るーきー・おぶ・ざ・いやー


 ベッドにうつぶせに横たわって脱力している恋人に、隣に座ったランディは、やや恐る恐るという風情で問いかけた。
「…あの、どうでしたか?」
「そーだねぇ……」
 オリヴィエはころりと寝返りを打って、ランディを見上げると、まだ気怠げな風情で口を開いた。
「Bマイナス、ってとこかな」
 それを聞いてランディが、はぁっとため息をついて肩を落とす。
「…Bマイナス。まだ普通のBまで行ってないんですか……」

 ベッドについては大変辛口な評価をするオリヴィエに、ランディは付き合い始めた当初からさんざん苦労させられていた。
 最初の評価はそれこそさんざんな物で、一発アウトのG評価などを頂いてしまう事もあった。
 けれどそれでもこの一月間で、若さ故の飲み込みの早さを見せたランディは、どうにか及第点まで浮上してきていた。
 そして現在は、「可が取れたからには次は良を目指しましょう」。
 のトライアル中という訳なのである。

 なかなか出ないB評価に落ち込んでしまったランディが、少し可愛そうになったオリヴィエは、
「あ、でも私の評価は一般評価よりだいぶ厳しいからね。普通の基準なら、BからBプラスぐらいまでは行ってると思うよ?」
 とフォローを入れた。
 けれど、それにランディはきっと顔を上げて、
「そんなの、オリヴィエ様のランキングで良くなかったら、意味がないです!」
 と突っぱねた。
 そんなランディに、一瞬目を丸くしたオリヴィエは、次の瞬間思わずくすくすと笑い出した。
「あんたって、ほーんと良いよね」
 ランディが不可解そうに首を傾げる。
「何がですか?」
「人となり」
 そう言って、オリヴィエは手を伸ばしてぽんぽんと、ランディの頭をたたいた。
 それに、ランディが複雑そうな表情を浮かべる。
「…また。そうやって子供扱いしないで下さい」
 そのランディの台詞に、オリヴィエまた、にっこりと笑った。
「ランディ。『子供扱いされるのが嬉しい』っていうのも、大人の要件の一つだと思うよ」
 そう言われて、ランディがうっと詰まる。
 そんなランディを見て、にこにことオリヴィエが言葉を続けた。
「ま、あんたはそのままの方が魅力的かもしれないけどね」
 考え込む表情を浮かべたランディが、
「それって結局、俺にどうしろって事ですか?」
 と訊く。
「どうもしなくていいって、ことじゃないかな」
 簡単なオリヴィエの台詞に、ランディが深ーくため息をつく。
 オリヴィエはそれをさらっと流して、ベッドに上に起きあがった。
「まあ、でもとりあえずは、ベッドでのランクアップを心がけましょう」
 ランディの首に腕を回して、オリヴィエが軽くキスをする。
「…がんばります」
「はい、良い子だね〜」
 言いながら、オリヴィエが抱きついたランディの頭をなでなでした。
「……オリヴィエ様」
「ん?」
「俺やっぱり、大人の気持ちって、全然解ってないみたいです」
 やはり子供扱いが面白くないらしいランディの様子に、オリヴィエが彼の顔の目の前で、ふふふっ、と笑う。
「だーかーら、それで良いんだよ。ルーキーくん」
「オリヴィエ様〜〜」
 ふくれるランディに口づけて大人しくさせながら、
(今年のルーキー・オブ・ザ・イヤーは、迷うこと無いね)
 と思う、オリヴィエだった。


                 終わり

後書き
 風夢第弐弾でございました。
 すっかりおもちゃなランディ。 (^^;
 今回は、ランディを逃げずに書く!  がテーマだったのですが、やっぱり難しゅうございました。このお方は。




さんくすめっせーじ(by ひろな)     2001.10.29

いやん、ランディってばかわいいv(笑)
すっかりおもちゃ、いいじゃありませんか。愛されてるのねん♪
ベッドについて手厳しいヴィエ様というのもなにげにツボいです。律儀に頑張るランディがまたvv やっぱりね、最初からえっちが上手なようだったらそれはちょっとランディじゃないよな、とか思ってしまうあたり、私の愛も結構歪んでおりますね(^^;)。いろいろからかいながらも、オリヴィエ様は現在のランディくんも好きだし、将来格好良くなるであろう(!)ランディくんにも期待大、なのがわかります。
ランディ、頑張ってオトナになってくれ(笑)。

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