1 | オーケストラの助走を受けついだ迫力のカデンツァ、両手オクターブのスケール部分。鍵盤の上、手首から先だけのアップ、左側からのアングル。 |
2 | 手のアップ続く。右やや上からのアングル。黒鍵白鍵の間を上下に、目にも止まらぬ速さで駆け抜ける指。 |
3 | 右ほぼ真横から、精密機械のような10本の指。 |
4 | ピアノの向こう側から正面に和賀を捉える。カメラの動きは下から上へ。黒光りする鏡板、大屋根を支える棒。カメラは左に回り込みながら和賀をゆっくりアップにしていく。 |
5 | オーケストラ側からピアノの方を見るアングル。和賀のバックは満員の客席。 |
6 | 5より少し後方から捉えた、ピアノと和賀。和賀の視線は初め高音部の鍵盤にあり、顔は見えないが手元ははっきり画面に映っている。やがて旋律は独奏部分の最後へ。左右への大きな手の動き。 |
7 | ピアノソロに荘厳なオーケストラが重なる、その直前。旋律と同化するように和賀は首をはねあげ、一瞬のタイミングで指揮者を見る。 |
8 | ホール全体のロング映像。フォルテシモで響き渡るピアノとオーケストラ。ピアノには純白のスポットライトが当たっている。 |
9 | 舞台奥の上方から、ステージと客席を見下ろした映像。左には2階席も映っており、これも満員。ステージ中央の先端に堂々たるピアノの威容。 |
10 | 4と同じアングルでさらに近づいた位置から、ピアノ越しの和賀。大屋根の裏に彼の姿が映っている。 |
11 | 右側斜め前から捉えた和賀。ピアノのサイドに『STEINWAY&SONS』のロゴ。曲に全身で入りこんでいる和賀は舞うように歌うように上半身を前後に揺らす。 |
12 | 8と同じアングルで全体のロング映像。パイプオルガンの輝きが神々しい。 |
13 | 5より少し引きの映像。画面左に指揮者、手前に第2バイオリン、その向こうに和賀。 |
14 | 右下やや後方から軽いアオリで、一心にピアノに向かう和賀の姿。バックに銀色のパイプオルガンが光る。主旋律をオーケストラに渡す直前、ジャン!と強い1音を叩き、和賀は右手を派手に宙に舞わせる。 |
15 | 14の右手アクションの逆カメ。右手を跳ね上げた動きにより、和賀の上着がふわりと浮き上がる。再度訪れるピアノのわずかな休み部分、和賀は指揮者のタクトを確かめオーケストラをチラリと見やって、自らの宇宙に沈むように目を閉じ大きくゆらりと半身を回す。 |
16 | 協奏するチェロの列。 |
17 | バイオリンたち。 |
18 | 4、10と同じアングルで少し上から見下ろしたカット。和賀の右に指揮者の背、右上奥に2階席。カメラは右上から左方向へ回りこむ。和賀は全身で曲を奏でる。首をのけぞらせ、スタッカートを効かせる箇所では大きく右手を跳ね上げる。 |
19 | 客席に並んでいる田所と綾香。後ろに屈強なSP。 |
20 | じっと聴いている綾香。奥側、右隣に田所。 |
21 | ピアノ越しに和賀。右手の大きな動き。曲は最後のスケールにかかる。 |
22 | 2階席の最後部に座っている関川。無表情。 |
23 | オーケストラ側からのアングルで和賀。右手アクション。指揮者の呼吸を確認し、メロディーに乗せて体を揺らしたあとぐっと前屈みになり、ピアノに挑みかかるように唇をひきしめる。 |
24 | コーダに力をこめるビオラとチェロ。 |
25 | 指揮者の背中。舞台奥にティンパニ奏者も。 |
26 | 第一バイオリン。 |
27 | 金色に輝くフォーン。 |
28 | ピアノと和賀。 |
29 | 軽く眉を寄せた和賀。ピアノは命をこめて謳う。 |
30 | 客席から見たステージ。ライトを受けたピアノの回りが一際明るい。 |
31 | 下からの軽いアオリで、ピアノに向かう和賀のカット、やや後方から。 |
32 | 右、横顔のアップ。髪の間に水晶めいた汗が光っている。両手が鍵盤を右へ左へかき鳴らしているのが体の揺れで判る。 |
33 | 右手を大きく上へ。 |
34 | 33の別アングル。右手を素早く戻し指揮者を見る。伸ばし気味になる両腕。 |
35 | 横顔のアップからもう少し斜め前へ。 |
36 | 鍵盤上の両手のアップ。オクターブのスケール速射。 |
37 | 高音から低音へ走る。 |
38 | ピアノと和賀、左横から。コーダのラスト。鍵盤上の両手がはっきり映っている。 |
39 | 右から横顔アップ。最後の和音4打。和賀のバックはプラチナシルバーのパイプオルガン。指先に想いの全てをこめて和賀は目を閉じ、鍵盤に覆いかぶさるように前屈みになる。音が終わる瞬間彼は右手を上げ、つかの間動きを止めて、そのあとがくりと腕を下ろす。カメラはわずかに下の位置。和賀のバックでパイプオルガンが光る。 |
40 | 舞台の奥、上方からステージと客席を見下ろすロング。手前の2階席の客が立ち上がる。ピアノの前の和賀は、天を仰いでいた顔を脱力したように伏せている。 |
41 | ホール側の最後部の席からのロング。ピアノに白くライトが当たっている。 |
42 | 綾香と田所。周囲の客は立ち上がっている。綾香も拍手し、笑顔で立ち上がる。 |
43 | 田所は綾香の笑顔を見、それに合わせるように立ち上がる。ゆっくり両手を前に持ってきて拍手。 |
44 | 和賀の横顔。パイプオルガンと、正面玄関に掛かっていたのと同じ名入りのタペストリーがバックに。和賀はやがて目をあき、まばたきして現実に返った表情になる。 |
45 | 客席の綾香と田所。綾香は父を見て微笑む。 |
46 | 視線を動かし、客席を見やる和賀。 |
47 | 満場の客たち、続々と立ち上がって拍手を続ける。 |
48 | 1階席の客もウェイブのように立ち上がる。熱狂的な拍手をしている男もいる。 |
49 | ニッ、と高慢に笑う和賀。不敵な表情のまま椅子を立つ。 |
50 | オーケストラ側からのカット。和賀は上着の前を留めつつ立ち上がり、指揮者と握手する。 |
51 | 薄暗い客席にいる関川。周囲が皆立っているのに、座ったままで拍手もしていない。 |
52 | ライトの中にいる和賀。指揮者をむしろねぎらうように肘のあたりをポンポンと叩き、オーケストラの方を見る。 |
53 | 拍手を続ける綾香。嬉しそう。 |
54 | 田所のもとへSPが来て何か囁く。 |
55 | 舞台上で振り返る和賀。額に汗が光っている。ほう、と息を吐き肩を上下させ、顔を伏せて前へ歩み出る。 |
56 | 55の流れで左からフレームインし、ステージ先端に立って客席を見る和賀。観客は彼を仰いで拍手をやめようとしない。和賀は感謝と感動を伝える形式的な動きで両腕を広げ、客席に礼をする。 |
57 | 客席後部、右寄りからホール全体を見るロング。客の誰ひとりとてこの場を去る気配を見せない。 |
58 | 下からの軽いアオリで和賀のアップ。パイプオルガンとタペストリーをバックに、肩を上下させながらぐるりと客席を見回す。賞賛の嵐のただ中にいる彼の表情と、ホールの出入口がオーバーラップする。BGMは『ラクリモーサ』へ。 |
59 | ホールを出てくる客の波。折り目正しく彼らを送るスタッフたち。 |