● 国防こそ政府の最大の責務である

 北朝鮮は皇居等の武力占領と日本への核攻撃を狙う

 

 一、北朝鮮工作船の領海侵犯事件−国家の体をなしていない日本

 

 一九九九年三月下旬の北朝鮮工作船の日本領海侵犯事件は、日本の外交・国防政策と法制度、また海上自衛隊や海上保安庁の装備が、欠陥だらけであることを明瞭に示すことになった。

 ひとつには、海上自衛隊を「海上警備行動」の発令で出動させながら、警告射撃と警告の爆弾投下をするだけで、捕獲することも撃沈することもできずみすみす逃してしまった現行自衛隊法の欠陥である。作戦上の欠陥としては、法的には認められているのに政治によって船体への射撃も禁止されていたことである。

 もうひとつは、こちらの方が一層深刻な反国防的な誤りであるが、事件後、保守系議員から海上警備行動における「武器使用規定」の変更や、新たに「領域警備」(正しくは「領域保全」)を任務に加えるために、自衛隊法を改正すべしとの正当な要求が噴出したにもかかわらず、政府は法改正を見送りにしてしまったことである。そして政府は、北朝鮮に断固たる抗議をしないばかりか、「積極的な対話を求めて努力したい」(小渕首相)と、屈辱的な対北朝鮮政策をとったのである。これでは日本は北朝鮮に完全になめられてしまい、更なる侵略を誘うことになる。

 政府の最大の責務とは、言うまでもなく国防である。敵国の侵略から国家を守ることである。国家を守るとは国民の生命や身体や財産そして自由主義社会の価値を守るということである。そのために自衛隊(軍隊)があるのだ。

 もしもこれがアメリカや韓国であれば、海軍が平時の領海保全の任務に当っているから、直ちに海軍が出動する。そして停船命令を発し、警告射撃をしても逃走するのであれば、間違いなくあらゆる武器を使用して攻撃して停船させ、捕獲するのである。死傷者も出る。また捕獲が困難な場合には撃沈してしまうのである。これらは軍の領海保全対処として国際法で認められていることである。

 本来ならば、わが日本もかくのごとく対処しなければならなかった。だがそのようには法が整備されていなかったのだ。使えない自衛隊を維持するために国民は一人当り四万円もの税金を毎年払わされている。これは政治の怠慢以外の何者でもなく、国家に対する不作為の犯罪なのだ。軟弱な保守系の政治家と官僚は、自己批判的にこの深刻な自覚を持たなくてはならない。

 前記の如く、与党自民党・自由党の保守系議員を中心に自衛隊法改正の主張がなされ、国民の過半数も改正を求めた。だが野中官房長官は、「基本的な法体系は整っていると理解している」「現行の武器使用規定は、大戦の反省と自制の上に立った憲法に立脚する。個々の事象によって、この基本をゆるがすことがあってはならない」との驚くような発言をした。政府は法改正はせず、現行法の中で警備体制を整備していくと決定してしまったのだった。これでは、日本はこれからも北朝鮮による領海侵犯=主権侵害を消極的に容認しますと表明しているのとほとんど同じである。

 正常な国家であれば、このような反国家的な政策を継続する政権は直ちに交代である。だが日本ではそうならない。ここに日本の異常さがある。日本は国家の体をなしていないのである。

 

 二、反日左翼侵略勢力のイデオロギー攻撃に負けている政府

 

 日本政府は主権がなんたるかを理解していない。国家を守る気概がまるでない。なぜこのようになっているのかといえば、次の理由による。

 わが日本では、違憲存在の内部の敵である反日左翼侵略勢力(マスメディア、学者、政党、労働団体、弁護士など)が非合法化されておらず、野放し状態になっている。これは政府の反国家的な誤りである。そのために、反日左翼侵略勢力は日々、「平和憲法(九条)を守れ!」という嘘プロパガンダなど様々なイデオロギー攻撃をマスメディアを使って行ない、政府、与党、国民の洗脳をめざすことができる。この戦いは、銃弾よりもはるかに強い戦闘力を持っており、彼らは日々、日本を垂直侵略しているのである。これによって政府も与党等の議員も国民も深く洗脳されてしまっているのである。「保守派」を自認している人でもそうである。

 日本では、反日左翼侵略勢力に対抗する真正な保守主義勢力が極めて少数派であるために、一層そうなってしまっている。真正な保守主義勢力からの政府批判が弱いために、政府は正常化されず、反日左翼侵略勢力からばかり影響されてしまうのである。

 このような事情によって、政府や与党の圧倒的多数が、真正な保守主義=真正な自由主義の思想が欠落した主体になってしまっている。つまり国家の指導層の圧倒的多数が、国家を守りうる主体形成ができていないのである。その結果、当然のごとく祖国を守ることができない欠陥法の体系になってしまっているのである。

 国家主権を侵害されたのに侵略者に危害を加える武器使用が禁止されてしまっている。船体を撃つことすら政府によって禁止されていた。国防が自衛隊の任務なのに、平時の海と陸の領域保全の任務が付与されてない現行法になっているのである。日本には交戦規定もなければ有事法制もなく、スパイ防止法もない。日本が集団的自衛権(行使)を持っているのは、日米安全保障条約、サンフランシスコ平和条約、国連憲章によって明々白々なのに、政府は憲法九条は集団的自衛権行使を否定していると法匪的な解釈をしているのである。集団的自衛権を行使しなかったら日米安保条約(軍事同盟)は結べないのだ。そもそも政府は自衛隊を軍隊だと規定してさえいないのだ。そして「専守防衛」や「非核三原則」という反国防の政策を国是としてしまっている。だが憲法九条2項は自衛のための軍隊の保持を容認している。これが本来の憲法九条である。これらは全て、敵=反日左翼侵略勢力のイデオロギー攻撃に保守勢力が敗北した結果なのだ。

 人は自分が正しいと思うことを行なうものである。現行自衛隊法等を「基本的な法体系は整っている」と認識するということは、その人の思想が、国家の敵である反日左翼侵略勢力のイデアロギー攻撃に負けて深く洗脳されてしまっているということなのである。これは特定の個人だけの問題なのではない。政府も自民党も自由党も国民の多くも敵に洗脳されてしまっているのである。

 共産党や社民党や新社会党また民主党内の旧社民党系の左翼議員は、反日であり侵略勢力である。彼らは日本国家の敵であり、違憲存在である。直ちに非合法化して神聖な国会の場から追放しなくてはならないのである。そうすれば、国会審議は一気に正常化し、憲法の改正(三分の二)も容易になる。すみやかに政党法、結社法を作って反日左翼侵略勢力を非合法化し撲滅していかなくてはならないのである。彼らは実体としてロシア(=ソ連)や中国や北朝鮮など侵略国の尖兵なのである。

 

 三、海上警備行動の実態

 

 今回の領海侵犯事件をもう少し具体的にみてみよう。自衛隊の海上警備行動の武器使用規定は、警察官職務執行法第七条を準用することになっている。それによれば、人に危害を加えてもよい武器使用のケースとは、正当防衛と緊急避難、それと「死刑、無期、三年以上の凶悪な罪を犯した者」が逃走、抵抗した場合である。だから今回の場合では、工作船が発砲してこない限りは逃走しても、危害を加える射撃等はできないのである。海上保安庁の威嚇射撃も海上自衛隊の警告射撃や爆弾投下も、停船しなけば次は当てるというのでなければ、威嚇、警告の意味をなさない。北朝鮮は日本の法を十分研究しているから、停船するはずがない。足もとを見すかされて逃げられてしまったのだった。

 そもそも、出動した海上保安庁の巡視船艇の船脚は遅く、工作船に置き去りにされてしまった。海上保安庁には三五ノットの高速巡視船が多くあるにもかかわらず、それは最初の段階からは投入されなかったのである。つまり領海を守るという責任の放棄である。海上自衛隊の護援艦は三十ノット、三一ノットの高速であったが、大きすぎて小回りが利かず工作船を追尾するには不適であった。しかも工作船の最高速度は四十ノットと言われており、スピードの点でもたちうちできず捕獲することはできないのであった。

 海上自衛隊には、なによりも「領海保全」の任務が付与されておらず、現行の「海上警備行動」ですら政府によってこれまでは一度も発令されたことがなかったのである。左翼マスコミに規制されてしまった結果である。責任の放棄である。そのために、海上自衛隊では不審船の臨検の訓練をしたことがなかったのである。だから今回出動した護援艦にもそのための装備がなかった。立ち入り検査に必要な防護機能つき小型ボートもマシンガンも防弾チョッキもなかったのである。

 このような装備では、武装している北朝鮮の工作船の立ち入り検査はできないし、この装備で「やれ」と命じることは「撃たれて死になさい」と命じるのと同じことになる。しかもさらに海上警備行動では、警職法第七条の「警察比例」の法則によって、自衛官は敵の武器より勝る武器を使用することができず、武器の先制使用も禁止されているからなおさらである。自衛隊法はとんでもない欠陥悪法なのである。

 すべては内側の敵たる反日左翼侵略勢力と戦わない政府の責任放棄や無能力の結果である。政府は直ちにこのような「海上警備行動」に代えて「領域保全(領海保全)」任務を付与する法改正を断行しなければならないのである。

 

 四、左翼のスローガンは全て転倒語である

 

 私たちは、左翼(反日左翼侵略勢力を略して左翼と記す)の言う「人権」とは、「左翼的人権」「人民的人権」のことであって、ふつうの人が思い描く人権とは全く別の概念であることを認識しておかなくてはならない。左翼は、人々が抱いている善いイメージの言葉を利用して、その概念を全く別のものにすり替えて洗脳を行なっていくのである。「人権」とか「平和」と言われれば、ふつうの人は善いイメージを持っているから反論できなくなる。左翼はそれを利用して別の内容にすり替えて注入していくのである。

 左翼の言う「人権」とは、自由主義国家の法秩序や道徳を破壊する行為を、人間の権利として正当化し擁護するものである。たとえば被害者を無視して犯罪者の「人権」を擁護したり、在日永住外国人に地方選挙権を付与するのが「人権思想」に合致しているとするのである。後者は保守を自称している政党、議員も主張するようになってしまっている。これらは国家解体運動なのである。

 左翼が宣伝する「人権思想」とは、自由主義国家を解体することを目的にしている革命イデオロギーなのである。それが創り出す新体制は、共産党の独裁支配の体制であり、国民の自由と権利は完全に否定されてゼロになってしまう体制である。

 このように、左翼の用語は全てが転倒語(反対語)である。左翼の言う「自由」、「民主主義」は、「自由ゼロ」「独裁」のことである。彼らの言う「平和」は、日本をイデオロギー的にも実体的にも武装解除して、自分たちが日本を侵略して乗っ取ることなのである。またソ連=ロシアや中国や北朝鮮に日本を侵略させ支配させることである。つまり彼らの「平和」とは「平和の破壊」、すなわち侵略のことである。

 

 五、北朝鮮と戦う気概がない政府

 

 今回、海上保安庁も海上自衛隊も、法的には人に危害を加えない形での船体への武器使用はできた。もちろん五インチ砲や一二七ミリ砲は威力が大きすぎて撃沈してしまうことになるから、それでエンジン部や舵を撃てないことは分る。だが機関銃や機関砲なら可能だ。せめて船体の一部にでも撃ち込み破壊すべきであった。だが、そのような船体への射撃も政府の命令によって禁止されていたのだった。

 つまり政府には、始めから北朝鮮と決定的な対立状態になる事態は避けたいとの思いがあったのである。それが証拠に、北朝鮮が「事件は北とは無関係だ」との回答を寄こしたにもかかわらず、小渕首相は三十一日には、「納得できないものがあるが、誠意ある回答をいただければ、対話の政策を推し進める上で、国民的理解が深まる」として、「積極的に対話を求める努力をしたい」と国会で答弁しているのである。さらに首相は、対話を求めて、北朝鮮労働党と友好関係にある左翼の社民党の村山富市を団長とする超党派の訪朝団実現に強い期待を表明したのであった。

 北朝鮮は、日本政府が公に認めただけでも十人の日本国民を領土に侵入して拉致していった国家である。アメリカ政府ならば直ちに海軍を派遣して取り戻す。だが日本政府は国民の生命を守るために何もしていない。昨年には、沖縄を除く日本の全てを攻撃できる射程千二百キロのノドンミサイルが九七年十二月に実戦配備されたことも明らかになった。北朝鮮は着々と戦争準備をすすめているのだ。北はまた日本へ核ミサイルを撃ち込もうと核兵器開発をしているのである。その延長上で今回の工作船事件が発生したにもかかわらず、日本政府の対応は前記のとうりである。

 今の日本政府には国家主権を守る、国民の生命を守るという義務感がない。だから敵国と戦う気概もない。国家の体をなしていない、と国際社会から軽蔑されても仕方がない状態にあるのだ。今の政府の在り方はまさに憲法違反なのである。これは全て、政治指導層の思想性が原因なのである。左翼と闘える真正な保守主義=真正な自由主義を体得した真正なエリートが政治指導層に就かなくてはならないのである。

 

 六、韓国占領を狙う北朝鮮米軍の増援を阻止するための核ミサイル開発

 

 北朝鮮の「祖国統一方式」には大きく言ってふたつある。ひとつは「武力〃解放〃統一」、もうひとつは「平和統一」(という名の本質は武力統一)である。後者は、韓国で親北朝鮮勢力に平和的に政権を奪取させて、この親北赤化の韓国との間で平和的に統一を実現していくものである。だが北朝鮮は統一後、しかるべき段階で軍事力を使って韓国民を奴隷支配していくのである。だからこの方式も本質は「武力統一」である。しかしそうなっても、この時には「国内問題」になっているから米国も他の国も軍事介入することは困難である。親北赤化の韓国は韓米相互防衛条約を破棄するから、既に在韓米軍も撤退していることになる。

 金正日は両方の統一方式を追求しているが、これから書くことは前者の「武力統一方式」についてである。この方式を採る場合に金正日はどのような戦略と戦術を考えているのかを我々は認識して、有効に対処していかなくてはならない。

 日本政府は北朝鮮の危険性をどう認識しているのだろうか。それは日本国家の存立に係わってくるほど深刻なものなのである。

 北朝鮮は韓国を武力〃解放〃することを国家目標にしている。韓国への侵略と合併支配である。北は建国以来一貫して武力統一を国是としてきた。そのための準備を着々と進めてきたのである。スパイを日本経由等で韓国へ潜入させて、労働者、学生を親北勢力にオルグ・組織化し、特殊部隊を潜水艇等で潜入させてきた。対南侵略用の秘密トンネルも十数本掘ってきた。いまだ四本しか発見されていない。百万の陸軍と十万の特殊部隊を擁し、前線の韓国軍と在韓米軍をたたき、ソウルを火の海にする一万門以上の長距離砲、ロケット砲を前線に配備し、また韓国全土を攻撃できるスカッドミサイルを多く配備してきた。スカッドは核弾頭も搭載可能だ。また北は化学・生物兵器も大量に保有している。北朝鮮の「対南武力〃解放〃(侵略)」は単なるスローガンではなく、現在進行形の国家戦略なのだ。

 そしてそれが可能となる条件が作られつつあるのである。すなわち、米国はソ連=新生ロシアの「冷戦終結」という大謀略に見事に騙されて、一九九二年三月までに、西太平洋地域と東アジア地域に前方配備していた全ての戦域核・戦術核・戦場核を一方的に撤去してしまったのである。空母艦載機の核爆弾や水上艦の核トマホーク、韓国に配備してきたF−16の核爆弾や榴弾砲の核砲弾や核ランスミサイルを全て撤去してしまった(中川八洋教授、『諸君』九一年十二月号論文、『正論』九四年七月号論文参照)。

 一方の北朝鮮は、七○年代から核開発と弾道ミサイル開発を継続してきて、既に核爆弾を保有し、米国防総省情報局(DIA)の秘密報告書(九八年四月)によれば、あと三年もかからずに核爆弾を小型化して弾道ミサイルに搭載できるようになるというのである(西岡力氏、『VOICE』九九年五月号論文参照)。この間に北はICBMの開発も急ぐことになる。

 クリントン政権は九四年十月に「米朝ジュネーブ合意」に調印して、北朝鮮の核開発を断念させたとしてきたのだが、金正日にまんまと騙されてきたのである。このDIA報告書によれば、北はKEDO発足後も、核関連施設の廃棄を装いつつ、実際には他の地下施設へ移転させてきた。使用済みの核燃料棒は国外へ搬出する約束であったが、実際には一万六千本もの燃料棒を隠し持ち、移転させた地下施設で再処理作業を続け、プルトニウムの大量抽出を行なっている。そして北朝鮮は重油、医薬品、食糧などの援助物資はことごとく軍事目的に転用してきた。KEDOの五○億ドル以上の資金も核開発とミサイル開発に転用するのは確実である、というのである。報告書はまた、ジュネーブ合意以前に北朝鮮は核弾頭五発分に相当する濃縮プルトニウムを開発していた、とも述べている(前掲書)。

 「ソフトランディング政策」という完全に誤った対北朝鮮政策を掲げるクリントン政権そして日本と韓国その他の国々は、騙されて北朝鮮に核開発の時間と資金と物資を与えてきただけである。最も優れた兵法は、騙して敵に勝つことである。ソ連=新生ロシアも中国もこの『孫子』の兵法を深く学んでおり、西側はたちうちできていない。別の文で詳述することにするが、ソ連から新生ロシアへの転換も国家の偽装転換、つまり芝居なのだ。ゴルバチョフをトップとするソ連共産党のエリートがシナリオに基づいて演技しているのである。

 もし北朝鮮が韓国を武力侵略したとき、在日米軍やハワイ、グアム、米本土の米軍が増援にくれば、金正日は敗北する。だが金正日は負ける戦争はしない。勝てる作戦を立てて奇襲攻撃をするのだ。つまり米軍の増援を阻止する方策を講じた上で奇襲南進するのである。既に、韓国に前方展開されていた米軍の戦術核兵器、戦場核兵器は、一発残らず撤去されてしまっている。米水上艦艇の核も撤去されてしまっている。非戦略核の即応態勢は無くなっているのである。

 私が思うに金正日は、核弾頭を開発し、米国本土を攻撃できるICBMを開発したら、日本および米国に対して、「朝鮮革命(北による武力統一)に介入すれば、東京、米国西海岸一帯を核攻撃する!」と恫喝し、また日本に潜入させた特殊部隊によって皇居、国会等を武力占領し、また東京、大阪等への毒ガス散布の威嚇という人質作戦によって日本を屈服させ、そして米軍の増援を断念させて、一週間で韓国を武力侵略・制圧することを狙っている。もちろん核の恫喝は韓国を降伏させるためにも使われる。

 

 七、北朝鮮は日本を核攻撃する

 

 南進したときに北朝鮮が核ミサイルによる東京攻撃の恫喝をすれば、日本政府は米軍への支援もやめて和平を選択するであろう、と主張している論者もいる。そのあたりのところを考えてみよう。

 もし核兵器の開発ができたとしても、金正日は米国本土やハワイに対しては核ミサイル(秘密の地下サイロのICBM)の先制使用はしない。もし使用すれば、米国は必ず核ミサイルで報復するばかりか、大軍を送り込んで北朝鮮をつぶしに来るから、敗北しかないからだ。アメリカに対しては、核ミサイルは「介入すれば発射する!」と恫喝する政治的武器である。

 一方私が考えるに金正日は、日本に対しては核ミサイルを発射しようと考えており、そして後述する理由により、日本に何発も核を撃ち込むことができる態勢を確立することが米軍の増援を阻止することに結びつき、戦争に勝利し韓国を手に入れることになるのだと考えている。

 北朝鮮の日本攻撃用ミサイルは、最大射程が千二百キロと言われるノドンである。車両搭載の移動式ミサイルである。昨年発射されたテポドン1型の射程は二千キロと言われるから、沖縄を除いて日本は無関係である。大は小を兼ねると、テポドン1型で日本のどこでも攻撃できると誤解している人が多いが、距離の調整は最大でも七割位にまでしか短縮できないから、テポドンを撃てば太平洋へ落ちてしまうのだ(中川八洋教授)。

 金正日が、韓国へ奇襲攻撃すると同時に、東京へまず別の基地から通常弾頭のノドンを発射して、「日米両国は朝鮮革命に介入するな。もし在日米軍や米国本土等の米軍を出動させたら、次は核ミサイルを東京と米国に撃ち込む!」と恫喝したとしよう。通常ミサイルをまず撃つのは、もし核ミサイルを先に撃てば、米軍が自動的に核兵器で大量報復してくる可能性が極めて大きいからである。そして米軍の増援を阻止するための政治的駆け引きをする機会がなくなってしまうからである。

 この事態は日本への武力行使(侵略)であり、防衛出動が発令される事態である。また米国は安保条約五条に基づいて北朝鮮へ反撃できる事態である。日本政府はどうするだろうか。先の論者が言うように、日本政府は敗北主義に陥り、和平を求めて、防衛出動を発令せず、在日米軍の直接発進を拒否し、さらにその他の米軍の朝鮮半島への出撃をも見合わせてほしいと米政府に申し出るのだろうか。たしかに、もしも米軍が日本を狙う核ミサイルを破壊できないのであれば、現在の日本政府の思想性や左翼が野放しになっていてマスコミを支配している状況では、政府が前記のような致命的に誤った選択をすることは十分に考えられる。

 だが、こうした立論には前提になる認識に問題がある。つまり米国はみすみす北朝鮮の核ミサイル開発を許してしまうようなことはしないだろうということである。

 北朝鮮が奇襲南進したとき、最も頼りになる増援部隊が在日米軍である。三沢のF−16戦闘爆撃機隊であり、沖縄のF−15戦闘機隊であり、沖縄の第三海兵師団と佐世保の強襲揚陸艦であり、岩国のAV−8攻撃機隊であり、横須賀の第七艦隊と艦載機である。また増援に駆けつけるハワイの第三艦隊や陸軍部隊また米本土の陸海空軍部隊を受け容れる日本という巨大な兵站基地があってこそ、米国は北朝鮮と有効に戦える。もしもこれらが政治的理由(日本政府の拒否)によって使えなくなったら、米軍はよく戦うことができない。だから米軍が、北朝鮮の核ミサイル開発阻止を最重要課題にしているのは当然のことなのだ。

 もしも北朝鮮に核ミサイル開発を許してしまったらどうなるかを考えてみよう。北朝鮮のミサイル燃料は、すぐ発射できる固体燃料ではない。発射準備の命令を受けてから注入を開始しなければならない液体燃料であり、注入にも多くの時間がかかる。しかし北朝鮮は秘密の地下ミサイル基地を建設しているから、燃料注入を偵察衛星によって探知されることはない。だから核ミサイルを日本に向けて発射できるし、米軍の核が飛んでくるまで発射を続けることができる。そして地下基地はひとつではない。とすると前記した如く、日本が北朝鮮の核恫喝によって屈服し和平を求めてしまう事態になることは大いにありうるのである。

 だから米日韓にとっては、北朝鮮にプルトニウムの抽出も核弾頭の開発もICBMの開発も個体燃料の開発も、つまりすべての核兵器関連の開発を許さないことこそが大原則でなくてはならないのである。アメリカはそのことを認識している。特に共和党主導の議会と国防総省・米軍である。だから北朝鮮が核兵器開発を続ける以上、アメリカはいずれ自衛権を発動して予防的に核関連施設の破壊を目的とする空爆を実行するであろう。日本もそれをアメリカに要請し、アメリカを断固支持していかなくてはならない。

 

 八、日本には北朝鮮の核兵器開発施設を予防破壊する自衛権がある

 

 いや、そもそも北朝鮮の核兵器開発は、日本を攻撃するためのものである。日本の平和と安全を脅かす日本の安全保障問題そのものなのだ。放置しておけば日本が核攻撃されるようになる。だから日本には自らの自衛権として、予防的に北朝鮮の地下核兵器開発施設を破壊する空爆を敢行する権利がある。これは国家の自衛権として当たり前のことである。

 だが日本の保守勢力が、左翼を非合法化せず、〃共存〃してきて、左翼のイデオロギー攻撃に負けてきたために、「専守防衛」の自衛隊には、北朝鮮の核兵器開発施設を攻撃するための武器が全くない。「専守防衛」も、左翼の中間政策であり、亡国政策なのだ。

 憲法九条はちゃんと自衛権行使のための軍隊と交戦権を容認しているのである。自衛権には当然、集団的自衛権も含まれている。日本の国防は法的にアメリカと全く同じなのだ。日本政府は、左翼のイデオロギー攻撃に負けてしまった結果の従来の誤りに満ちた九条の解釈、自衛権の解釈を、自己批判して一気に清算しなくてはならない。閣議決定すればいいのである。そして国家安全保障基本法を制定すればいいのだ。日本は北朝鮮の核開発施設を攻撃できる軍備を早急に整えていかなくてはならない。日本が核ミサイルを保有するのも当然のことである。対北朝鮮ならば地上発射の核トマホークである。アメリカから購入すればよい。

 自らの国家は自ら守るという確固たる哲学と姿勢があってこそ、日米同盟も真の同盟関係になれる。日本はアメリカと共に、北朝鮮の地下核兵器開発施設を破壊する予防的な空爆を断行すべきである。

 

 九、北朝鮮は皇居、国会等の武力占領を狙う

 

 金正日は、奇襲南進するとき在日米軍や米本土等の米軍の増援を阻止できなければ、自らが敗北することを熟知している。だから彼らが知力を尽くして、米軍増援を阻止する戦略とそのための戦術を考えていることは間違いない。

 何人かの安全保障問題専門家、軍事専門家が、北朝鮮の特殊部隊の日本潜入と破壊活動について書いている。特殊部隊は在日米軍基地、発電所、ダム、新幹線、原発などを狙って破壊活動をするだろう、というのである。だが何万人もの特殊部隊が潜入できるわけはなく、だから右のような破壊活動によっては、日本政府を屈服させて、在日米軍の出撃を拒否させることができないのは明らかである。金正日が考えている戦術がこんなものではないことは明瞭だ。

 金正日がまず狙うのは日本の元首である天皇陛下御一家、つまり皇居の武力占領である。自明なことである。だが誰も警告を発しない。十名の完全武装の特殊部隊に襲撃されたら、あっという間に占領されてしまうのが現状である。また他の特殊部隊は国会の武力占領も狙う。首相、大臣、議員を人質にとる。また東京や大阪に毒ガス(ソマン、サリン)を持った特殊部隊を配置する。原発および原発を外部から運転停止できる施設を武力占領する。これも実質的な人質作戦である。

 金正日は、決死隊として数十人の特殊部隊を潜入させれば、前記の軍事作戦を成功させることができるのだ。日本には既にこれらの特殊部隊を匿い支援するための朝鮮総連の非公然スパイ組織がある。金正日がこうした軍事作戦を追求しないと考えることこそ非現実的である。

 北朝鮮軍が韓国を奇襲攻撃する直前に、日本で前記の人質作戦を決行して、金正日が「米日両国は祖国統一の朝鮮革命に介入するな!もしも在日米軍、ハワイ、グアム、米本土の米軍を朝鮮半島へ出撃させたら、日本の天皇以下の人質を殺害する!東京、大阪の人間を毒ガスで大量に殺害する!原発を破壊する!核ミサイルを東京とアメリカへ撃ち込む!もしもアメリカが介入すれば、そのために決定的被害を被ることになる日本は必ずや反米国家に転ずるであろう。アメリカは日本を失うことになっても介入するか!?」と日米政府に通告したらどうなるだろうか。特殊部隊は実際に一部の人質を殺害し、毒ガスも一部散布する。通常弾頭のノドンも東京へ撃ち込む。日本政府は屈服するしかないだろう。そしてアメリカ政府も・・・。

 核ミサイルによる日本攻撃という戦術には、多くの不確かさも付きまとう。果たして米軍による予防的な空爆を受けることなく核ミサイル開発までこぎつけられるのか。開発に成功したとして、南進時に破壊されることなくどれだけを日本に撃ち込めるのか。撃ったとして命中精度はどうなのか。それによって狙いどうり日本政府を屈服させることができるかどうか、ということである。

 だから金正日は、人質作戦と核ミサイル作戦を組み合わせて日米両国と戦い、米軍の増援を阻止することを追求するはずである。

 

 十、北朝鮮の米軍増援阻止戦略を認識せよ

 

 この戦略をまず述べた上で、その戦術としての核ミサイルによる日本攻撃と特殊部隊による皇居等の武力占領作戦(人質作戦)を展開していく方がよかったかもしれない。

 金正日の戦略とは、もしアメリカが和平を掲げる日本政府を無視して韓国の救援に駆けつければ、韓国を救うことができても、天皇以下の人質を殺害され、毒ガスや原発破壊や多くの核ミサイルで何十万もの国民を殺されることになる日本は左翼の主導によって反米国家に転ずるから、アメリカは同盟国日本を失うことになるのだ、という状況を創り出すことである。つまり韓国救援に向かえばアメリカの国益はより悪化するという状況を創り出すことである。

 アメリカは、同盟国の韓国と同盟国の日本のどちらを取るのかとの選択に直面すれば、アジア・西太平洋地域の最大の同盟国である日本を取らざるをえない。これは明らかである。地政学的にも疑いがない。しかも日本を反米国家にするということは、国際政治の力学から、日本がソ連=新生ロシアと同盟することを意味する。ロシアの軍事力が日本の技術力・経済力と結合するのだ。アメリカと西側にとって最大の脅威が出現することになる。これを回避するために、アメリカ政府は韓国救援を断念することを決断せざるを得ないだろう。

 ただでさえ第二次朝鮮戦争における米軍将兵の犠牲者は数万人に上るとみられている。在日米軍の直接発進を拒否され、兵站基地日本の使用も拒否される中で、アメリカが北朝鮮と戦うときは、勝利しても犠牲者数はその何倍にもなってしまう。そして、大きな犠牲を払って韓国を救っても、日本が反米国家になり日露同盟が成立することになるなら、アメリカの国益は戦争前よりも決定的に悪化してしまうのである。アメリカ政府はこういうことを冷静に分析して、韓国救援を断念することになるだろう。

 この戦略のポイントは、日本を屈服させることができる戦術の実行であり、かつ、もしもアメリカが屈服した日本の訴えを無視して韓国救援に駆けつけたら、日本が反米国家になる程の打撃を日本に与え得ることである。

 すなわち、日本政府を屈服させてすぐに和平を求めさせ、在日米軍の直接発進を拒否させ兵站の役割も一切拒否させるだけでなく、日本政府をして「全ての米軍の韓国救援をやめて頂きたい。そうでないと日本は北朝鮮の攻撃でズタズタにされてしまう。そうなれば日米関係も崩壊することになります」と米国政府に対して言わせるような戦術を実行することである。こうなると、もし米軍がそれを無視して韓国救援に向かい、北朝鮮が日本を攻撃しても、日本政府も国民も「アメリカのせいでこうなったのだ」と捉えることになる。そしてその被害がとてつもなく深刻であれば、日本は左翼が主導して反米国家になっていく。

 だがもし、日本が屈服などせずあくまでも米国や韓国と共に最後まで戦い抜くという姿勢を堅持すれば、北朝鮮は戦争に負け、中国国境との山岳地帯に立てこもらざるをえなくなる。

 だから、この戦略の実現のためにどういう戦術を採るのかは、金正日にとってまさに死活的な問題なのである。そして前述したふたつの戦術がそれなのだ。もちろん皇居占領がその中のメインである。日本もアメリカも韓国もまだ北朝鮮のこの戦略と戦術を知らない!

 

 十一、天皇陛下御一家をお護りすることは国家を守ることである

 

 日本は英国と同じく立憲君主国である。日本政府と日本国民は、前記人質作戦を許したとき、屈服を拒絶できるだろうか。金正日の要求に従わざるを得ないだろう。アメリカ政府も前記の理由によりやはりそうなる。だが、天皇陛下御一家をお護りできれば、たとえ毒ガス・原発破壊・核攻撃されるなどして多大な被害を被ろうとも、日本は屈服を拒否して米韓と共に戦っていくことが可能だ。そして韓国は滅亡を免れることができる。北朝鮮は敗北する。すなわち天皇陛下御一家をお護りすることは、日本国家と日本国民の名誉をも守ることになるのである。

 そればかりか、それは日本国家と日本国民の存立を守ることでもあるのだ。なぜならば、日本が前記人質作戦を許して屈服したときに、もしもアメリカ政府が日本の訴えを無視して韓国救援に駆けつけたとしたら、金正日は首相や大臣や皇族のどなたかを殺害し、それでも韓国救援をやめなければ、天皇をも殺害する。もちろん毒ガスを散布し原発を破壊し核ミサイルを撃ち込む。金正日にすれば、戦争に負けても、日本をやっつけるとともに、日米を離間させ、日本をロシアへ追いやることができるのである。そうなったら、日本は全体主義侵略国家のロシアに滅ぼされる運命となる!数百万が殺害されるだろう。ロシアはソ連の偽装なのだ。

 そして日本がロシア領ないしその従属国となれば、戦争に勝っても韓国は地理的に四方をロシア、北朝鮮(山岳地帯に立てこもる)、中国という全体主義侵略国家に包囲されることになるから、いずれ滅びる運命になるしかないのである。

 だから日本は、北朝鮮・特殊部隊の襲撃から天皇陛下御一家をお護りするための対策を直ちに立てて、実施していかなくてはならない。国家の名誉と存立にもかかわることなのである。

 それなのに、日本の影響力ある立場にある人は誰も、北朝鮮は皇居の武力占領を狙っていると警告を発しない。政治と保守言論界の主流派が、今日の無防備国家日本を創り上げてきたのだから、当然なことでもある。北朝鮮の工作船も、そのためにこそ工作員を送り込んだり回収したりしているのだ。

 日本は国家安全保障戦略・理論において、北朝鮮に完全に敗北しているのである。もちろん日本はソ連=ロシアにも中国にも完璧に敗北している。両国と友好関係を持とうとしてしまっている。日本は国防のソフトウェアはゼロに等しい。ソ連=ロシア、中国、北朝鮮という全体主義国家は、騙すことを外交の最大の原則にしている国である。日本はこのイロハのことも理解していない。

 真正なエリートが国家の指導層と言論界の指導層に就かなくては、国家を守ことはできないのである。

 

 十二、北朝鮮の侵略を抑止・防衛、粉砕せよ

 

 日本政府は、金正日の北朝鮮をはっきりと想定敵国と認定しなくてはならない。小渕政権は北朝鮮に対して「対話と抑止」政策を採っているが全く誤っている。対話とは友好国同士で行なうものであり、抑止とは侵略国に対するものだ。その二つを並べるということは、抑止政策の形骸化以外の何者でもない。我々は北朝鮮と敵対することを恐れてはならない。三月下旬の工作船領海侵犯事件で見せたような、戦う姿勢が欠如した宥和政策を採ることは、金正日を益々増長させて侵略を誘うことにしかならない。敗北外交は直ちに止めなくてはならない。

 ちなみに、韓国の金大中左傾政権の「包容政策(太陽政策)」は百二○%誤っている。北朝鮮のスパイが潜入して工作するとしたらこうなるという政策と全く同じ政策を金大中政権は採っているのだ。それは、カネやコメや肥料を与えて、金正日体制とそのの軍事力を支え、かつ韓国の警戒心を解くことによって、北朝鮮の侵略力をより大きくしているのである。哲学や思想性が正当なるものでないから、こうした誤った外交・国防政策になるのである。

 日本政府は、まず自らの対北朝鮮政策を正して、金大中政権の政策の誤りを指摘し説得しなくてはならない。韓国の対北抑止・防衛力が弱くなったときに、金正日は侵略を開始する。それは同時に日本への武力攻撃・侵略でもあるから、日本としては、韓国政府の対北政策は他人事ではないのである。

 日本が早急に実行しなくてはならないことを簡潔に書いてみる。

 (1)天皇陛下御一家をお護りするため、また首相官邸、国会、原発等の重要施設を守ために、国防軍(自衛隊)に「領土保全」つまり「領土侵犯対処」の任務を導入する自衛隊法の改正を行なう。陸軍特殊部隊が無反動ロケット砲、機関銃、手榴弾、ライフル、防弾チョッキ、防毒マスク、装甲車等を装備して重要施設を守るのである。武器の先制使用と殺傷は当然のことである。「警職法七条準用」などという従来の誤りに満ちた武器使用限定を完全に否定することである。敵を上回る強力な武器で侵略者、テロリストを一蹴することこそが軍隊の戦闘の原則である。

 海軍にも領海保全の任務を導入する。あらゆる武器の先制使用と殺傷、撃沈、撃墜は当然のことである。

 (2)そのための交戦規定を定める。

 (3)皇居等に、たとえ襲撃されても安全を確保できる完璧なシェルターを造る。ロケット砲でも強力な爆弾でも破壊されず、毒ガスも生物兵器も完全にシャットアウトできるシェルターである。

 (4)英国等どの国でもやっているように、皇族の方々にも参加してもらって、本格的な訓練を定期的に実施する。領海、領空侵犯対処の訓練も定期的に行なう。

 (5)北朝鮮の核兵器開発を阻止するために、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)への十億ドルの拠出金を拒否すること。金正日は絶対に核兵器開発を止めない。KEDOは騙しであり、KEDOへのカネは全て核兵器開発等へ回される。クリントン大統領・ホワイトハウスや国務省は完全に誤っている。共和党主導の議会や国防総省・軍、CIAが正しいのだ。

 (6)毎年、北朝鮮の国家予算をはるかに上回るカネが在日朝鮮人と朝鮮総連から送金され、核兵器開発、ミサイル開発、武器製造等に使われている。この送金を一切ストップさせることである。また万景峰号で金正日の指令が伝えられ、日本のハイテク部品、製品がフリーパスで北へ送られ、核・ミサイル開発や武器の製造・修理に使われている。万景峰号の入港を禁止することである。その他の禁輸措置もとる。左翼の〃人権〃攻撃に負けてはならない。日本国家の存亡がかかっているのだ。もちろんコメなども一切送ってはならない。

 (7)日朝国交正常化交渉を直ちに止める。全体主義侵略国家との国交など全く不要だ。拉致された日本国民を取り戻す交渉は国交などなくても可能だ。

 (8)朝鮮総連を、破防法や新たな立法=結社法によって非合法化・解散させる。総連は金正日の指示で動いている組織だ。そんな反国家組織を野放しにしておく国がどこにあるだろうか。

 (9)政党法と結社法の立法によって、違憲存在の左翼政党と左翼団体を非合法化して解散させる。また誤っている学校教育法九条四項、国家公務員法の二七条と三八条五項、地方公務員法の一三条と一六条五項を改正して教員と国家および地方公務員から左翼を一掃する。レッドパージである。自由主義国家日本を解体し乗っ取ることを目指す左翼は侵略勢力であり、非国民であり、国家の敵である。国家の敵が違憲存在であり非合法化されるのは自明のことである。左翼学者によって誤って解釈されてきた憲法一二、一三、二一条の解釈を正常化せねばならない。

 (10)スパイ防止法を制定する。最高刑は死刑。あるいは刑法の八三条から八六条を復活させる。

 (11)有事法制を整備する。既述のごとく朝鮮半島有事とはイコール日本有事である。だが金正日の戦略・戦術が理解できない日本では、二つは別だと考えてしまっている。それはともかく、日本には有事法制が全く整備されていない。

 閣議で誤った憲法九条の解釈を正常化して「国家安全保障基本法」とも言うべき法律を早急につくり、自衛隊法をはじめ関連諸法を一括して抜本的に改正して、有事法制を整備していかなくてはならない。戦争遂行のために必要となる国民の義務や権利の制限の明記も当然のことである。

 首相によるトップ・ダウン方式の意思決定・指揮命令システムを創らなくてはならない。非常大権である。日本と同じ議院内閣制の英国では、緊急事態においては首相に権限が集中する。首相が即断即決して国防軍を動かしていく。どの国でもそうだ。現行のような安全保障会議や閣議など開いてはおれないのだ。

 (12)核シェルターを造らなくてはならない。米・西側対ソ連の冷戦時代、NATO諸国や西欧諸国は中立国でも、大規模な核シェルターを造った。危機意識もなく、だから危機管理意識もなかった日本だけが例外であった。

 (13)「国防教育」を実施していくこと。平時から、北朝鮮やロシアや中国が軍事侵略してきても、国民は国家防衛のために一丸となって徹底的に戦うのだという国防教育をしていくことである。日本に一番決定的に欠けているのはこれだ。国家の指導層が敵である左翼マスコミと左翼政党等を恐れて避けてしまっているのである。思想的に負けているのだ。国防教育がなされるならば、この章に書くことはすぐにも実現される。国家の敵である左翼勢力の非合法化・解散、国会や学校や公務員や弁護士会からの追放もすぐに実現されよう。

 (14)既に述べたが閣議で、従来の誤った憲法九条解釈とそれに基づく誤った国防政策(専守防衛)また非核三原則を、自己批判的に完全に清算し、正当な九条解釈と国防政策を樹立することである。つまり自衛権の正しい理解を確立することである。先制攻撃も敵国の基地等への攻撃も、国防軍の海外派兵も当然すぎることである。そのための強力な攻撃的兵器を整えること。ロシア、中国、北朝鮮という侵略国家から祖国を守るために、日本が同盟国の米国の同意の下に強力な核武装をするのも自衛権の重要な一環である。防衛庁は即刻国防省にすること。これらを「国家安全保障基本法」に盛り込み成立させることである。

 (15)日本政府は早急に非核三原則を放てきして、核装備の米艦艇や米航空機また米核部隊(陸上)を日本に駐留させることである。

 (16)「抑止政策」とは、「抑止・防衛政策」のことである。想定敵国を圧倒する軍事力を保持することで、相手に侵略の意思を抱かせないようにすることが抑止である。軍事力が劣位では抑止たりえない。だから日本は国防予算と軍事力を大幅に増額・増強しなければならない。もし抑止が破られたときは、侵略から国家を完全に防衛しなければならない。だから防衛政策は圧倒的な先制攻撃が大原則である。

 北朝鮮が核兵器開発をすすめるなら、これを予防的に破壊することも防衛政策の一環であり、自衛権の正当な行使である。

 (17)正しい九条の解釈、正しい自衛権の解釈に立脚した、朝鮮有事(=日本有事)への日米共同対処基本計画を早急に策定していくこと。日本の国防軍も米軍や韓国軍と共に前線で戦うのである。当然すぎることである。日米安全保障条約も抜本的に改正する。

 

 十三、真正なエリートが国家の指導層に就かなくてはならない

 

 一九三○年代から敗戦までの日本は、国家社会主義の左翼国家であった。左翼政府であったからこそ軍国主義になり、日中戦争をやり、大東亜戦争をやったのである。だが戦後、マルクス・レ−ニン主義の左翼は戦前の侵略戦争の担い手を資本主義者、自由主義者にしてしまった。歴史の偽造だ。戦前の同盟国であったナチス・ドイツも国家社会主義の左翼国家であった。我々は歴史をめぐる戦いにおいても左翼に敗北している。

 日本はアメリカの占領下で、左翼に代わって保守勢力(自由主義勢力)が政権に就くことになり、自由主義国家に復帰した。だが国家の指導層に、真正な保守主義=真正な自由主義の思想が弱かった。マッカーサー元帥がレッドパージを断行して模範を示してくれたのに、日本政府はそれを継承・発展させて違憲存在の左翼勢力を非合法化することをせず、〃共存〃するという誤った(狂った)選択をし続けてきたのである。思想的な敗北である。

 左翼は、侵略戦争を糾弾し、「平和憲法(九条)を守れ!」等々とプロパガンダして、政府を攻撃し萎縮させてきた。それらの結果として、今日の国家の体をなしていない日本国家になっているのである。もしも日米安全保障条約がなかったならば、無防備国家日本はとっくの昔にソ連に侵略され、東欧諸国のようになってしまっていた。

 三月の北朝鮮工作船事件の後、左翼の共同通信が行なった世論調査でさえ、五一%の国民が「法を改正して断固たる措置をとるべきだ」と考えている。国民の過半数は今の政府よりはるかに正当な思想を持っているのである。先を歩んでいるのだ。英国の名言に、「政治家は国民より一歩先を歩んでいる必要はないが、半歩先を歩いていなくてはならない」というのがある。今の政府は正当な憲法九条に違反している。国家のリーダーとして失格なのである。むろん民主党政府など論外である。政府は左翼マスコミが作り出す(デッチ上げる)〃世論〃に支配されてしまっているが、本当の国民の方を見なくてはならないのである。

 真正なエリートでなくては国家を守ることはできない。真正なエリートが政府や論壇の指導層を担わなくてはならないのだ。我々は民主主義(平等主義)の誤りを深く自覚しなくてはならない。欧米の政治社会はエリート主義である。 真正なエリートが、前章に述べたようなことを国民に訴え、国民を説得するならば、国民の意識が急速に変わっていくことは間違いない。国民のある部分はすぐに賛成し、またある部分の国民は説得されて成長し、政府を支持するようになる。日本を正常な国家に成長させるのは難しいことではないのだ。左翼勢力と闘う真正なエリートが指導層にいないだけなのである。

 

 十四、「冷戦終結」はソ連=ロシアの大謀略だ

 

 冷戦は終わっていない。ソ連=ロシアに西側世界は完璧に騙されてしまっている。ゴルバチョフやエリツィンやKGBなどソ連共産党のエリートが、シナリオに基づいて、〃東欧の解放〃やソ連から新生ロシアへの転換(国家の偽装転換)を演技(芝居)しているのである。新生ロシアはソ連の偽装国家だ。徹底した全体主義国家だから可能になることである。ロシアには自由など一片もない。あるように見える〃自由〃はすべて芝居である。自国を味方のように装い、また自国を弱く見せて敵を欺くのは、兵法の基本だ。ロシアは二十一世紀に全ユーラシア大陸を征服することを虎視眈々と狙っている。迫っている危機は北朝鮮の侵略だけではないのだ。

 日本はロシアに対して戦略核での武装を当然のこととして軍事力を飛躍的に強化していかなくてはならない。そして真正な自由主義を共通の価値とする日米同盟を堅持し抜くことである。日米同盟は、日本国家存立のための永遠の国是である。

                 

                                    一九九九年四月二十八日記

 

 

 追記  中川八洋筑波大学教授が『諸君!』および『正論』六月号で、北朝鮮はノドンと特殊部隊で皇居を攻撃、占領するとの論を展開していた。さすがである。是非読んで頂きたい。

                                               五月七日記

                                         


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