●拉致問題
 −小泉内閣の反国家外交

  

 一、北朝鮮への屈服と迎合外交

 

 政府の最大の責務は、国家の安全・国家主権と国民の生命を守ることだ。北朝鮮は長年にわたって日本国内に侵入して数十名の国民を拉致し、欧州でも多くの日本国民を拉致したテロ国家である。日本政府は拉致された国民を救出するべく、同盟国の米国と強く連携して断固たる姿勢で対処していかなくてはならなかったのである。法律を整備し軍事力を強化して、自衛の武力行使も視野に入れてである。

 だが、日本政府は長い間「拉致」そのものに懐疑的であった。八件十一人の拉致を認定した後も、彼らを救出するべく独裁政権に圧力をかけることは全くなく、逆に独裁政権の資金源になっている朝銀に公的資金を投入したり、コメ支援を実施したり、軍事転用物資と裏金の輸送と対日工作の指令伝達に使われている万景峰号を自由に入出港させる等、金正日独裁政権を支援することばかりをしてきたのである。政府は国家の名誉と国家主権の意識が極めて弱く、屈服・迎合外交に終始してきたのであった。

 これは、政府の責務の放棄であるばかりでなく、積極的な利敵行為であって、明白な憲法違反である。

 今回の小泉首相の訪朝と許し難い内容の日朝共同宣言の調印も、戦う姿勢など全くなく、自らの内閣の人気取りを狙って行ったものである。金正日の戦略も読めず、敵を助けて、日本の危機をも招来し得うる反国家外交である。

 

 二、金正日の三つの狙い

 

 ブッシュ政権の米国は、金正日政権打倒の強硬方針(これが正常なのだ)を堅持しており、金正日はイラク・フセイン政権打倒後には次は自分が狙われると恐怖している。この危機を回避するために、金正日は米国の同盟国の日本を引き込んで、「平和」「協調」「ミサイル発射凍結期間の延長」等を謳った共同宣言をぶち上げて、国際社会に北朝鮮の「大きな変化」(演技)を印象づけ、十月には国交正常化交渉を開始し、早期に国交を回復して、北朝鮮・ロシア・中国の三国同盟関係に韓国と日本を引っぱり込んで、それらをもって米国の攻撃の阻止を狙っているのである。ロシアのアドバイスだ。

 もうひとつは、国交を回復して日本から百億ドルとも言われる多額の資金を獲得して、経済の再建と軍事力の強化を狙っているのである。

 もうひとつは、日本と国交を結ぶことによって、日本国内での秘密活動を飛躍的に強化させていくことを狙っているのだ。工作員は外交官等の身分で堂々と入国できる。九九・四・二八付文書で書いたが、金正日は武力南進する時には、米軍の来援を阻止するために、日本の皇居、首相官邸、国会、原発、東京、大阪等を決死の毒ガス部隊で占領することを考えている。米国が先制攻撃を準備する時も、この作戦の恫喝によって攻撃の阻止を狙うのだ。

 

 三、日朝共同宣言を破棄し断交を継続すべし

 

 北朝鮮が侵略国家であるのは、国民を奴隷支配する金正日独裁政権であること、大量破壊兵器を開発配備していること、三十八度線に厖大な兵力を配備し、工作員を潜入させていることによる。これらを無くさねば非侵略国家にはならない。言葉に騙されてはならないのだ。

 日本はマスコミの「国交正常化」の宣伝に洗脳されて、それを自己目的化してしまっている。自由主義(保守)を共有する国との国交は利益になるが、侵略国家との国交は道徳的に許されないばかりか、日本の安全保障を著しく脅かすことになるのだ。引き続き断交あるのみだ。日本は米国と強く連携して、金正日政権を崩壊させるべく断固戦うべきである。

                 二〇〇二年十月十日記


TOPへ