相変わらずなボクら

「ああ、二人とも、今日は早めに帰ってきてくださいね」
 出掛ける用意をするために部屋に向かおうとしたところにかけられた言葉に、悟浄と悟
空は訝しげに八戒を振り向いた。ちらり、一瞬だけ三蔵が顔を上げ、しかしすぐに新聞に
目を戻す。
「なんで? 今日ってなんかあんの?」
 単刀直入な悟空の問いに、八戒はにっこりと菩薩のような笑みを浮かべた。
「ええ。悟空、今日はあなたの誕生日でしょう? ごちそう作って待っていますから、皆
でお祝いしましょうねv」


「そっか。たんじょーびなんて、俺すっかり忘れてたや」
「へェ。────で? 子猿ちゃんはいくつになったのかなぁ〜?」
 ニヤニヤと人の悪い笑みに口を歪める悟浄を、むかっ!と顔に書いて悟空が睨みつける。
「どうせ見えないって言いたいんだろ!?」
「ひがむなよバカ、ンなことダレも言ってねェだろ」
「言ってる! その顔が!!」
「ひでェな、せっかくヒトがプレゼント考えてやってたってのに」
 意外な言葉に、悟空はぽかんとして紅い瞳を見上げた。丸い金色の瞳を、悟浄がことさ
らにいやらしい、もとい色っぽい眼差しで見つめ返す。
「オトナになった悟空ちゃんに、ひとつ新しいオトナのアソビを教えてあげましょ〜か」
「────っ!!! くそっ、期待してソンしたっ!」
 顔を赤くして、悟空がぷいっとそっぽを向く。人を食ったような悟浄の表情に、少しだ
け、拗ねたようなニュアンスが加わった。
「なんだよ、もっと気持ち好くしてやるって言ってンだろ?」
「だ……っから! そーゆーこと言うなって、何度言わせんだバカ河童!」
「お前にバカなんて言われたくないねバカ猿!」
「へっ、アホ河童エロ河童ゴキブリ河童!!」
 ぴきっ。悟浄の額に青筋が浮かんだ。
「てめ……っ、犯すぞこの猿!」
「やれるもんならやってみろ!」
「ああ犯ってやる!!」
 どすんばたん。取っ組み合いをしていると、扉が突然壊れそうな音を立てて開いた。
「やかましいっっ!!!」
 間髪入れずに怒号が響く。悲しいかな、条件反射で二人はびくりと身をすくめた。
「貴様ら……、朝からサカるなケダモノ! やるなら外でやれっ!」
「あー三蔵、それでは他の方に迷惑ですよ」
「知るかっ!」
 三蔵の怒りの大きさを示すかのような扉の音に再び首をすくめ、二人は顔を見合わせた。
「外でやれ、だとよ。毎度のコトながら、“三蔵サマ”のお言葉とも思えねェな。──ま、
じゃあ行きますか」
「ぜっってぇやだっ!」
「おまえな……。どっちにしろ今日は出掛けなきゃなんねんだろが」
「それはそうだけど……っ」
 それでもまだ疑いの目を向ける悟空に背を向けて、出掛ける準備を再開する。やがて睨
むような悟空の視線がなくなったのを感じると、悟浄はにやりと唇を歪めた。
「スキありっ!」
 がっと腕を掴んでベッドに押し倒す。飛び起きようとした肩を掴んで押さえ込み、体重
をかけた。
「な……っ、ヒキョーだぞっ!! ごじょ、────んぐっ……」


「おや、静かになったみたいですね」
「…………ほっとけ」
 ぴくりと眉を動かしただけで、三蔵は視線を上げもしない。八戒はやれやれと肩をすく
め、肩に留まるペットに同意を求めた。
「困った人達ですねぇ。──ねぇジープ?」

                                             fin.



こめんと(byひろな)    2001.4.5

悟空ちゃんお誕生日企画、誕生日話にはしないとかなんとか言ってたはずなのに、結局誕生日ネタです。──しかしこれを誕生日ネタと言っていいものか(苦笑)。そして突然の悟浄×悟空です。
いや、私、浄空も好きなんですよ。バカだねーこいつら、って感じで(爆)。しかし世間の浄空をほとんど読んだことがないので、このスタンスが一般的なものかどうかは分かりません。ま、三空もあんま読んだことないんだけど。
しかしなにげに実は三蔵サマ、書きにくいです。……台詞回しが、難しい。愛が足りないようです(^^;)。精進いたします。悟浄ちゃんも微妙だなぁ。八戒サン、気をつけないとルヴァ様になってしまう(爆)。その点、悟空ちゃんはイイ子なのだ♪
時間がなくて書き終わらなさそう、と思って急きょこの話を書きましたが、書きかけの三空(Hアリ)も、そのうち書きたいと思います。



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