連想ゲーム
それは、新しくハムスターを飼い始めたという向日センパイの家に皆で遊びに行ったときのこと。 一心不乱にひまわりの種をかじっているハムスターを見つめて、宍戸サンがぽつりと呟いた。 「なんか、こいつ、長太郎に似てんな」 「──っはああ〜っ!? こんなデカいヤツのどこがハムスターだよ!?」 叫んだのはもちろん向日センパイ。隣で忍足センパイもアンニュイな表情で頷きを返す。 「そやな、カピパラならまだしも……」 「そうじゃなくて! なんつーか、この、俺らが見てるってのにめちゃくちゃ真剣にメシ食ってるあたりがよ……」 これには俺も衝撃を受けた。 「な……っ! 宍戸さんっ、俺そんなにがっついてませんよ!」 「がっついてない、だってよ。説得力ねーなぁ。なぁ樺地」 「ウス」 うすら笑いを浮かべて、跡部部長は明らかに違うものを揶揄している。 「おい跡部! てめぇナニが言いたいんだよ!?」 「けっ、バーカ。自分の胸に聞いてみろよ」 いつもの応酬を始めたふたりの横で、向日センパイが思い切りイヤそうな顔になった。 「うわ……オレ今、人目気にせず宍戸を貪り食うチョウタロ想像しちゃったよ……」 「岳人……それはやめてくれ……」 「向日センパイ……」 あなたたち、俺のことどんな風に見てるんですか……。 ハム太郎のシールを見てこんなことを考えるのは俺だけだろう…………(遠い目) (紫月さん、ごめん(笑)←ひっそり私信。ていうか長太郎、郁ちゃん(笑)ごめん……) おわし!
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背伸びの季節
「おっはよ〜〜ん!」 どかっ、と背中にブチ当たってきた先輩に、リョーマは思い切りカオをしかめて振り返った。 「菊丸先輩。痛いッス」 「なんだよ愛想悪いな〜。『エージ先輩、おはよーございますv』とかさあ、言ってくれてもいいじゃんか〜」 「……あんた、そんなコト言うオレ見て嬉しい?」 「ん〜ん、気持ち悪いよね、そんなおチビは」 「わかってんなら」 「けどいーの。おチビが懐いてきてくんない分、オレが懐くから」 ゴロゴロと喉を鳴らしそうな勢いで、英二はリョーマの頭に頬をなすりつけた。 ──と、その動きがぱたりと止まる。 「あり? ────ねぇ、おチビ。お前背ぇ伸びた?」 「ん? ──ああ、そう言えば」 先日保健室掃除のついでに測ったら、4月よりも3cm伸びていた。半年足らずでこの成長は、かなり早い。 「そのうちアンタより大きくなるよ」 ニヤリ勝ち気な笑みを浮かべて言ったら英二は途端に絶望的な表情になった。 「マジで!? チビじゃなくなったらもうおチビのことおチビって呼べないじゃん!」 「呼ばなくてイイっすよ」 「やだ!」 「──先輩」 「だっておチビのことおチビって呼ぶのはオレだけの特権だもん!」 頬を膨らませる英二に、リョーマは大きくため息をついた。──これではどちらが先輩なんだかわからない。 「しょうがないなぁ……。──ねぇ、エージ先輩」 「ん? ──うあっ?」 目線の高さより上にある衿を掴んで引き寄せる。驚きに瞠られた目を見つめながら叫びかけの口を唇で塞いだ。 「〜〜〜〜っっ!!? 何す……っ」 「まだまだだね」 ぽいと手を放して身を翻す。呆然としていた英二が追いかけてくる足音を聞きながら、 リョーマは口元に満足げな笑みを浮かべていた。 注)リョマくん、菊ちー引きずり下ろしながら自分は背伸びです(笑)。 おわし!
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努力と才能
「技術ってさ、生まれもっての才能と、地道な努力と、──どっちで身につけたものか わかる術ってないものかな」 「──はい? なに、ギジュツ……?」 いきなり何の話かと、英二は隣で思案顔の不二に目を向けた。 かすかに目を伏せた横顔は、どこか愁いを含み、庇護欲を刺激する。 「なに、ど〜したの、また手塚にいぢめられた?」 もしそうだったらタダじゃおかない、ひとり意気込む英二に不二が笑いを洩らす。 「違う違う、そうじゃないよ。──まあ手塚のことではあるんだけど」 「やっぱりそうじゃん! 手塚のせいじゃん!」 「そうとも言うかな……?」 そう、と力強く頷いて、英二は本題を促した。 「んで? 技術ってテニス? 才能だけでも努力だけでもダメだと思うけど、 手塚は努力寄り、フジは才能寄りなんじゃん?」 「そうか、やっぱり努力なのかな。──やだなぁ」 「──フジ??」 「あのね、エイジ」 改まって振り向いた不二に、英二もつられて背筋を正した。 「手塚ってキスが上手なんだよね。コレってどう思う?」 「──────っっはあああ〜?」 「生まれつきキスが上手い手塚なんてのも嫌だけど、 僕の知らないところで密かに練習をしている手塚も嫌だと思わない?」 真面目な面持ちで尋ねる不二に、英二は全身の力が抜けていくのを感じた。 「──あほらし」 「ちょっとエイジ! なんだよそれ! 僕は真剣なんだよ!?」 「そんなこと真剣に考えること自体がバカだろおっ!?」 っていうか。 「にゃんでフジ、手塚のキスが上手いってわかるのさ?」 「え。──だってもちろん、僕も上手だしv」 試してみる? 可愛く尋ねられ、英二は今度こそ全身で脱力した。 周助は由美子姉さんに仕込まれたから上手なのDEATH★ おわし!
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優しい男
「フジってさー、タカさんに優しいよねー」 「え、そ、そうかな(照)。不二はみんなに優しいだろ。英二にだって……」 「ちっがーう! それゼッタイ違う! フジはオレにはちょっと優しいけど誰にでもなんて優しくしてないし、 タカさんには絶対トクベツに優しい!」 「そ、そうかな……」(照) 「そう!」(力説) 「──そう? 自分で言うのも何だけど、僕、優しいよ?」 「うわ……っ!?」 「ふ、不二……っ!?」 「でも、それを言うなら、タカさんの方がよっぽど、僕に優しいよね」(にっこりv) 「……」(呆) 「……」(赤) 「あーはいはい、オレが悪うござんしたーっ!!」(うわーん助けて大石〜〜!!) いちフジ にタカ さん菊ちー おわし!
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dear friend
後ろから足音 駆け寄る気配 タンッ! と足が地面を蹴って 「おっはよ!」 背中に太陽がぶつかった 火照った身体が暑苦しいとか 汗の気配が気持ち悪いとか 相手が君だと 思わないのはどうしてだろう 「そんなの愛があるからにきまってんじゃん!」 何言っちゃってんのアタリマエでしょそんなの なんて、君はカンタンに言うけどどうだろ 愛があっても暑いものは暑いよ でもね、 君のその挨拶アタック 僕はけっこう楽しみにしているよ 36日常。もしくは菊不二。 ほんとは詩のコーナーにUPしようと思ってたんだけど、 あまりにも36テイスト満載だったのでこっちにしてみた…… オシマイ
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Peach Taste
「桃センパイっておいしそう」 「──はぁっ!?」 いつものように自転車の後ろに乗っけた後輩が、不穏なことを呟いた。 「最近、新発売のジュースとかって、みんな“桃の味”なんすよね」 「そーなのか?」 「うん。学食にもあるでしょ、何種類か」 そう言われてみれば、そんな気もしなくもない。 「ねぇ、桃センパイ。食ってみていいッスか」 「は? ──ちょ、ちょっと待て越……っ」 かぷっ。 「ってえっ! ホントに食うなよホントに!」 首を押さえて桃城が喚く。かすかに眉を寄せて、越前が舌先を小さく揺らした。 「…………しょっぱい」 「ったりめぇだろ汗かいてんだから!」 「──────ふぅん……?」 逃げろ桃城!(笑) おわし!
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思いつき
『周助』 ふと、呼んでみたくなったから、呼んでみた。 「なに?」 ごく普通にいつもの笑顔で振り向いて、不二が、ぴたりと動きをとめる。 「……え? 今、呼んだの、──手塚?」 「あ、ああ、そうだが」 「──うっわぁ、びっくりした〜」 不二は今までに見たことのないような表情をしていた。 「やだな手塚、おどかさないでよ。心臓止まるかと思った」 「そんなに驚かせるようなことをした覚えはないんだが……」 すまん、と謝ると、また複雑な顔。 「そうじゃなくてさ」 考える仕草に合わせて、色の薄い髪がさらりと揺れた。 「どうしようかな……。──ああ、そうだ」 顔を上げた不二はにっこり笑顔で。──なんとなく、嫌な予感。 「ね、手塚」 思わず後ずさった身体を細い腕が引き止めた。 腕にかかる力から、不二が背伸びをしたのだとわかる。耳元に、やわらかい息が触れる。 『好きだよ。──国光』 「──っ!!?」 名前の最後にキスを落として、気まぐれなシャム猫が身体を離す。 「ふふっ、仕返し」 笑う不二は試合に勝ったときよりも嬉しそうだ。 「駄目だよ手塚、油断は禁物」 眉が寄ったのが自分でもわかった。 こういう、思いつきだけで動くのは自分には向いていない、そう思ったある日の放課後だった。 ……ただのらぶです、すんまそん(^^;) おわし!
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data
「不二のデータは、俺でさえ正確に取らせてもらえない。──だ〜ってさ!」 英二はなぜか唇を尖らせている。 「俺でさえだよ。俺でさえ! にゃ〜〜っもう乾許さん!!」 喚く英二に、不二が声を立てて笑った。 「まあ、そう言うだけのことはあるからね」 「ああもうフジぃ〜〜っ、にゃんで乾なのぉ〜〜〜!?」 泣きつく英二を抱きとめて、不二はなんでだろうねと首を傾げた。 「ううう〜あんなゲキマズの液体作るのが楽しみな男に……ああっわかった! あの中に惚れ薬が入ってたんだよ! そのせいだ! くそーっ乾ー! オレのフジを〜〜〜っっ」 「ほら、エージ、泣かない泣かない。僕、エージのこと好きだよ?」 「そんなのあたりまえ! ──って! だからそうじゃなくて!」 「え? 違ったの?」 「違くないけどそうじゃなくて! ──フジのこと一番知ってるのってやっぱ乾なんでしょ?」 「う〜ん、どうだろう、でもたぶんそうじゃないかな」 「そんなのに、その乾でも、っつーかオレらのことだって知り尽くしてるっぽい乾がだよ、 一番知ってるはずのフジのデータ取らせてもらえないって……。──つーかそれって出来るんだ?」 それは意識してどうこうなるものなのか。英二の疑問ももっともだ。 「だって、全部わかっちゃったら面白くないよね」 言って不二はにっこり笑った。 「ゲームだってさ、傾向も攻略法も全部わかっちゃったら、攻略してみたいなんて思わないでしょう?」 「うー……それはそうだけどさぁー」 「だからね、むしろ逆。乾だからこそ、正確なデータなんか、取らせてあげない」 にっこりきっぱり言いきる不二に、英二は内心呟いた。 ──許さん撤回、がんばれ乾(^^;)。 敵は手強い方が倒し甲斐があるよね。 おわし!
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BROTHER
「う……っわ!? てめぇ、なにしてやがる!!」 目覚めた裕太の腕の中には、すやすやと安らぐ兄の寝顔。 「おい! おい起きろって! ──周助!!」 「んん……裕太うるさい……」 眉をひそめた周助が、もぞもぞと腕を動かした。 ぺし。 裕太よりひとまわり小さな手が、裕太の口に押しつけられる。 そのまま眠りに入ろうとした兄の腕を、裕太は掴んで引き離した。 「っつーかだから起きろ! なんでてめぇがココにいんだよ!?」 「だってゆーたあったかいんだもん」 「そんなんが理由になるかよ」 「ゆーたあったかい。きもちいい」 「ヒトのハナシを聞けって……」 ため息をついて、裕太はしかたなく兄の抱き枕になることにした。 ある冬の日の出来事。 おわし!
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ぴーちつりーふぃず
「不二先輩!」 「なに、桃」 「不二先輩」 「なに、越前君まで」 桃とリョーマ、ちらりと目配せ。 「? どうしたの?」 「不二先輩って、マムシのこと何て呼んでましたっけ」 「海堂? ──海堂だよね」 「そっすよね」 「……なんでオレだけ“君”づけなんスか?」 「……」 「……」 「そう言えば、そうだね」 こくり頷いたリョーマに、不二は首を傾げて見せた。 「越前君も、桃みたいに呼んで欲しいんだ?」 「──別に、そーゆーワケじゃないんスけど」 「越前カオ赤いぞ〜♪」(小声) 「うるさいっすよ桃先輩!」(小声) 「桃城が“もも”だと、越前は“えち”?」 「──ヤだ」 えち。 おわし!
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Pretty and Stupid
「フージv」 英二の抱きつき攻撃に、不二がにっこり振り返る。 「なぁに、エージ」 「に゛ゃあ〜っ、もうなんでフジってばそんなかわいーかな〜っ」 「そう? エージの方がかわいいよね」 「ええっ、フジだよ!」 「エージだよ」 ……Repeat 2times(2回繰り返し) ふたりのやりとりを眺めて桃ちゃん曰く。 「“かわいい”のはエージ先輩。フジ先輩のは“きれい”ってコトで」 ぴたっ。 「「桃?」」 冷めた視線が2つ、すとんと桃ちゃんに突き刺さる。 「えっ? な、なんすか?」 「──僕たち一応男なんだけど」 (自分で一応とか言ってりゃ世話ないよね、とルーキーくんは思ったけど言わないでおいた。 ──お利口さんです、ハイ) 「桃ってオレらのことそーゆーふーに見てたんだ……?」 「ふうん……?」 桃ちゃん、ピンチ!?(^◇^ ;)(笑) おわし!
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