『危険な関係』 座談会
【 第3回 (99.10.28放映分) 】
「はい、えーみなさまお元気でしたでしょうか八重垣悟です。月もあらたまって11月になっちゃいましたね。本を読んだりドラマを見たり、または音楽を聴いたりね、そんな風にゆったりと過ごすにはとてもいい季節じゃないかと思うんですけれども。この座談会の方も多少は余裕をもってですね、進めていければいいんじゃないかと…。」
「けっ! 余裕なんてどこにあんだよぅ! 今月はあーた、いつどこでどこへ出張が入るか判らんのだぜあたしはぁ! とゆう訳で皆様こんにちは。忙し虫の木村智子です。」
「忙し虫。いいですねそれね。」
「いいだろー、動きの素早い尺取り虫みたいで。こうやって茎の上をさ、はっ!はっ!はっ! て、ちゃっかちゃっか動いてんの。」
「時々逆立ちしたりしてそうですね。じゃあ早速、『危険な関係・座談会』第3回めをですね、いってみたいと思います。」
■有季子の部屋■
「『前回のおさらい』もこういう感じで入ってくるとムダがなくていいよね。化粧しながら回想するっていうのは実際にもよくあることだし。」
「そうですね。気づきました? 今回の演出って中江さんじゃなくて木村達昭さん…確かこの人、ラブジェネの演出やった人でしょう。」
「そうなのそうなの! エンドロール見てておやっと思った。そういえば画面の雰囲気が前回までとはちょっと違うよね。わりとラブロマンスっぽいっていうか、『おお東京ラブストーリーのようだ!』ってとこもあったし。ストーリーじゃなくて映像がだよ。」
「演出が変わると雰囲気って変わりますよね。同じ脚本と出演者でも。」
「うん。あのさ前にさ、深夜枠で三谷さんのそんな実験的な番組あったでしょう。同じストーリーを別々の演出家で撮るの。あれ面白かったよなー。ああいうの、またやってほしい。」
「そうですね。深夜だからこそできた実験ですよね。…で、このシーンなんですけど、有季子の深紅のロングドレス。こういうのって普通、持ってないですよねぇ。」
「うん。普通はまず持ってないだろぉ。こういう服ってさぁ、パーティーとかでしか着らんないじゃん。あとはまぁこういう、豪華なホテルとかレストラン行く時とか? でもそうそう毎回毎回、同じモン着ていけないもんねー。『あら、あの人また同じドレス着てるわ』って言われんのってすごくみっともないし、だからってねぇ、こんなドレスそんなに何着も買えないでしょお。だからレンタルだよな普通は。」
「まぁそうですよね。よく外国映画なんかで、女の人をパーティーに誘うのに男がドレスをプレゼントするっていうのあるじゃないですか。1度やってみたいんですけど、サイズとか判りませんよね、細かいとこは。」
「細かいとこはな(笑)だからああいうのはさ、本物の上流階級じゃなきゃ無理なコトだよ。彼女がいつも利用する御用達のブティックが決まってるようなね。男性はそのお店に行って、デザインとか色とかにああだこうだ注文つけて、んで、仕立てたドレスをお店の主人が届けると。そういう世界の話でしょ。」
「なるほど。庶民が付け焼き刃で真似しようとしても駄目なんですね。」
「駄目駄目。お仕立券付きワイシャツがせいぜいだよ。」
「それにしてもこのイヤリングは本物なんですかね。」
「まっさかぁ! これがダイヤだったらアンタ幾らすると思う。デビアス・シンジケート認定で、3桁万円じゃ済まねってぜってー。」
「イヤリングって顔の感じ変えますよね。ここの…顎の線を強調するからかな。」
「だろうね。イヤリングがあるとないとじゃ全然違う。特にショートヘアは。ただしこういう下がるタイプのやつは、耳たぶの厚い人には無理なんだよな。痛くってねぇ。あたしゃ15分としてらんない。」
「だったらピアスにすればいいじゃないですか。」
「やだっ! 前に言ったでしょお。見たのよぉ。満員電車でねぇ。ピアスの先に何かがひっかかって、それがガッて引っ張られて、ピッ!て血が…。あああっ、痛いぃっ!」
「や、やめましょうそんな痛い話は。えーとそれで最後の有季子の、『どんな物語なの』って言ったあとのニヤッていう笑顔にはちょっとドキっとしましたね。」
「ああ、あそこね。うん。鏡の中の自分の姿に、満足した笑顔だったねあれは。」
■都屋役員室■
「ノックして入ってくるちひろ。ワゴン押してくるのが何とも大企業っぽくていいねぇ。普通はお盆だよお盆。お湯呑みとお茶卓をこう別々にしといてね。」
「あ、お茶卓は別。それは大事なポイントですよね。客先でたまにありますけど、中身が茶卓にこぼれてて、お湯呑み持ち上げたら茶卓がくっついてきて、途中でテーブルに落ちてカンカラカーン!ってなる(笑)」
「あるあるある! さりとて出された奴を飲む前に拭くのも何だかねぇ。小姑のアラ探しみたいで嫌だしさ。」
「よく女性で、お茶汲みは嫌だとか聞きますけど、お客様にお茶出すのって結構難しいことですよね。まぁ同僚の男子社員にまで3時のお茶出しするのは、今時ナンセンスでしょうけど。」
「そうそう。んでもお客様にはねぇ。やっぱ女子社員が出すべきだよね。」
「ええ。差別と分担は違いますからね。」
「まぁそんなお茶汲みを初めとするサラリーマン社会の空気をさ、多少なりともこのシーンでは嗅げたから嬉しかったね。『覚悟だけでは今の都屋は動かせない』とか、『素人の二代目をニコニコ迎えるほど業績は楽じゃない』とか。そうだそうだ、もっと言ったれー!とか思ってた、私。」
「ええ、思ってるだろうなと思って見てました、僕(笑)」
「あとはやっぱ、余さんうまいねー。綾子の言葉で、『お父様のお参りに来て下さるわよねぇ』の『ねぇ』がさ、一応質問の形にはなっていながらも、有無を言わさぬ感じで語尾が下がるの。『来ないは通らないわよ』って響きね。」
「迫力ありますよね。はい、って無条件に頭下げちゃいます僕だったら。」
■ホテルの廊下■
「それにしてもすげースリット(笑)間違ってもあたしにゃ着れんなこんな服は。」
「この格好で有季子は部屋からホテルまで来たんですよね。これでもしアパートの隣の住人とかに会ったら、びっくりされたろうなぁ…。」
「たまげるよねぇ、こんなカッコで出てこられたら。いやむしろ笑っちゃうか知んないぜ。着飾った人たちの中で1人だけ普段着ってのもミジメだけど、その逆の、普段着の中に1人だけカン違いしたような礼装姿つーのもだっせーんだよねぇ! 開き直りようがないしさぁ。いたたまれないんだよね。」
「浮きますからねぇ。…で、部屋に新児がいなくて有季子が手帳に書いたメモの字。これって紀香さんの直筆ですよね。そこそこ綺麗じゃないですか。」
「うん。少なくともあたしよりはキレイだの。」
「智子さんもクセ字ですからねぇ。」
「おうさ。生まれてこのかた、習字もペン字もやったこたねぇかんな。へっ、どーだ参ったけぇ!」
「自慢にはならないですよ別に。」
■都築邸■
「素足でおざぶ。ナンか、かーいー(笑)ちょっとだけ笑っちゃった、あたし。」
「でも汚れた靴下よりはいいんじゃないですか?」
「まぁそりゃそうだ。『雨やどり』じゃないけども穴がポカリンとかな。」
「でもこのシーンはあれですよね。例によって豊川vs余、つまり新児vs綾子の駆け引きというか、なかなか緊迫した雰囲気で、前半の山場じゃないですか?」
「そうだね。新児が偽物だってカンづいてる綾子の、何か隠してるような雰囲気を新児は素早く感じ取って警戒してる。お線香立ててさ、手をこう合わせて、普通は目を閉じてこうやって拝むところ、新児は目だけで綾子の方を窺う…。この暗く冷たい表情と雰囲気。絶品だねぇ豊川さん。」
「綾子のごまかし方もさすがですね。『どういう冗談なの。それとも何か事情が…』って問いかけには、『あなたは誰?』が含まれてますもんね。それを、すぐにお参りに来なかったことへの非難に、急いで切り替える…。」
「綾子は自分自身雄一郎を利用しようと思ってるから、彼の、つーか偽物とおぼしきこの男の心を深読みしちゃうんだろうね。この男の目的は何で、それが自分の利害と一致するのかどうか。綾子が願ってるのは自分の安泰なんだから、利害さえ一致すれば極端な話、誰が雄一郎だっていい訳よ。」
「そういうことですよね。つくづく女は怖いなぁ…。」
■仁美の病院 医者と刑事の会話■
「あと2日が峠なのか。思った通りの展開だね。」
「雄一郎は脳挫傷によって、やっぱり一時的に仮死状態になってただけなんですね。」
「でも脳挫傷なら障害が残る可能性は高いよ。意識障害か記憶障害か。」
「ええ。自分が誰だか判らないってことになるのかも知れませんね。」
「うん。それが一番素直だけど、でもさ、記憶は取り戻してんのに後遺症で言葉が話せなくなって、しかも右手も麻痺しててペンさえ持てないつーのはどうかな。」
「あ、それも面白いんじゃないですか? 自分の身に何が起こったのか雄一郎は判っている。でもそれを外には表せない…。」
「そうそう。でもってそんな彼の前に新児が現れたら、さぞや雄一郎は恐怖にかられるんじゃないの? 口がきけなくて、体も満足に動かせない。そんな状態の雄一郎は、新児を見て狂気にも似た恐怖を示す。それを見た仁美あたりがおかしいうと気づく。もしかして新児のあの時の怪我は…―――って、おおっと危ねぇ危ねぇ。駄目だってばよぉ行き過ぎた推理しちゃあ。同じ間違いを繰り返すトコだった。」
「いやそこまで神経質にならなくても(笑)」
■雑踏〜ホテルのバー (タイトルを挟んで) 有季子と鷹男■
「この、ナレーションとかぶる雑踏のシーンさ、初めは誰かのキスシーンから入ったでしょ。んでその2人の間に、歩いてくる鷹男の顔が見える…。こういう演出ってすっごくラブジェネっぽいと思わない? ゲツク風というか木村達昭風というか。」
「ええ、少なくとも中江さんはやらなそうですね。」
「ねー。実に特徴的だよなぁ…。」
「で、次に来るバーのシーン。この恰好で女性が一人で飲んでたら、声をかけるのは男の礼儀ですよね。」
「そうだよねー。その通りだと思う。でもってこのドレスはさぁ、ネックレスしたらまたまた豪華だろうねぇ。有季子は何もつけてないから胸の谷間が強調されてよろしいのかも知んないけど、見た目にはあった方がゴージャスかな。」
「キャットタイプのチョーカーなんかいいんじゃないですか。」
「『キャットタイプのチョーカー』ってスラッと出るところがキミのすごさだよな八重垣…。しかしさぁ、せっかく声かけてくれた男に、有季子はちょっとつれなすぎるよなー。バーテンに飲み物オーダーしちゃったんだから、その1杯だけでもご馳走になって、一応彼の顔たててから席移ってやれよぅ。ちぃと気の毒だよなぁあの好色な殿方に。」
「へぇ、智子さんてそう考えますか。」
「うん。そう考えるよ。『そういう気分じゃございませんの』って言えるカッコじゃねぇよアンタ。男誘ってるってそのドレスは。」
「それはありますよね。そうして次に現れる鷹男。なんで有季子がここにいるって判ったんでしょう。」
「多分、先に新児の部屋に行ってみたんじゃないの。で、そこで有季子がドアに挟んだあのメモに気づいた。鷹男なら見てすぐに有季子の字だって判ったろうし。」
「ああなるほどね、あのメモを見たんですか。」
「じゃないのかなぁ。それにしてもこのシーンの2人…有季子と鷹男、つーより紀香と吾郎。息合ってんの判るよね。精一杯気取ってた有季子なのに、鷹男の顔見たとたん素に戻った感じ。派手なドレスも気取ったバーも、何だか彼女に似合わなく感じる。」
「役柄としてもいいコンビなんでしょうね、この2人は。」
「うん。あのさぁ、これは欲目かも知れないけど…って最初に断っとくけども、吾郎はさ、『河瀬鷹男』ってキャラを、自分のものとしてちゃんとした性格づけしてある気がするな。鷹男は有季子をどう思っていて、この時どう感じているか…。そんな、キャメラが映さない、かつシナリオにもないシーンを、裏地みたいに鷹男の内部にきちんと縫いつけてあるんじゃないかな。」
「まさしくガラスの仮面ですね(笑)『初めに心があって動きがある』でしたっけ?」
「そうそう。何かを100%相手に伝えるためには、自分の中に120%ないと無理なんだよ。キャメラの前に現れない鷹男を、吾郎はちゃんとつかまえてあるんだろうな。これってさ、『舞台』が彼に教えたことなのかも知んないね。ディープ山崎にしても井手博臣にしても、一個人のキャラを自分の中で立体的に創りあげてないと、生の舞台では薄っぺらさを客に見抜かれるからね。演じ手と観客が同じ時空間を共有する以上、客の視線と直感はTVなんぞよりずっと鋭いよ。」
「語りが熱いですねずいぶん(笑)演劇部の血が騒ぎますか?」
「騒ぎます(笑)暑苦しかったらごめんね(笑)」
■都築邸■
「この玄関の明かりってさぁ、ヤマギワのじゃねーか?」
「知りませんよそんな(笑)またいきなり妙なことを。」
「いや、ウチの会社じゃインテリア・コーディネイターのお姉さんたちが、よく照明器具のカタログ見てるからさ。それにしてもすごいお屋敷だねここ。」
「ええ。個人の家っていうよりホテルみたいですね。」
「こういうのって新児の趣味じゃないんだろな。ちょっとケバすぎとゆーか…。むしろわざとケバめに演出してあんのかもね。新児の思う世界とは、違ってるんだよと示すために。」
「ああ、それはあるかも知れませんね。」
「でもって前回の推理、当たってたね。綾子は本物の新児の写真、見たことあるんじゃないかっていうの。」
「当たってましたね。って別にこのドラマは推理ものじゃあないですけど。」
「井上さんの伏線の引きかたがうまいんだよ。伏線てのは誘い込みでもあるんだから。」
「『いったい誰なの…』ってつぶやく綾子の横に、都築勇三の遺影があるのもいい画(え)ですね。」
■ガード下のタクシー■
「ここはもぉ豊川ファンが悲鳴上げたシーンだね。コーヒー飲み干したあとヘッドレストに頭乗せて溜息をつく、あのハダけかけた衿元がさぁ、『んぎゃあー!』なんだろぉな。もぉ全身ゾクゾクもん?」
「でしょうねぇ。判りますよ僕も。ゾクゾクまではしませんけど。」
「アンタがゾクゾクしてどうする(笑)あの首の線はさぁ、あれは30代の男のモンなんだよねー。男の体ってさ、変わるでしょ歳とともに。身長とか、太った痩せたに関係なく、だんだんガッシリしてくるっていうか。骨が太くなるみたいな変わり方すんのね。」
「そうですか?」
「うん。私の経験的には、そう。」
「どんな経験なんですか? って僕に水向けさせようとしてるでしょ(笑)」
「あら判る?(笑)」
「判りますよ。今さらカッコつけてどうするんです。何を聞いたってもう誰も引かないですから、遠慮せずガンガンいっちゃって下さい。」
「ほいじゃ、まぁお言葉に甘えて(笑)…あたしさー、結構さー、長いことつきあってる殿方がいんだけどさー。別にステディな関係じゃないんだけども向こうも独身だしね。気楽な男友達って感じなんだけどさ。たまーに思い出したようにお酒とか飲んで、まぁ、その時のノリで、そうゆうコトもあるという…まぁそんな仲なんだけどさ。」
「はいはい判ります。大人のつきあいですね。」
「でさぁ。そうやってたまに会う相手って、法事で会う親戚の子供みたいなモンですごく変化が判るでしょ? だからソイツの体で判ったんだけど。ソイツ、20代の時と今とで体つき全然違ってんモン。肩とか胸板がね、何つーかなぁ…硬くなる? 堅牢になるとでもいうかなぁ。」
「へえー…。そういうのって男より、むしろ異性である女の人の方が判るのかも知れませんね。男同士でお風呂入ったってそういう見方はしませんし、別に相手の胸板なんか触りませんから(笑)」
「そりゃそうだ。んでも逆に言えばそれって、女の体の変化については男の方が詳しいってことだよね。」
「おっと(笑)何か言わせたいぞその目は(笑)」
「ぴんぽーん(笑)さぁて皆様お待ちかね、八重垣くんの『女体の神秘』コーナーでぇ〜す! さて今週はどんな秘話が飛び出すのでしょうかっ!?」
「ちょっとちょっと(笑)勝手にコーナー作んないで下さいよ。これって『危険な関係』の座談会なんですから…」
「まぁまぁ。この座談会はむしろ合間の雑談がオモシロイっておっしゃって下さる方、多いんだからさ。ファンサービスだよ八重垣くん。判るね? ファンサービス。」
「サービスって…。うーん…(笑)まぁそうですねぇ、女の人の体の変化…………………………♀………………
やっぱりメールにしませんか?」
「そうする?」
「そうしましょう。ちょっと…ねぇ。ここでは言えません(笑)こんな公の場で(笑)」
■バー、有季子と鷹男■
「ここは吾郎ファンにとっては美味しいねぇ! 第3回まで見てきて思うんだけどさ、正味45分のドラマの中に、長いシーンと短いシーンがすっごくバランスよく組み合わされてんだわ。前・中・後に1つずつくらい、それぞれ長めのシーンがあってね、そこでは印象的な伏線だの、重たいテーマだのが描かれてる…。これってこのドラマの1つのパターンだと思うよ。」
「へえ。そういう見方もあるんですね。」
「でもって私見だけどね。このシーンはその”前”部分の山場として、けっこう重要な意味あると思うよ。有季子の人物像と鷹男の考えを視聴者に伝えるっていうね。」
「ここでの鷹男は何だか、有季子のお兄さんみたいな感じしませんでした?」
「したした。ここでの有季子のさ、『ちゃんとつかまえられるものが欲しいの。恋愛みたいにフワフワしてるものじゃなくて』って台詞は、女性脚本家だから書ける言葉だと私は思うねー。少なくとも眠森にはただの1度も出てこなかった、『うんうん、そうそう!』とうなずける女の本音。」
「智子さんがあのドラマを嫌いになった一番の理由ですもんねそれ。」
「そ。女を描けないにもホドがあると思ったもんね。まぁこの解釈も、人によってそれぞれだとは思うけど。んでもここでの有季子ってキャラにはリアリティあると思うよ〜。『恋愛よりもっと確かなものが欲しい』って言葉は、鷹男にとってはすごくキツいじゃない。『あなたとの関係だけじゃ、私は真に満足できないんだ』ってハッキリ言われたようなモンだから。そりゃあ鷹男も、『俺、下りるわ』くらい言いたくなるって。」
「でもそう言って立ち上がった鷹男を見上げる有季子の目は、何だかすごく寂しそうじゃありませんでした?」
「そうなの。だからそこなのよリアリティは。『確かなモンが欲しい』とか何とか言いつつ一方で、頼れる男性がいなくなるのはきわめて不安…。相矛盾するこの両方がね、常に女の本音なんだよ。どっちか1つでは絶対にないの。この矛盾の微妙さを描き取れるのって、やっぱ女流の筆なんだと思うよ。それを田辺聖子さんは『複眼』と称した。才能ある女流の筆が複眼で捉えた登場人物は、とても立体的な姿をしていると。」
「じゃあ男性キャラである鷹男についてはどうですか。男の本音になってると思います?」
「うーん…。あくまでも『女が見た男の本音』だとは思うけどね。私が面白いなと思ったのはさ、女っていうのはひょっとして、元来男よりも本能的で右脳優先で、割り切れない生きものなのかも知れないよね。だからこそ現実的な、目に見えるものを女は欲しがる。お金とか妻の座とか、それに有季子が求めてる『仕事を通しての人生の手応え』とか…。まぁ手応えなんてのも実は観念的なモンなんだけど、相手の気持ちに大きく左右される恋愛よりは、少なくとも自分の思うようになるからね。」
「ふぅん。なるほどねぇ…。」
「ところが男ってのは全く逆で、日々現実のど真ん中に生きてんだわな。鷹男だって社会的にはアウトローっぽいフリーライターなんて仕事してても、食っていくための自分の腕はシビアに理解してるんだと思うよ。『カッコいいことに真実なんてないの』。これは社会の冷たさに打ちひしがれたことのある奴にしか言えない言葉だよね。そんな風に現実を生きてる”男”ってモンにとって、当然現実的なものになんか興味は湧かない。だから精神的な、頼りなくて掴みにくいものにこそ、男は憧れるんじゃないのかな。恋愛しかり冒険しかり。」
「ずいぶんと深いところまで話を掘り下げましたね。」
「ねー。井上さんにヤラれてんだよねこれね。まぁハナシが固くなったから柔らかいとこに戻すと、これさぁ鷹男さぁ、ダマされたと思って前髪上げてタキシード着てみな? 有季子も案外クラッとくるかも知んないぜ。」
「河瀬鷹男じゃなく伊達徹になるんですね(笑)もしくは佐竹城。」
「そうそう。あとねー、気がついて笑ったのがねー。鷹男ったら帰る時、会計してなくないかぁ? 捨てゼリフで決めるなら、万札1枚おいていけ〜!」
「きっと不可能なんですよ。現実に生きる身としてはそれが辛いところなんだな(笑)」
■タクシー乗務中の新児■
「バーにいる有季子のアップに、街のイルミネーションがかぶってシーン・チェンジ。なかなか綺麗じゃないですか。」
「そうだね。まぁここでのタクシーの客は、これまたえらくマンガちっくだけどもね。一昔前の『お金持ちファミリー』って感じ。昭和初期の匂いが漂っとるぞ(笑)」
「もしかして女性脚本家っていうのは、さっきの有季子の本音みたいな心情表現は得意でも、その…権力社会とか組織とかについては、どうしても類型的になっちゃうのかも知れませんね。」
「あ、それはあるかもなー。骨太の物語構成つったら、男性の方が得意かもねやっぱ。」
■有季子のマンション■
「これってさぁ。どうなのかねぇ。いくら有季子が刑事だつっても裁判所の許可なく家宅捜索はできねーべ? 若い女だぞ相手は。いくら同僚だからって。」
「いえ同僚だからこそ、有季子が事を荒立てられないのを知ってるんでしょう。辞表出してからなら彼女も堂々と違法捜査の被害者になれるでしょうけど…。いや被害者は無理か、実際に持ち出してるんだから。」
■みどりタクシー営業所■
「ねーねー、この事務の小父さん。なんかさ、ちょっとだけオブチソーリに似てない?」
「総理って(笑)いきなりまたすごい飛躍ですね。」
「あたしゃどーも今でもね、あの人にはオブチソーリっていうより小渕官房長官のイメージ強くてねぇ。だってあの人の顔はさ、日本の歴史に永久に残るでしょうよ。『新しい元号は、ヘーセーです!』つったあの一瞬のゆえに。」
「そういえば一時、『平成おじさん』とか呼ばれてましたよね。マスメディアの力なんですかねこれも。」
「まぁそれは置いといて、このおじさんは人がいいんだろうね。」
「小渕総理がですか?」
「ちゃうねん。タクシー会社の事務員さんやねん。新児が出ていったあとでさ、自分も腰をさするじゃん。あれって新児の言葉を全然疑ってない証拠だよね。」
「多分、普段から新児が真面目なんでしょうけどね。それに腰痛はドライバーにとって職業病なんですよ。」
「あー、判る判る。座りっぱなしはどうしてもねぇ。八重垣くんも気をつけなさいよ。30になったらギックリいくから。」
「その点はご心配なく。これでも寝る前に腰痛体操やってます。」
■ホテルの部屋・新児■
「この前ちひろが隠れてた時、トランクを切り裂いて探してたのはパスポートだったんですね。」
「そのようだね。ま、真っ先に処分すべきものではあるな。」
「でも部屋の中で物燃やしたらスプリンクラーが作動するんじゃないのかな。」
「さぁどうだろ。パスポート1冊くらいなら大丈夫なんじゃない?」
「これでいきなり天井から水が吹き出したら、コメディ、っていうよりコントですけどね。」
■有季子の部屋・捜索続く■
「ののさんていい人じゃんねー! 有季子! 新児も鷹男もやめてののさんにしなさい!(笑)」
「ああ、うん、いいんじゃないですか? 一生大切にしてくれそうですよね。」
「ねー。これはもう仲間として応援してるだけじゃない。惚れてんべ惚れてんべぜってー! ヒューヒュー!」
「フロッピーの間に赤いチューインガム。いいですねこれね。彼の無言のエールだ。」
「ののさんが引き出し開けた時さ、有季子が顔伏せるじゃん。あれって下着触られるのが嫌なのかと思ったら、ちゃっかりその下に隠してあったのね。」
「僕はまたてっきり、鷹男の部屋にでも預けてあるのかと思ってましたよ。」
「うん、私も思った。でも違ったみたいねー。」
「でもこういう場合、書類もフロッピーもコピーとったら原本は戻しとくべきですよ僕に言わせれば。疑われるに決まってるじゃないですか。」
「いや、でもさ、戻しに行って見つかったらヤバくねーか?」
「…あ、そうか。そういえばそうですね。」
「ふふん。あんたもまだまだ、ツメが甘いねぇヤエガキ!」
■都屋本社■
「さしもの新児もさすがに臨時取締役会には、Yシャツに素足では来ないか。んでもこの白いベストが、ちょっとだけマフィア風でかっけーね!」
「でも会議室に集まってる人数、馬鹿に多くないですか? これだけの取締役がいるのって、よっぽどの大企業ですよ。」
「うん。ウチなんか3人だもんな(笑)」
「スーパーマーケットだけじゃなく、都屋はいろいろやってるのかも知れませんね。不動産とかレストランとか、ゴルフの会員権とか。」
「ああ、バブルの頃に手を広げた新規事業な。ありがちありがち。でもってそれが大赤字でさぁ。本業たるスーパーの利益をガインガインに食っちゃってるとかな。はっはっ、リアルだ!」
■都屋の前・鷹男と有季子■
「鷹男のヘアスタイルさぁ。この角度で後ろから見ると何だか…あひるを裏から見てるみたいでラブリィね。」
「あひるを裏からって(笑)どういうのですかそれ。」
「ほら、よくさ、公園の池とかでこう、エサを取るのに逆立ちしてんじゃん。水の中に頭つっこんで。文字通りのダックテイル。」
「なるほどね(笑)で、そのダック君に続いて有季子も偵察に来るんですね。彼女の視線から隠れるみたいに中に入っていく鷹男は、これはやっぱり惚れた弱みって奴ですか?」
「うん、もちろんそれはあるだろうけど、今までの彼はいってみれば有季子の助手にすぎなかった。頼まれたことをただ調べて報告してやっただけ。んでも『下りる』と言ったあとの彼はさ、自分から、自分の意思で、都屋の事件を調べ始めたんだよね。たった1人で50億の横領事件を暴こうとしてる有季子の、単なる後方援護射撃じゃなく、同志として新たに参戦したつーか。」
「じゃあ鷹男が『下りた』のは、事件の捜査からじゃなくて有季子のアシスタント君を下りた…?」
「うん。そうなんじゃないかと思うよ。今の鷹男にとって都屋の事件は、同志・有季子のために、また『ペンは剣より強し』を体現すべきプロのライターである自分のために、全力で向かわなければならない『自分の事件』になったんじゃないかなぁ。だからこそ彼は、そのうち新児と全面対決するようになると…そんな伏線も兼ねてんじゃないの?」
「なるほど。それでこそ鷹男はキーパーソンな訳ですね。」
「うん。ただのあひるの裏返しでも困らぁね(笑)」
■取締役会■
「ここで紹介される新児のプロフィールって、結婚披露宴の『褒めそやし』みたいじゃありません?」
「あはっ、言えたねー! 本人曰く高校中退の『落ちこぼれ雄一郎』を、優秀な成績を修めたの自由な発想で語学を学んだの…。それを聞いてる新児の心の中には、またもや雄一郎の残したあの命題が蘇ってくる訳だ。すなわち『人間はラベルなんだよ。試しにゲームをしてみよう』…。」
「ここでの新児の挨拶は、変な言い方ですけど『怪我の功名』みたいな面もありますよね。」
「え? どゆことどゆこと?」
「新児は言うじゃないですか、『自分は都屋のことは何も知らない』って。本当は魚住新児なんだから知らないに決まってるのに、役員たちにしてみれば能ある鷹の台詞に聞こえるし、『都築勇三を捨てることです』っていうのも、実際は雄一郎を殺しそこねた犯人で、かつラベルなんかクソくらえと思ってるから言ったことなのに、役員たちにすれば並々ならぬ決意と覚悟に思える…。」
「ああそうだね。確かにそういう効果があるよね。…ってソレでまた思い出した。ウチの親会社の社長の話。」
「親会社っていうと、ヒガシがCMやってる住宅メーカーの社長ですか?」
「そうそう、そこのオーナー社長。彼はね、仲間と始めたちっちゃな会社を弱冠35歳で上場させたってんで、経済誌とかに大々的に注目されたまではよかったんだけど、そこでオイルショックとか来ちゃってねー。当然会社はつぶれかけたんだって。今までとはガラリと違った経営方針にしなきゃいけない、でもそのためにはしがらみが多すぎる…と彼は悩んでね、ある日突拍子もない決心をして、役員会議に臨んだ。そこでの彼の開口一番。
『○○社長は、死にました。』」
「ああ、知ってます知ってます。住宅業界では割と有名な話でしょう?」
「ありがとう知っててくれて(笑)まぁ愛社精神なんてモンを強制されっとヘドが出っけどさ、自分のトコの社長だろうとヨソの会社の部長だろうと、立派だと思える人は素直に尊敬すりゃいいと思うんだ。○○社長はねー、それこそシャトー・マルゴーの教えじゃないけど、会社の体質を変えるために、まず自分が一旦死んで生まれ変わった。小説やドラマじゃなく生身の人間の決断だからさぁ。これってやっぱ、偉いんじゃないの。うん。」
「普通は言えませんからね、過去の業績を全部自分でご破産にするような発言は。でも、雄一郎としての過去なんか1かけらも持っていない新児には、それが平気で言えたって訳ですよね。」
「そんな彼を上目使いにじっと見る綾子と、誇らしげに笑うちひろ。この2人の女の対比もなかなかいいよね。」
■社長室■
「ここはもぉ豊川さん、独壇場だなぁ! 中盤の山場だしねここが。」
「社長の椅子の座り心地は、とりあえず悪くないって表情ですよね。」
「そうだねー。男だったら1度は座ってみたいだろうからね。でもって携帯電話と名刺を置いて出ていこうとしたちひろを新児は呼び止めて、ノブにかけた彼女の手を、こう上から押さえてドア閉めさせるじゃない。もぉもぉ、あれにはドキドキー! あたしがちひろだったらさぁ、感じちまってるねぜってー。」
「ええ判ります。だろうと思いますよ。」
「んで、ここのセリフがさぁ、『君のおかげだよ』じゃなくて『あなたのおかげです』ってェのがいいんだよなー! あのさ、『ルビーの指輪』って歌あったやん? あれって松本隆さんの詞がさ、自分のことを『俺』、恋人を『あなた』って呼んでんだよね。あれは当時新鮮だったなぁ。その呼び方だけで2人の関係が、都会的に垢抜けた大人の恋なんだって判るじゃん。まァたそれが歌ってる寺尾聡さん本人の雰囲気にもピッタリ合ってたもんだから、それであんなにヒットしたんだと思うよ。男の人に『お前』でも『君』でもなく『あなた』って呼ばれるの、素敵だもんねぇ女としては。」
「きっと井上さんも、そのへんを判って書いてるんでしょうね。」
「だよねぇ。『夢を見てただけ』って言うちひろに、新児は『夢じゃない』と答える。『どういう意味ですか』との問いかけには、ふっと笑って答えない…。これもさぁ、くっそぉやるな井上って感じ?(笑) 答がないことでかえって、ちひろの妄想は肥大化する。逃れらんない深みに自分から転がり落ちてっちゃう。…んで、そんな甘〜い会話のあと、冷たい無表情で父親の写真を叩きつける新児。この落差もたまんないよね。」
「ええ。ちひろが怯えるのも判りますよね。この冷たさは悪魔的ですよ。」
「息子は半殺しにされるはテメェの写真は割られるは、勇三ぱぱにしてみりゃ新児は天敵みたいな男だね。」
「でも僕思ったんですけどね。あの高価な置物のたぐい、額とは違って床で砕けるところは映ってないじゃないですか。もしかしてあれ、カメラから見えないところに布団とか敷いてあったら笑えますね。」
「なに、割ったんじゃなく実際はそこに叩きつけてるってぇ? ははっ、やるなぁ美術さん、せっこー!」
「いいえ、人間、ものを大事にする気持ちは大切ですよ。」
「ああ、まぁ、確かにな(笑)」
■都屋本社前■
「車に乗ろうとした新児にかけるちひろの言葉。『あのう…』は違うだろ。『社長』だろ。秘書ならしっかりしろよ、もぉ。」
「経理から出たっていうこのお金、幾らですかね。20万…30万くらい?」
「おそらく『就任祝金』って奴だね。ピン札であれだけの厚さなら…そうねぇ…。30万あるんじゃないか? だって帯のかかった100万円の束って、厚さはたかだかこんくらいのモンだよ?」
「羨ましいご身分で。…ってついひがんじゃいますね。自由に使える金がポンと30万かぁ…(溜息)夢みたいな話だなぁ。」
「でもってこのお金の封筒をさぁ。懐にしまう仕種が決まってんだ! ああっもう、豊川さんセクシー!」
「彼を見送って戻ろうとしたちひろに、ここで鷹男は声をかけるんですね。この選択は間違ってないな。企業の最新情報は女子社員が持ってますからね。」
「そうなのよねー。社内情報伝達路の何が強力かって、女子社員のおべんと会議ほど確かで素早いモノはないかんね。インターネットなんてチョロいチョロい。」
「本部長も知らないような異動情報、女子社員は真っ先に知ってたりするでしょう。驚異ですよねあれね。」
「歴史の影に女あり、って本当だよね。」
「いやそれとはちょっと違うと思いますけど(笑)」
■2台の車中・新児と有季子■
「運転手にさ、新児はしきりに話しかけるじゃない。もしかして運転巧いなとか思ったのかもね。」
「かも知れませんね。でも『運転手さんも僕も同じ人間じゃないですか』っていうのは、ちょっと嘘くさくありませんか(笑)新児にしてみれば本心なんでしょうけど、言われた方はくすぐったい。」
「いや、この歳の運転手なら感激したんじゃない? 相手が若かったら新児も言わないだろうし。」
「そうかも知れませんね。で、ここで再登場の車椅子の女の子。いったい何者なんでしょうか。」
「うんうん、誰だか気になるねー! で、車おりて歩いていく新児と追っていく有季子。これって新児はさ、有季子がタクシーでずっと尾行(ツケ)てきてたの知ってたのかな。」
「うーん…どうでしょうねぇ…。チラッとバックミラーは見てましたけど。新児はこの時、特にどこへ行くあてもなく車に乗ってたんですよね。」
「みたいだよね。見送るちひろも『行ってらっしゃいませ』とは言ってないし。」
「彼には特別な予定はなかった。偶然あの時の車椅子の女の子を見かけて車からおり、彼女を追うでもなく歩いているうち、有季子の尾行に気づいた…。とまぁそんなところなんでしょうか。」
「本職の刑事がシロートに気づかれてどうすんだろね(笑)」
「それもそうですけどね(笑)」
■喫茶店・鷹男とちひろ■
「ここはまたまた吾郎ファンにとってはツボだらけよ〜。まずはちひろに、『雑誌に載せてやるって言ってフーゾクに誘うケースが多いらしい、あなたも少しそう見える』って言われて『あら』ってなるとことか、『秘書のインタビューとりたい』って口滑らしたあと慌ててフォローするとことか。でもってねぇ、そのフォローでねぇ。鷹男ってば『どことなくちゃんとしてるし』って言って、ちひろの胸のあたりでこうさ、アンタ実は触りたいんやろ、って感じに両手を動かすんだよね。『ふふん』なんてえっちっぽく笑って。…気づいた?」
「いや、イナガキのそんな細かいとこまで見てませんよ。僕は今回、彼には辛口なんですから。」
「ああそうでございましたわねと。チッ、かわいくねー奴。」
「でも鷹男みたいなこういうライターが、秘書のインタビューをとりたいって言うのは判りますね。」
「おやそう? 秘書ってのはやっぱ男の人から見て、一種のブランドな訳? スッチーみたいに。」
「スッチーってほどはないですけど…。まぁねぇ、多少はあるんじゃないですか? 会社同士の合コンの幹事とかやっても、相手が秘書課だと参加希望者多いですよ。メールがわっと来たりします。」
「おいおい社内メールを合コンの人集めに使っとんのかお主。でもまぁ実は電子メールって、そういう場合にいっちゃん便利なんだけどな(笑)」
「そういえば智子さんて、大学時代銀座で秘書にスカウトされたとか言ってませんでした?」
「あれ、そんなこと言ったっけ。まあね、昔の話よ。銀座のつばめグリルにいた頃の話。」
「セゾン劇場の並びの、ですよね。」
「うん。あそこってほら、銀座つっても1丁目だから京橋に近くてね、ランチタイムはビジネス街なみに忙しいのよ。ピークは12:15くらいで、1時すぎるとぱたっと波がやむの。でもってその12時すぎのいっちゃん忙しいパニクってる時間にさぁ、ヘンなオヤジがテーブルに座ってさぁ。私がオーダーとりにいってね、伝票持って『ご注文は?』って聞いてんのに、ソイツってば私の名前とか学校を聞くのよ。はぁ?てなモンで、『あのお客様、ご注文…』『君、どこに住んでるの。ここバイトだろ? 長いの?』あたしゃムッとしてさ、『お決まりになりましたらお呼び下さい!』って放り出したんだ。ほしたらまた、ヒトがレジにいる時に立ってきて、会計しながら何だかんだ聞くんだわ。後ろに他の客が待ってんのにだよ? やっと帰ったと思ったら、その日の2時ころ電話かかってきてさ。」
「つばめにですか?」
「そ。何かと思って替わったらやっぱ今のオヤジで、そいつってばすぐそばにある貿易会社の人事課長でやんの。『実は副社長が君を是非秘書に欲しいと言っているので、いついつの何時に面接に来なさい』だって。ふざけんじゃねーと思ったからさ、『申し訳ありませんが、ランチタイムの忙しいさなかに店の迷惑も考えないような人事課長のいる会社には、死んでも行きたくありません!』つって受話器叩きつけちゃった。今にしてみれば惜しかったかなと思うけど。」
「銀座にある貿易会社っていうと…どこだろう。有名なとこですか?」
「うーんとねぇ、ファッション誌にはよく広告出してるから、読む人は知ってると思うよ。時計とか宝飾品扱ってる会社。それにしてもよぉ、てめェの行ったレストランに、いくら美人で気がきいて、笑顔が大輪の薔薇のような女の子がいたからってよ、すぐに秘書に欲しがるなんざァどんなスケベなヒヒ爺ィなんだかね。間違って入社でもしててごらんな。何のお相手させられたか判ったもんじゃねーぜ。ぷりぷり。」
「…(咳払い)次、いきましょうか。」
「待った待った待った(笑)あと、いいですか1つだけ(笑)あのさ、ちひろはさ、喫茶店出ようとしたのに鷹男に説得されて残った訳だけど、もう1度席に戻る前にチラッと鷹男を見るんだよね。その時彼は椅子に座って、窓の外見てコーヒーカップを口に持ってってる。この横顔がけっこうイケててさ、ちひろは『よく見ればこのコもちょっと可愛いじゃない?』くらいに思って、話聞いてやる気になったんだろうね。いい男は大好きなんだな。分かりやすくて好きだわぁちひろ。」
■路上・新児を尾行する有季子■
「ここのさぁ、豊川さんの後ろ姿。もー、なんでこんなカッコいいのぉぉぉ? 黒いスーツの肩の感じが…さっきも言ったけど30男のイロケなんだよねぇ。俳優さんってさぁ、やっぱ背丈があった方が有利かも知んないねぇ、悔しいけど。」
「悔しがることないじゃないですか。イナガキだって176はあるんですし。」
「うん。彼も拓哉も、決してちっちゃくはないんだけどねぇ。」
「この街の感じは、何だか銀座っぽいですよね。」
「ぽいぽい。みゆき通りとか…。でも判んないよ、案外千葉の方かも。」
■喫茶店■
「鷹男の誘導尋問、うまいじゃん。有季子より刑事の素質ないか?」
「ええ。『偽物には偽物のプライドがある』っていうのもよかったですね。妙に納得しました僕。」
「うんうん、あれはシャレてたね。でもちひろはさ、新児、つーか雄一郎を、『すごいかたよ、尊敬してるの私』とかって言いながら、写真や置物を床に捨てたあの時の彼には、やっぱ異様なものを感じてたみたいだね。その場面を思い出したら急に黙っちゃったでしょ。」
「それで鷹男も、おや?って顔しましたよね。『あんまり社内に明るい話題がなかったから』ってちひろはごまかしましたけど、混ぜ物ワインの件はいったい、社内でどれくらいの人間が知ってるんでしょう。」
「末端の警備員まで知ってたぜ? 第1回では。」
「だからあれは違いますって。あの警備員は製造ラインにいた元主任か何かなんですよ。」
「ああそうか(笑)八重垣フォローはそうなってたっけね。」
「でも呆れたことにちひろは、あの写真を雄一郎の手帳に戻さずに自分で持ってきちゃったんですね。あーあ、いけないなぁ。窃盗罪だそれ。」
「あ、ちょっと待って。鷹男は落とした写真を拾って、しっかり見てたよね。てことは本物の雄一郎の顔を、鷹男は覚えた可能性がある。てことはさ。もしも彼がこの先、仁美の病院にいる身元不明の男性と接触する機会があったとしたら…」
「そうか、あの写真の男だって鷹男は気づくかも知れませんね。うわ、何だかサスペンスだな。」
「なーんて、判んないけどね。ひょっとしてそんなのもアリかなーと思って。」
■オープンカフェ前の噴水広場■
「いよっ、出ましたこれぞ今回の最大の山場! 演出を木村達昭さんにしたのもこのシーンのためやろ! って感じの。」
「ここの映像、本当にゲツクっぽかったですよね。あの月と教会と噴水の取り合わせが。」
「携帯が鳴ってさ、有季子が出るじゃない? そうすると相手は低い声で、自分が誰か判るかと言う…。これにはさぁ、自らの記憶を呼び覚まされちゃうよねぇ。待ち焦がれた相手からの最初の『もしもし』のときめき。はっ、とした時ってさ、本当に言葉が出なくなるでしょお。時間も一瞬止まるしね。」
「あの時のあの感覚は、男も女も同じなんでしょうね。胸の中に明かりが灯ったみたいな、幸せな気持ちになりますよね。」
「なるなる。ぱぁっと花が咲いたみたいなね。ニジマスでいえば全身に婚姻色の紅色があらわれる感じ? うーんうちらは動物動物っ。」
「なんでニジマスが出てくるんですか(笑)本当に智子さんて、変な発想する人ですよねぇ…。」
「いんやぁ、ここでの豊川さんには、女をニジマスにするくらいの力はあるぞ。もし私が有季子の立場だったとしても、鷹男と新児とののさん出されたら新児選ぶ。ぜってー。」
「ののさんでいいじゃないですか(笑)」
「何つーかねぇ…。男の、ひときわ熟成された、より高密度なフェロモンなんだよね。彼に比べれば鷹男はまだまだヌーヴォーなのよ。若々しい新鮮な青臭さが残ってる。もちろんそれが彼の輝きなんだから捨てる必要はどこにもないよ。けど新児の場合はすでに、男として芳醇な香りを放ってるんだよなぁ…。深いのよ。海みたいにゆったりしててね、悠揚迫らざるっていうか。」
「あのですね、僕、今思ったんですけど、時代はそろそろ年上の男がトレンドなのかも知れませんね。『美しい人』の田村正和さんがむしろ新鮮に思えるほど、ここしばらく年下の若い美青年を主人公にしたドラマが多かったじゃないですか。でもそろそろこのへんで、”大人の男”が巻き返してもいい気はしますね。いえもちろんSMAPの人気がどうのこうの、そういう意味じゃありませんよ。」
「判る判る。だってSMAPくんたちは純然たる役者さんじゃないもん。オールマイティーのエンターティナーゆえ『役者も十分にこなす』ってだけでね。」
「女性歌手にしても今は、人気があるのって若い子ばっかりじゃないですか。SPEEDなんてほとんど子供ですよ。別に若くて悪いとは全然思いませんけどね、中堅以上がちょっと大人しすぎますよね。」
「言えた。紅白なんか見てるとつくづくそう思う。何でヒカルが辞退したくらいで大騒ぎになんのよねー。北島のさぶちゃんが辞退したら慌てなさいよ国営放送。…まぁそれは置いといてだ。新児はここでさ、ちひろにしたと同じ話を設定だけ変えて有季子にもするじゃない。『もしもこんな風にして出あわなかったら…』って。」
「ええ、言います。思うに新児は、鷹男より小説家の素質ありそうですよね。『みすぼらしいアパートの隣人同士で、決まって朝のゴミ捨て場で顔を合わせる』なんて。思わず読者は引き込まれちゃいますよね。」
「ほんっとほんと。もっと頑張んなきゃ駄目だね鷹男はねー! 有季子とられるだけならまだしも、小説家にまでなられてどうする(笑)」
「で、それに対する有季子の答が、新児にとっては意外だったんじゃないですか? 『あなたがどこかの会社の偉い人だなんて思えない』っていうのは。」
「うんうん。それ聞いた時の新児、ふっと反応したもんね。彼が何より求めていた言葉なのかも知んないよね。ちひろには汲み取れなかった答。『人間はラベルじゃない』ってこと。」
「有季子って28歳でしたっけ。女性としても十分、人生キャリアがありますからね。」
「ここで噴水が止まるじゃん? まさにゲツクの世界だけど、クサい演出だと知りつつもついつい陶酔するねー。『そんな都合よく水が止まるかー!』なんて、ちっとも思わないんだよねぇ。ドラマチックの勝利だなこれは。」
「ええ。いってみればこれは、『虚構が現実に勝つ瞬間』ですか?」
「おっ、いいこと言うなぁ八重垣! そうなんだよね。いいドラマにはそういう力があるんだ。」
「携帯を切られちゃって、有季子は新児を追おうとする…。ここでいきなり飛び出してくる車、危なかったですよね。実際はプロのカースタントマンか何かがやってるんでしょうが、見ててもヒヤッとしました。」
「見失っちゃう、と思って彼を見る有季子の顔は、これはもぉ刑事じゃないね。一人の生身の女だね。やるじゃん紀香さん。熱演だよ。好演ていってもいいや。予想以上だよ。」
■綾子と秘書■
「この2人はこれまたドロドロしてますね。ゲツクから突如昼メロの世界って感じで。」
「綾子は情夫である秘書に、雄一郎の香港のアパートを調べさせたんだね。でも特に不審なとこはなかった。手にした写真を、ポンと放り出すのがいいね。」
「慎重に進めなきゃならないから、綾子も真剣なんでしょうね。」
「でも唯一の味方にしちゃあ、ちょっと役不足だなこの秘書。せめて鷹男クラスのフトコロ刀が欲しいよねぇ。」
「綾子が鷹男を知ったら…。それってヤバくありません?」
「ヤバいヤバい。パックンされる、ぜってー。」
■ガード下■
「こういうとこってさ、よくタクシー停まってるよね。誰も乗ってないのかと思って覗くと昼寝してたりして。」
「ええ、いますね。溜まり場みたいに何台かいることもありません?」
「うんうん、営業サボッてるどっかの社員とかも混じってるな(笑)んでも最近さぁ、このドラマのせいでそこらに停まってるタクシーの運ちゃんが気になってしょうがないの。ついつい顔とか見ちゃうんだよねー。手袋してるかな、なんてチェックしちゃう。」
「そういえばどこかの裁判で、タクシードライバーを雲助呼ばわりしたって記事がありましたよね。タクシー運転手っていうのは決して、いわゆる『いい仕事』じゃないのかも知れませんけど…。これをきっかけに希望者が増えたら面白いですね。危険な関係の意外な効果(笑)」
「あるかもよー。この世紀末カウントダウンの時代、何があっても不思議じゃないって。」
「でも感じのいい運転手さんに会うと、ほんと嬉しいですもんね。丁寧だし親切だし、そういう時って僕、絶対お釣りもらいませんよ。」
「そうだよね。あのさ、前にとある観光地でさ、ホテルへの行き方判んなくてタクシー乗ったのね。そしたら案外近くって、歩いても10分かかんないって判ったの。運転手さん曰く『まだメーター倒してないですから、下りますか? いいですよ別に。』って言ってくれたのよ。なんか感激しちゃった。荷物もあったし、そのまま乗せてもらったけどね。ほしたら美味しいお店とか、どこどこで特別展やってるけど午前中に行けばすいてるとか、親切に教えてくれてさぁ。大感激だったよ。」
「観光地の運転手さんて、比較的親切ですよね。都内はな、ピンキリだからな…。」
「新児みたいな運転手さんだったらいいなー! …とか言いつつここのさぁ、諦めて行こうとする有季子を、シートに起き上がってじーっと見る新児の目は怖いね。言い方に語弊があるけど、ヘビみたいな目。底光りとも違う、すっごく強い視線なの。」
「回送に切り替えてアクセルを踏む、たかがそれだけのことなのに新児の意志が判りますからね。これ以上のハマリ役はないよな豊川さん。」
「『美しい人』で村雨刑事やってる大沢さんが、映画で共演した豊川さんのことを絶賛してるって聞いたけど、何だか判るよねぇ。忘れられない共演者なんだろうね。」
■仁美の病院〜新児のタクシー〜病院&誰もいない新児の部屋■
「これで雄一郎の意識が戻った時が見ものだよね。今はまだ警察も、事件かどうか断定できないから静観してるとこだろうし。」
「2〜3日が峠でしたっけ? その間は待とうってことでしょうね。」
「東京の警察は忙しいからなぁ。はっきり事件だって判るまで捜査はしないだろうし。新児にとってはつかの間のモラトリアムだよね。」
「で、その新児は有季子を車で尾行中。誰もいない彼のアパートに、仁美は電話をするんですね。新児のことが心配になるのは、何となく虫が知らせるって奴なんでしょうか。」
「元女房のカンだろうねー。こういうのってホントあると思うよ。別れたとはいえかつては『家族』だったんだもん。他人には決して判らない些細なことでも、何かひっかかるモンを感じる…。」
「いいですね夫婦って。そういうとこだけは憧れるなぁ。」
■警視庁の前〜捜査二課〜有季子のマンションの前〜路上■
「ここでの新児の驚愕はいかばかりだったか想像できますね。有季子がただのOLじゃないことくらいは彼にも判ってたはずですけど、警視庁に入っていく彼女に警官が敬礼したからには、事務員や報道関係者じゃない、れっきとした刑事な訳ですから。」
「うん。都屋のワイン疑惑を新児は知らない訳だから、なんで有季子が自分に近づいてきたのか見当がつかない。となるとなおさら不気味だろうね。」
「そうですよね。まさに血の気が失せたでしょう。」
「でもってそれがさぁ、大袈裟な驚きの表情じゃなくて、かすかな目の動きとハンドルを握りしめる手の動きだけで表現されんの。しつっこいけど、豊川さんすごいよなぁ。うん。」
「一方の捜査課の部屋にはののさんもいますね。有季子の呼ばれた理由って何なんでしょう。」
「いいトコで切るよねー。このあたりから鷹男のナレーションが始まって、それにかぶせてシーンは次々と、有季子のマンションの前、警視庁の前と切り替わるの。これもけっこう好きな手法かな。」
「でも鷹男って、有季子に合鍵もらってないんですねぇ…。全く、もっとしっかりしろよ。女に使われるだけでどうすんだよ。同じ顔の男として情けないなぁ(笑)」
「ここでまた鷹男は空を見るよね。毎回必ず1回はそういうシーンが来るのかなぁ。塀にコツンて軽く頭ぶつけるのがいいわ。」
「カメラのカットがパッパッパッと短く切り替わる中、ガクッて感じにギヤチェンジしてアクセルを踏む新児。何かを決心したんですかね。どこへ行こうとしてるんだろう。」
「奈落か、それとも出口のない迷路か…。先は長いって判ってるけど、期待はずっしりと高まるよねぇ。次回はもう第4回かぁ。直線が終わって最初のコーナーにさしかかるって感じかな。ここを曲がった後もついてきてくれるのが、本当に興味もって見てる視聴者たちなんだろうね。」
「でしょうね。大抵第1回めは無理しても見ますからね。」
「あのね、聞いた話なんだけど連続ドラマってさ、大抵初回のオンエア前に第3話か4話まではシナリオ上がってんだってね。んで、オンエア後の反応を見て脚本家は次を書くから、ドラマってのは第4〜5回めがある意味正念場なんだって。ここで読み違えて舵を切り損ねると、えらい駄作になっちまうんだろね。あたしにとっちゃあ『魔の第5回』だからなぁ。ここをクリアすればハマったまま行けると思うんだ。」
「『魔の第5回』…懐かしいですね(笑)でも今回は大丈夫なんじゃないですか? 僕はそんな気がしますよ。」
「まぁね。そうあってほしいよ。視聴率なんざ合格ライン取れてればいいから。ヒトケタは困るけど、まぁそれは今回ないだろお。」
「同感です。―――えー、という訳でですね、『危険な関係・座談会』第3回、このへんでまとめたいと思います。魔の第5回が迫ってきてますので多少ナーバスになってるかも知れませんけれども、豊川さんの存在感と演技力、それに、各自のスタンスをきっちり守っている共演者たちのパワー配分。ともに今までのところ申し分ないんで、是非このままのバランスでですね、展開していってほしいと思います。」
「まぁ今回の第3回の座談会はね、予定では水曜の朝にUPしたかったんだけど、間に月末〆日が入っちゃって、一晩ツブれたもんだから…ブツブツ…。」
「寝不足とか大丈夫なんですか? 無理はせずに、次を急いで下さいね。」
「まぁたそういう難しいことを…。万年筆のインクが切れてて水性ボールペンで書いてるから、滅茶苦茶肩がこるんだよぉ。ッとにさぁ、なんでカートリッジインクってそこらの文房具屋さんに置かなくなっちゃったかねぇ。いちいち駅の方まで行くなんざ不便でしょうがない。」
「水性ボールペンだと疲れますか?」
「疲れる疲れる。万年筆なら1日中だって平気だけど、ボールペンみたいなペン先の固いので4時間も書き続けてみな? 肩と手首が石みたくカチカチに凝っちゃうから。」
「お疲れ様です。今度入浴剤でも差し入れますよ。」
「いいいいノーサンキュウ。入浴剤って好きくないの。それよりカートリッジインク100箱くらい買ってきてよ。セーラーのブルーブラックな。」
「判りました。忘れてなければ買ってきます。…それでは皆様、次回第4回までごきげんよう。パーソナリティーは私、ナイスでナイーブな八重垣悟と、」
「なぁんとプロバイダから連絡が来て、HPのユーザーエリアが無料で20MBまでおっけーになった木村智子でした! いやー助かるよこれわぁ!」
「へぇ、よかったじゃないですか。今トータルでどれくらいなんですか?」
「うーんとね、先月末で計算したらちょうど8MBくらい。あと2MBでオーバーじゃん。うっわ、どぉしよぉと思ってた矢先なんだわ。」
「じゃあまさにマイスタイミングでしたね。」
「おうさ。だからバンバン更新しますよぉ! ニッポン・チャチャチャ! 頑張れテラマワリ・ジャパン〜!」
座談会第4回に続く
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