それいゆサンゾウ 「なあ三蔵っ! 見て見てっ!」 ゴクウ ドダダ……ッと駆け込んできた悟空の手に握られているものを見て、三蔵は紫の目をわ ずかに見開いた。 デ・ジャ・ヴ 太陽のような、明るい黄色の花。それは眩しく鮮烈な既視感。 コンゼン 「金! ほらっ、これ!」 気怠げに顔を上げると、目の前には太陽があった。 「……なんだ」 かすかな瞠目の後、眉を寄せる。悟空は構わずにぱっと邪気のない笑顔を浮かべた。 「これ、金にやる!」 ずいっと手を差し出されて、思わず受け取ってしまう。そのまま金は、手の中の黄色 い花と、悟空の顔とを見比べた。 ナタク 「と遊んでて見つけたんだ。金の髪の毛みたいにキレーだと思って」 「──なぁ三蔵。この花、食えるんだってさ。うまいかなぁ?」 「────おまえ、」 ピキッ、と音を立てて、三蔵の形の良い額に青すじが浮かぶ。 「おまえは何でも食うことしか頭にないのか、このバカ猿!」 はたかれて、悟空が頭を押さえて喚いた。 「だって……っ。どうせ食うならうまいもんの方がいいじゃん」 「おまえは何でもうまいんだろうが!」 「んなことねぇよっ! ──それに、キレーだって思ったんだ」 綺麗。 悟空の口から出るにはひどく不似合いな、けれどとても懐かしい言葉。 「三蔵の髪みたいに、キレーだって。だから見せたくて持ってきたんだ」 無言で目を瞠る三蔵に、悟空は太陽のような笑顔を向けた。 「ほら、三蔵の髪の毛みたいに、きらきらしてキレーだろ!?」 「──チッ、ったく……」 君は僕を照らす太陽。 届いても、届かなくても。 僕は君に向かって手を伸ばし続ける。fin. こめんと(byひろな) 2001.3.21 はい、ついに(?)『最遊記』初書きでございます♪ 最初はやっぱり三×空でしょ!ってことで。でもなんか前世なシーンまで出てきてるし……(^^;) 念のために断っておくと、現世バージョン、悟空ちゃん18才ではありません。さすがにこんなかわゆい18才はいないよ(^^;) 3年前、もしくはもうちっと前、とお考えください。──ってことは悟空の髪はずっと長いのだな。 ところで。やはり私は、“太陽”が好きならしいです。 この2人って、互いに互いが太陽なのねvvという、ラブラブさなので。ねぇ? あ。タイトル『それいゆ』(なぜかひらがな・笑)は、フランス語。“soleil”。太陽、とか、ひまわり、という意味です。だけど悟空の持ってる花はたぶんタンポポ(笑)。 |