【眠森談義 座談会編 第7回】

 
「はぁぁ〜いみなさまお元気でしょうかーっ木村智子でぇす。ドラマも折り返し地点を越えまして第7幕、いよいよ佳境に入ってまいりましたところで、座談会も絶好調、じゃかじゃか参ろうじゃありませんか。ねぇ八重垣くん!」
「どうも、八重垣悟です。―――どうしたんですか智子さん。なんか先週の終わりに比べて、やけに元気いいっていうか…。」
「なーに悟ったんだぃね。もうね、余計なこと考えずにドラマ楽しみますわ。無理に謎解きなんかしようと思うからハラが立つ。矛盾だの納得できないだの、それはそれでコッチへ置いといて、12幕までとにかく見ようと。そう決めたらスッコーンと抜けた。」
「抜けましたか。」
「抜けたねー! 天高く、お馬もおでぶ! 今日も元気だヌーボーが美味いぜぃ!」
 
■森田家の前■
「車のナンバー、チェーック! 練馬79、『さ』の70−15。」
「いいんですかそんなハッキリ言っちゃって…。」
「だって画面に映ったじゃないかい。さすがスポンサーの車使ってるね。」
「そりゃそうですよ。資本主義国家としては。」
「まぁ私も○○○ホームの社員だからねぇ。○○○○ハウスで家建てたらクビだなぁ―――で思い出した。」
「何をです。」
「森田邸…ありゃちょっと壊れすぎだよ。15年くらいなら、住宅ってあそこまで傷まない。人の住まない家は壊れやすいっていっても、あの映像だったら50〜60年放置してなきゃ無理だねぇ。」
「廃屋、って感じを出そうとしたんじゃないですか。」
「いやプロの見地から言えば壊れすぎ。」
「国府の後ろのマリア像、目が光ってましたね。」
「光ってたね。いわばあのマリア様は15年前の真犯人の目撃者だ。」
「その目が国府を前に、光った…?」
「あ、そういう細かい点ね、無視した方がいいかも、このドラマ。演出は凝ってるけど、深読みのワナに自分でハマるっぽい。」
「そんな感じですね。細かいこと気にしすぎない方がいいのか。」
「とはいえ私はヒトツ気になった。前回のラスト、実那子のマンションの前にいた国府は、折り紙だけして帰ったんかね。」
「相変わらずそういう細かいことは気になる人なんですねぇ。」
 
■濱崎邸アトリエ■
「画家の目は確か。心の形も見えるっていうのは本当ですよきっと。」
「うんうん、判る判る。ユーミンてさ、あの人美大出じゃん。学生時代に先生から、『リンゴ描くんだったら裏まで描け』って言われたんだって。」
「ああ、うん、深い言葉ですね。」
「カメラマンの目もさ、ファインダー通すと別人になるってね。バァのカウンターに並んでる2人をファインダー越しに見たら、男女関係にあるかないかイッパツで判るもんなんだって。」
「へぇ。すごいな。プロの目だ。」
「しかしさ、私はやっぱどーもこの…実那子のセリフには引っかかるモンが多いんだよなぁ…。なんか納得いかねぇんだよなぁ。」
「…で、そういうのは今回こっちに置いとくんですね。」
「そうそう。置いて、次行く。」
 
■実那子の友人宅■
「正輝がキャンバスに描いた十字架とダブッてカットインするの、なかなかだね。」
「凝ったカメラワークですよねぇ。」
「この女の人ってさ、きっと同級生のサエちゃんだよね。」
「お花摘みはしたけどターザンごっこはしなかった人ですね。」
「そうそう。なんかさ、すっげ、上手くないかいこの女優さん。方言といい、さも『妊娠中!』って感じの動きといい、リアリティある。この人が実那子役やってくれたら、いきなり世界変わるかも知れないね。いえいえ美穂さんに不満がある訳じゃないけど。」
「うーん…。確かにいいですねこの人ね。こういう端役の人ってむしろ、きちんとした、なんて言うと主役級の人たちに失礼ですけど、いわゆる『演劇』の勉強、ちゃんとやってる人ですよね。かえって実力派なのかも知れませんね。」
「言えるかもねー。実那子役でなきゃ、この人で由理ってのはどうよ。育ってきた環境さえ見えてきそうな、ずしりと手ごたえのあるキャラになりそうな気がしない?」
「します。別にまなみさんに不満がある訳じゃないですけど。」
 
■車の中〜直季の部屋■
「これさ、川に落ちた男の子、あれどうやって撮影したんだろ。なんかマジで流されてない?」
「そうなんですよ。僕、見ててハラハラしました。」
「『おいおい危ねーぞ!』って感じだよね。実那子の転び方はわざとらしいけども(笑)」
「小学校6年生でこの関係は…ちょっとマセてませんか?」
「ませてるよ。しかも福島で。だいたいさぁ、小学校高学年なんていうと、男の子と女の子ってワリと仲悪いよね。2人きりでピクニックなんてさ、クラスに知れたらもぉ、チョーからかわれてさぁ。」
「…ま、そういう点はね。ドラマなんですから。」
「そだね。こういうとこはまぁ、見解の相違ってコトで。」
 
■オーキッド・スクエア■
「なんでわざわざ夜、職場まで行って話したんですかね直季は。向かいに住んでるんだから部屋で話せばいいのに。」
「いやー…こないだのこともあるし、気使ったんじゃないの?」
「例の、暴行未遂事件ですか?」
「うん。それにまぁ…ケジメつうか。実那子は濱崎さんとの結婚の準備進めてろって、言ってるしね。」
「なるほどね…。ケジメか。真面目な奴だなぁ直季は。」
「けどさ。これ、こうやって話してる時間は、実那子、残業中でしょー? 残業手当の不正請求…あ、そっか! 手当つかないんだねこの植物園は。ああじゃあいいや。何でもやんなさい。もし手当がつくんだったら、私用はタイムカードを押してから―――」
「絶対ウチだけですよ、こんなこと気にして見てるの。」
「実那子さ、ボーイフレンドを川につき落とされたって言ってるけど、それはアンタ言い過ぎやん。見殺しにしたってだけで、つき落としちゃあいないんじゃないか?」
「いや…落としたんじゃありません? 実那子が目を離してたスキに。」
「どうだかねぇ。」
「ここでの直季は、なかなかいいこと言いますよね。木村拓哉の演技にグッときた人、多いみたいじゃないですか。」
「ああ…まぁねぇ。そのようですがね。」
「何か煮えきらない言い方ですね。智子さんとしては不満でも?」
「ある。大ありにある。ミステリーっていうのはどうしても筋書きが中心で、キャラクターは駒になりやすいそうだけど、なんかその通りだなって思うねー。」
「…で、その先はこっちに置いとくんですね(笑)」
「そうそう。…ってこんなことやってると、この座談会すごく短くなったりしてね(笑)」
 
■森田家の墓の前〜マンション■
「ここ、ドキッとしませんでした? 国府の横顔と輝一郎の横顔が、睨みあってるみたいにオーバーラップするんですよね。」
「そうなのそうなの。おお!と思った。」
「やっぱり何かあるのかなって、思っちゃいますよね。あれやられると。」
「狙ってる演出だよね。ニクいなー!」
 
■直季の部屋■
「賛否両論の由理の行動ですが…智子さんとしてはどうですか。」
「『この女まさか直季の子供を!?』って焦った人、多いみたいだよね。アタシも一瞬、おいおい直季ィ、”生”はマズイべよぉ…とか思った。」
「またストレートな言い方を…。」
「でもさ、まだ判らんでしょう、少なくとも1か月たってみないことには。間がね、あかなすぎ。」
「女体の神秘ですね。」
「なんかイヤラシイよその言い方。…しかしさぁ、男ってのは、女の『愚かさ』に安心する面ってあるわけ?」
「え? 女の愚かさにですか?」
「うん。いや…このねぇ、由理の行動さぁ。女房でもねぇくせに相手の女のとこ行くっつーやり方。これを男って許せるもんなの? しかも直季のことを実那子が何て言ってたか、グサグサ話して聞かせてさぁ。私には『デリカシーのない行為』としか思えないねー。…あ、これ、ドラマの批判じゃないのよ。」
「ええ判ります。ドラマ云々からはちょっと離れた話題ですよね。」
「『あなたを愛してるのは私なの。それに気づいて。あんな女のことは早く諦めて。』っていうことでしょ? 要は。これ…私にはでっきないねー! 向かい合うべきは自分と彼であって、相手の女にどうこう言うの違うと思うもん。―――でもさぁ、男ってわりと…こういうシチュエーションで、ガーッと怒んないよね。これ、私の『人生摩訶不思議・其の壱』だなぁ。」
「智子さんはしたことないですか? 相手に怒鳴りこむなんて。」
「ないない。死んでもやだ。と言いつつ、されたことはあるけど。」
「へ!? まさか、不倫とかしてたんですか?」
「ちゃうちゃう。つきあってた彼の、元彼女ってヤツにやられた。しかも私じゃなくてうちの母親に会われちゃってさ、何だ何だって感じで。」
「母親にですか? それはちょっとすごいな…。」
「ねー。母親の方がびっくりしちゃってさ、奥さんか婚約者だっていうなら判らんでもないけど、『アタシにどーしろと言うんだ!』とか思って、お茶飲ませて帰したって言ってた。」
「いいお母さんじゃないですか。」
「いやそのアトが大変だったのよ(笑)」
「でしょうね(笑)」
「でも、そういうことした相手に対して…その時”彼”のとった態度はすごく優柔不断だったんだよねー。解せないのねー、これが今でも…。男ってそういうもんなのかなぁ。」
「うーん…。相手が自分を好きで、することですからねぇ…。無下に怒る訳にはいかないっていうか…。でも僕、そんなめぐまれた状況になったことないですから、実際には判りませんね。」
「え? 八重垣くんには、ない? 女2人の板ばさみ。」
「ありませんよ。あったら今こんなとこで、こんなことやってませんって。」
「…こんなことってな何だ、こんなことってなぁ!」
「あ、いや、だからそういう…。」
「アンタ、この放送終わったらちょっと話し合おうぜ、いろいろと。」
「いえ、いいです。僕このあと用事あるんで…。まぁそれでですね、話戻しますけど。」
「戻さんでいいっ!」
「そんな、戻しましょうよ。えーと…だから僕としてはですね、むしろこのシーンで引っかかるのが、前回第6幕で、家族を殺したの殺さないのって物騒な話を聞いたはずの由理は、それに全然興味を示さないのかなってことですね。もっと気になっていいと思うんですよ。殺人犯の実物なんて、身近にそうはいないでしょ? 『フクシマはもういいの?』で、あっさり片付けちゃうのかな。」
「このセリフは笑ったね。しょっぱな聞いて吹き出した。なんだよフクシマはもういいんかい!って。」
「カタカナで書くとそっちになっちゃいますよね。」
「ほんとほんと。まぁ由理ちゃんは自分のことだけで頭が一杯なのよきっと。」
 
■リビングで、実那子〜回想■
「ここはアレだね、グラスの扱いがナイスだね。」
「洗い流す、って行為につながる訳ですよね。」
「対面式キッチン、いいの置いてあるなぁ。対面式の場合は換気扇を強力にしないと、油使う料理でリビングに匂いが回るんさ。」
「高級マンションだからしっかりしてますよきっと。」
「ベッドで寝てる輝一郎…なんか、かーいーわ。30オトコの可愛いさだねこれはね。20代にはない無防備な感じ。うふうふ。」
「考えてみれば智子さんて、輝一郎とは歳が近いんですね。」
「そう。だからかも知れないけど、輝一郎にはスッと感情移入できるぞ。」
「トオルさん、いいですよね。すごく存在感がある。」
「やっぱさ、”意地”みたいなのあると思うよ? 木村拓哉の添え物にはなりたくない、みたいな。」
「あるでしょうね。」
 
■沖田将人の家■
「このお母さんも上手いですね。今回は、名もない端役陣が絶好調ですね。」
「なんかこのシーン好きさ私。直季と敬太が妙にかしこまってるのがリアル。”男の子”って感じになっちゃってるの。」
「ノートに書かれた文章。あれ、ちゃんと子供の書く文章になってますよね。すごいなそういうとこ。眠森ってこれ、小説にして読むとまた違った味わいなんでしょうね。」
「だろうね。放映が終わったら全シナリオがどっかから発売されるんだっけ?」
「幻冬舎ですよ。」
「これがまたベストセラーになんだろな。あ、そういやビストロSMAP、今年も出るね。」
「眠森最終回にコンサビデオに、…忙しい12月になりそうですね。」
 
■墓参り■
「ここね、ちょっと深読みかも知れないけどさ、『女房が不倫してできた子供』って敬太が言った時、直季の表情がちょっと動くのね。『あれ? まさか直季は…?』とかって思うけど、ここで足すくわれちゃあ、いけないって気がする。脚本をいかに『ぼやかす』かを、演出が一部担ってると思うね。」
「完全に見方変えましたね智子さん。」
「変えたよ。映像で追うよりもむしろ、小説っぽく構えた方がいいのかも知んない。」
「そうかも知れませんね…。」
 
■マンションの部屋〜森の中の直季■
「2つのシーンを縦糸と横糸みたいに交互に出すの、これって『飽きさせない』演出なんだろうね。」
「でしょうね。重たくなりすぎないようにしてるんでしょう。」
「しかし巣箱が15年以上もそのまんまであるもんかね。」
「さあ…。」
「森田家があそこまで壊れてたのに、巣箱、わリと傷んでないぞ。」
「手入れのいい鳥が住んだんですよ。片付け上手の。…シジュウカラとか。」
「どうかなぁ(笑)」
「でも輝一郎、こんな時間から仕事行くんですね。フレックスにしても変わってますよ。工場の2交代勤務じゃないんだから。」
「まぁね、サラリーマンとしては『あれ?』って感じするけどね。九条物産ともなれば、勤務形態はほぼ自由なんじゃないの。」
「英語の通じない国に飛ばされる話はどうなったんですかね。」
「どうなったんだろうねぇ…。」
「この不景気でそれどころじゃないのかも知れませんよ。とにかく輝一郎に不良在庫の処分をやってもらわないと。」
「週刊誌の記事なんてモンは、『人のウワサも75日』だからね。けどウデのいい社員は会社にとって必要だろうし。」
「直季が穴掘ってるシーンですけど、これ、翌朝じゃいけなかったんですかね。なにもわざわざ夜やらなくたって…。万が一お巡りさんとか来たら、絶対に任意同行されてると思いません?」
「思う思う。誰が見たって死体遺棄だと思う。んでもね、私ジツはこのシーン、”拓”が植木植えてるように見えて笑っちゃった。」
「智子さんて髪束ねた拓哉、好きなんですよね。」
「好き好き。キリッとしてて大好き。」
「でもまぁこのシーンの目玉は何といっても、ロケットに入ってた写真は誰だ、でしょう。」
「直巳で決まりでしょー? 直季があんなに驚いたんだから。それにホラ、診療所から帰っていく実那子の後ろ姿に、『強く生きてくれ…』って言うやん。あのセリフがここで意味を持つよ。」
「ああ、あのセリフがね…。」
「でもそうすると、実那子と直季は異母姉弟ってことになるけどさ、直季にはまだ何かあると思うから、この点何とも言えないね。」
「まだ何かありますか。」
「あるでしょお。なくてどーすんの。ただのいい人で終わられても困る。」
「そういえば真犯人もまだ判ってないんですもんね。」
「これさー、犯人はダレだ、ってやるのもいいけど、逆に『この人は犯人ちゃうやろ』って消去法で除いていく方法もあるんだよね。」
「ああ、消去法ですか。1人ずつ除いていって、残ったのが犯人だって奴ですね。」
「そうそう。で…まずこれは絶対違う!っていうのはね、…オーキッド・スクエアの中村園長。」
「(笑)」
「(笑)ねー、違うっしょ絶対!」
「違いますよ違いますよ。この人はいい人ですよ。」
「あとは春絵のお兄ちゃんも違うべ。」
「アパートの大家もマンションの管理人も違いますね。」
「武藤部長も違うと思うよ。」
「直季の上司の芹沢も違うでしょう。」
「沖田に芹沢か。なんか新選組っぽいな…。」
「これ、今思ったんですけど、あのロケットの中身があそこで映し出されて、いきなり中村園長の写真だったら大爆笑でしょうね。」
「SMAP×SMAP、とか書いてあったら、2500万人がいきなりトリップしちゃうね。」
「いかりや長介さんの写真でも笑えませんか。」
「フジテレビの目玉のマークは?」
「いっそ中居正広のVサインとか。こんな、ニカッて笑って。」
「…直季、ロケット叩きつけて旅に出ると思うけどね。」
「全然違う話してますよ僕ら。ちょっと戻しましょう。」
「軌道修正が大変だねぇ八重垣くんもね。」
「もう慣れました。…あ、あと1つ。輝一郎が実那子をこうやって後ろから抱きしめるじゃないですか。あの時のセリフで、実那子になら殺されてもいいって言うの、聞きようによっては意味深ですよね。」
「そうそうそう。輝一郎怪しい説を取る者としてはそう思える。」
 
■輝一郎を送っていく実那子・路上■
「これさ、輝一郎が向こう側に渡り終わった時、後ろの車がライト灯して走り出すでしょ。信号変わったからなんだけども、一瞬、まさか誰かが彼を襲うのか!とか思っちゃった。」
「なんかもう、何が起きるか判んないって感じですね。」
「けどもさ、輝一郎ママだけは、やっぱ生身の人間じゃないと思うなー。あんなハデなかっこで目白6丁目にいたら目立ってしょうがないやな。」
「目白6丁目でした?」
「でした。地名表示がハッキリと。」
「地名に何か意味ありですかね。」
「ないんじゃないかぁ? で、これでママがもし生きてたら都合よすぎだよ。輝一郎の行くとこ行くとこ神出鬼没。常にタイミングよく姿を見せる。あれは輝一郎の心像風景だろうね。」
「あの距離で唇読むのも、かなり難しいですしね。」
「私やってみたけど、『ほろぼそうとしている』あたりがやっぱ判んないよ。」
 
■森の中、国府■
「男2人で入れ代わり立ち代わりまぁ(笑)何をやってるんだか。」
「でも墓参りに来たのは昨日だって敬太が言いましたよね。国府は丸1日御倉にいるんだ…。何をしてるんでしょう。」
「案外さぁ、国府は誰かを”追ってる”んじゃなくて”追わせてる”んだったりして? 自分が動けば必ず、追ってくる人間がいるって…。」
「え、それで、まず来たのが、直季ですか…?」
「これさぁ、国府が直季のお父さんのこと知ってたら、これまた面白い展開になるね。」
「表情が微妙で、どっちとも取れるんですよね。」
「陣内さんはさすがよ。『ペンダント…?』と思って取って、『そうかこれロケットだ』って気づく目の動きね。セリフがないのに、何考えてるのか判るの。」
「出番は少ないけど、印象強烈ですよね。」
 
■疾走する直季の車■
「おいおい、やめんか! 死ぬぞ!…って飛ばし方だよねぇ。しかも長かった。」
「ここでですね、僕が『もしかして』って思ったのもそれなんですよ。車の走るシーンで、こう…タイヤをね? けっこう近くから撮ってたでしょう。」
「撮ってた撮ってた。」
「もしかしてですよ? 日刊フクシマ…じゃない、日刊福島に載ってた交通事故の記事ね? あれがやっぱり直季の過去だとしたら、このシーンは重要な暗示じゃないですか?」
「あっ! それって鋭いかもっ!」
「妙に長かったですもんね、タイヤのアップが。」
「言えてんねー。そうかも知んない。」
「まぁ、直季が、交通事故で生き残った長男かどうかは判らないですから、例によって『演出の撹乱』にやられないようにしたいですけど。」
「そうだね。こういう考え方もできる、ってトコロで止めとこう。」
「うん。それがコツかも知れませんね、このドラマとつきあう。」
「…いいこと言うなぁ八重垣くん。握手握手!」
「けっこうフレキシブルに態度変わりますよね、智子さんてね。」
「いやー、あるヒトにメールでさ、『智子さんて実際も座談会の時みたいな雰囲気なんですか?』って聞かれたけど…そうだと思うよ。ねーH・Kさん!」
「このコーナー、完全に”素”ですよね。」
「リクツっぽくて、かつカナリえっち、ってか? ケッ! 言ってろ言ってろ!」
「自分で言ったんですよ今…。―――えーと、そういったワケで、何とか更新のペースもつかめて参りました。残すところあと5回。こうして見ると早いですねぇ。」
「光陰矢の如し。少年老いやすく学成り難し。自由少なく稿成り難しだよなぁ。ああっ時間が欲しいぜ! 書きたいモンは山ほどあるのに!」
「眠森が終わると98年も終わりなんですよねぇ。…と、なんかしみじみ言ってしまいましたが、最後まで気を抜かずに頑張っていきたいと思います。」
「これさぁ、うちらのこのコンビさ、ほんっと予想外に反響いいのね? だから眠森終わっても、この形式はどっかで残したいね。」
「残したいですね。頑張りますよ僕も。」
「おお。ほしたらとりあえずは、また来週ってことで。」
「では皆様、風邪などひかないよう、来週までお元気で。受験生の皆様も、どこかのラジオなんか気にしないで、ここが踏ん張りどころです、頑張って下さい。パーソナリティーは私、八重垣悟と、」
「ここんとこ嬉しいメールをタタタッと頂いて感激してる木村智子でしたー! チャオ!」
 

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