腕の中に彼女を抱きかかえて町中闊歩して、“この娘は俺のもんや〜!”て、言いふらして歩きたい・・・
「んっ・・・・」
 深い口づけに慣れないアンジェリークが漏らした声に、俺は慌てて彼女の唇を解放した。
「・・・ごめんな、つい・・・」
「ううん・・・いいの・・・」
 小さく首を振り、アンジェリークが潤んだ瞳でじっと俺を見上げる。
 もっと・・・
 俺には・・大きな瞳がそうねだっているように見えた。
 彼女を抱く腕に力を込め、腰を引き寄せて、覆い被さるように口づける。
 もっと、強く。
 もっと、深く。
 あんたが求めてくれるんなら、俺は何だってしてやりたい。
 あんたの望むもんなら何でも、喜んで捧げたる。
 ほんまはな・・・
 いつでもあんたの側にいて、あんたの事、見守っていたい。
 そしてもし、赦されるなら・・・
 体中に口づけて、あんたの全ては俺だけのもんやて、印を付けてしまいたい。
 でも・・・
 なんぼなんでも、いち宇宙の女王を独り占めするんは、できん話や・・・
 わかっとる。
 せやから・・・せめてこれだけは・・・
 俺の夢、叶えたって・・・
 あんたとKissを1万回。
「とりあえず・・・今日は2回やな。」
「・・・え・・・?」
 小首を傾げて見上げる彼女に、軽いウィンクで答える。
「何でもあらへん、こっちの話や♪」
 純白の羽を背に、あんたはどこまで飛んで行ってしまうんやろ。
 俺は、どこまであんたに付いて行けるんやろ・・いつまでこうして、あんたの側にいられるんやろか・・・
(1万回じゃ、全然足らへん。100万回でも、1000万回でも、まだまだ全然足らへんわ・・・好きや、アンジェリーク。あんたが好きで、おかしぃなる・・・この気持ち、どないすればええねやろ・・・)
 ツンと切ない甘い気持ちは、己の胸の奥底に。
 俺は、最上級の笑顔でアンジェリークの瞳を覗き込む。
「ほな・・・3回目、いこか♪」
「え?・・・ぁっ・・もぅっ、チャーリーさんったらっ!」
 ようやっと気付いたアンジェリークは、照れ隠しに軽く俺を睨み、微かな力で体を離そうとする。
 離さへん・・・離さへんよ、アンジェリーク。
 2人で会うてる、この時間だけは、あんたは俺だけのもんやから。
 ぎゅっと体を抱きすくめ、耳元で告げる。
「大好きや、アンジェリーク・・・」
 再び、俺の腕で落ち着く、可愛らしい天使。
「チャーリーさん・・?」
「なんや?」
「さっ・・・3かい、め・・・したい、の・・・・?」
 顔を真っ赤に染めて俯くアンジェリークを上向かせ、俺は頬を寄せながら囁いた。
「何べんでも・・・したい・・・あかん・・・?」
「チャーリーさん・・・」
 小さく開かれた唇に軽く触れ、そのまま強く胸に抱きしめる。
 なぁ、アンジェリーク。
 あんた、俺の夢、笑わんと聞いてくれるやろか。
 ・・・聞いたってや。
 今の俺の、たった1つの夢やから・・・

“1万回のkissを、あんたの上に。ひとつひとつに、めいっぱいの愛を込めて”


Fin





さんくすめっせーじ(by ひろな)     2001.10.13

はう〜んv ええ話や……(泣←泣くんかい・笑)。
この私が、ランディしか目に入ってないんじゃないかというこの私が(笑)、なんとチャリコレをいただいてきてしまいました♪
いや〜、でもこのお話がフリーになってたら、そらもうGetせなあかん!ってなモンや三度笠(謎)。
遊にゃんの、チャーリーさんへの愛がメいっぱいっ! アンジェ、幸せ者ですな〜vv
しかしチャーリーさんのたったひとつの夢“アンジェとのキス1万回”は、些細な望みなのかそれとも贅沢な(大それたとも言う)望みなのか、ギモンですね(笑)。1万回…………クチビル腫れそう(-゛-;)(爆)
遊にゃん、こんな素敵なお話フリーにしてくれてどうもありがとう!!



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