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T | U | V | W |
X | Y | Z | [ |
曲の開始はピアノソロから。体重を乗せるような強打で独奏楽器の名乗りを上げたのち、ポーンと高い1音が入って、次に6連符と7連符の組み合わせで旋律を昇ったあと、最後は左右交差のトリルになる。 以上のピアノソロの導入のあとは、管弦とピアノが交互に短調の旋律を歌う。まずはバイオリンがメインの2小節があり、パーカッションとティンパニに盛りたてられてピアノの短いパッセージが入る。次はまた弦と管。フルートがピュルルルーッと高く飛ばす。続いてピアノが華やかに旋律を昇り、昇りきるとタララタララタララ…とシンコペーション風な3連符の連なりで降りてくる。最後は低くダーンと鳴らし、1拍遅れてホルンがフオーン…と高く抜ける。印象深い導入部序章。 |
全曲中メインとなる第1楽章第1主題のメロディーが、オーボエとバイオリンによって初めて提示される。T〜Yが奏でられたあとピアノのパッセージにバトンタッチして、高い音から漣(さざなみ)のように優しく下降する。 |
いよいよピアノによる第1主題があらわれる。管は沈黙し伴奏は弦のみ。第1主題はT〜[のフルセットで2回繰り返され、和音の厚みが増していく。そのあと1・2・3・4と四分音符4拍で経過して、少しメロディーラインの明るい副主題へ移行する。副主題になると弦だけでなく管も伴奏に加わる。キラキラと木漏れ日が輝くように旋律を下ったのち、もう一度第1主題のT〜Yが出てきて、やがてゆったり昇った高音部から煌く3連符で駆け下りる。第1主題終了。 |
第2主題の提示。『海原の旋律』と名づけた叙情的な長調のメロディーが響く。オーボエとチェロに始まり、ピアノが、続いてバイオリンが、ホルンの美しい呼応を受けながら次々と主題を展開していく。バイオリンの旋律にピアノの高音が絡みつくようにしてメロディーを受けとると、そのあとに小休止のようなピアノとフルートのメロディーを挟み、低い音で下降して次の段落、第1主題再現部へとリンクする。 |
段落4から低音の導入を受け、再度第1主題が現れる。ピアノはTだけを弾いて伴奏に回り、Uからはクラリネットとバイオリンがメロディーを奏で、ホルンが唱和する。T〜[のフルセットを聞かせたのちに1・2・3・4と四分音符で経過し、ピアノは再び副主題のメロディーへ。フルートとクラリネットも加わって副主題を2回繰り返して、段落3で登場した聞き覚えのあるフレーズを経、もう一度第1主題に。十分厚みをつけたハーモニーでT〜Yを弾いてから、一気に高音へ抜ける。 |
第1主題 | 第2主題 | |
1回め | 管: オーボエ | オーボエ |
弦: バイオリン | チェロ | |
2回め | 管: クラリネット | クラリネット |
弦: バイオリン | チェロ&ビオラ |
バイオリンソロで始まるこの部分は、弦のアダージオと呼びたい秀麗さを持つ。低い弦に伴奏されて歌うバイオリンのメロディは、やがてピアノに引き継がれて奏でられる。フルートも透明な響きで寄り添いクラリネットも艶めく声を重ね、短い上下のパッセージを繰り返したあとは畳みかけるようなTの連続音となる。そののちピアノに与えられる短い休息の間は、第1バイオリンとフルートとホルンが躍動感あるメロディーを担当する。高音に跳ね上がっておいてピアノソロとなり、リズムに抑揚をつけつつ繰り返し下降して、最後は華やかな分散和音で昇る。 |
再度ピアノによる第1主題が静かに現れ、初めはオーボエの、続いてクラリネットの呼応を受けて2回繰り返される。1・2・3・4の経過部分ではホルンも唱和し、続いては段落3に登場した副主題以下と同様となる。すなわち副主題を2回繰り返したあと第1テーマのT〜Yがホルンの呼応を伴って奏でられ、ピアノの長い下降へと続く。 |
第2主題の再現。最初はクラリネットの旋律にチェロとビオラが合わせ、ピアノが伴奏し、次にメロディーが転調してピアノに引き取られると、フルートが澄んだ高音で唱和する。続いてバイオリンが段落4と同様に登場してひとしきり歌ったのちに、キラキラと絡みあってくるピアノにメロディーを渡す。ピアノは分散和音で旋律を昇ってソロになり、コーダの登場を予感させる緊張感のあるメロディーを経て、次の跳躍に備えるが如く徐々に低音へ沈んでいく。 |
前段落の低い経過を受けて第1主題のTを2回繰り返し、印象の違いを強調したのちに、ピアノは伴奏に下がって弦とフルートとクラリネットが高らかにテーマT〜Yを歌う。そのあとは弦の3連符で抑揚をつけながら全体がなだらかに高揚していき、そのままピアノが短くアセンディングしたあと、第1主題のTのリズムを力強く畳みかける。ラストは3連符を連ねて旋律を下り、最後の2音をぴたりと決める。 |
【 『宿命』聴きどころ講座 後半に続く 】 |