【 TK本編あとがき その2 】
 
ありがたいことに、「続編はないんですか?」とのお尋ねをいくつも頂戴いたしました。
あらたまって「TK2」を書くつもりはございませんのですが、あのあとの2人がどうなるかは、ずっと前から決めております。
拓は、まぁ、いずれ由布子と結婚します。彼らと陽介の3人は、『ル・ナヴィール』という名の建築事務所を始めるんです。高杉の店“元祖・ナヴィール”はその頃2店舗に増えていて、本店を香川が、2号店を泉が見ています。単にバイトで来た2人の青年の人生は、すっかりナヴィールに根を下ろしてしまう訳です。高杉夫妻は趣味や旅行で悠々自適の生活。もちろん時々は店にも出てきて、2人の店長と馬鹿話をしたりします。
上海に行った由布子はどうなるのか? 実は彼女、新しい恋人ができます。それはなんと八重垣悟! 彼は熱心に由布子を口説き続け、
「日本に恋人がいるんでしょ? だから上海にいる間だけ、僕たちつきあいましょうよ。日本に帰ってからのことは、またその時に考えればいい。」
な〜んて囁いちゃう。ためらい続けてある晩由布子は、
「ごめんね、拓…♪」
と彼の面影にウィンクして、悟のベッドへ招かれるのでした。はっはっはっ。
もちろん拓にも新しい恋人ができます。そりゃまあ、彼は女が放っておかないでしょう。超・美形でオンナ大好きの、東京中央銀行次期社長がモテないはずはありません。彼の『浮名』を耳にした父親が側近の部下に、
「全く困ったものだ。少しきつく注意せんとな。」と漏らすと、その部下曰く、
「会長のお若い頃にそっくりでらっしゃる。お姿ばかりか悪い癖まで…。」
そう言われて親父さん、苦笑いして黙ってしまう。血は水より濃いですねやっぱね。
さて、由布子はようやく帰国します。八重垣は別れたくなさそうですし、拓はそうやってモテまくってるし、再会した2人は、またもすったもんだ。間に入って陽介(既に二児の父)が心配して、由布子に文句つけに行ったりします。
「必ずにいさんのとこに戻ってきてくれって、俺、言ったじゃないですか。何なんですかあの変な男…。約束違いますよ。」
まあそんな風にいろいろありますが、結局2人はめでたく結婚いたします。拓は同時に銀行を去りますから、これがまた一騒ぎ。
3人で事務所作って、仕事始めて、でも相変わらず拓はクライアントの奥様を片端からメロメロにしてしまう。由布子はハラハラし通しですが、八重垣も妙な奴で、由布子と別れて恋愛結婚したくせに、相変わらずナヴィールのオフィスに遊びに来ては、拓がいるっていうのにその目の前で、
「ご主人と別れる気になったらいつでも言って下さい。僕、すぐ由布子さんのところに飛んできますから。絶対ですよ。」
八重垣独特の冗談だと思っていても、拓は時々、『まさかコイツ本気じゃねぇだろな』と嫉妬したりする…。
――――こんな話になるんじゃないかな。書かないですけど。(笑)
 
…本編の続編は書かないつもりですが、次の予定はあります。
『TK番外・英子編』。19歳の頃の拓と、父親の愛人・英子の物語です。「TK」って、案外拓のことは書いてないんですよね。由布子の目がカメラでしたので、彼女の知らない拓は登場しえない訳。ですから英子編では昔の拓の姿をば、じっくり追ってみようと思います。
そのあと、「TK」の世界をしめくくるためにもう一つ。『TK番外・葛生編2』を書こうと思っています。
葛生の恋が真に成就する瞬間をもって、一連の物語は終結します。真の成就といっても、別に拓が彼に体を許すとか(笑)、そういった話ではございませんです、もちろん。
 

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