●北朝鮮はイラク戦争中に日本・韓国を侵略する可能性が高い

 

 一、金正日が最も望む戦略

 

 金正日が最も望む戦略についてまず述べよう。

 アメリカとの間で「不可侵条約」を結び、北朝鮮の現体制の保証を確保する。この場合には当然、金正日は「核兵器開発の破棄」等を「約束」するわけだが、もちろんそれは口約束に過ぎず、密かに核兵器生産とミサイル生産を続行する。一方で金正日は韓国における「平和革命」を一層推進していく。「不可侵条約」の締結とは、これらを進めるための時間稼ぎのためのものである。

 そして金正日は、韓国における親北左翼政権との間で統一国家樹立を実現させる。言うまでもなく、それ以前に韓米同盟は破棄されて在韓米軍は撤退させられている。金正日は、革命の進展具合を見て、ある段階で南半分を軍事支配して、名実ともに赤化統一を達成するのである。新たに四千数百万人が奴隷と化す。

 この方法であれば、「国内問題」となり、アメリカが介入することは非常に難しくなる。またアメリカが「テロ支援国家」として金正日政権を打倒しようと考えても、金正日はその頃には、核弾頭を装着したICBMを数基保有して、アメリカを逆抑止できるようになっていよう。また百基の日本攻撃用ノドンミサイルにも核弾頭が装着されるようになり、日本を人質に取ることでもアメリカを逆抑止できるのである。

 金正日は韓国人を収奪して「強盛国家」造りに励むとともに、恫喝をもって日本に国交正常化を強要し、「植民地支配の謝罪と補償」を要求し、日本を思想的に屈服させ、大金を奪い取る。だがこれは手始めに過ぎない。金正日は中国やロシアとも連携して、日本における「平和革命」を画策するのだ。

 

 二、日米同盟を否定したら日本は滅ぶ

 

 日本には、平等主義に洗脳されて、自由主義(資本主義)国家日本を解体せんと戦っている朝日新聞、テレビ朝日、毎日新聞、東京放送、NHK、共同通信などなど多くの左翼マスメディアがある。北海道では北海道新聞がそうだ。これらマスメディアに支えられることによって、日本共産党、日本社民党、市民的左翼、新左翼そしてそれらのシンパが、その力を何十倍にも増幅させつつ活動している。これら左翼は内なる侵略勢力であって違憲存在であるのに、全く規制がなされていない有り様である。

 金正日は韓国を赤化統一し、日本を核兵器、化学兵器、生物兵器で威圧しつつ、精力的に対日革命工作を展開していく。これによって、日本の左翼勢力は力を一気に増大させていくであろう。彼らは「平和」をプロパガンダし、「日米同盟があるからこそ日本は戦争に巻き込まれる危険があるのだ。日米同盟を破棄させなくてはならない。そのためには自民党政権を打倒し、民主勢力の統一戦線政府を樹立しよう」とマスコミを駆使して世論工作していく。

 中国やロシアもここぞとばかりに、日本をアメリカから切り離すべく、日本の「平和革命」を支援していく。

 これに対抗する日本の保守勢力(自由主義勢力)の戦いが不十分であり、もし左翼側が勝って、選挙で「民主統一戦線政府」が成立し、日米安全保障条約が破棄され、一年後に在日米軍が撤退させられることになれば、日本はどうなるか。日本は「中立国」になるのではなく、中国、ロシア、統一朝鮮の陣営側に移行してしまうのである。このとき、アメリカはもはや味方ではなく敵国となっている。それゆえに、日本は中国、ロシア、統一朝鮮の属国となり、日本国民はそれらの傀儡政権によって独裁支配されることになるのである。

 これまでロシアに関しては何度か書いてきたので、中国の場合で述べよう。中国の対日攻撃用の中距離核は約六十基であり、その威力は広島型原爆の約千二百個分に相当する。従って、アメリカから離れた「革命日本」の「民主統一戦線政府」内の非親中国派や日本国民は、中国政府の核の恫喝ひとつで屈服するしかない。もはやアメリカの巨大な核戦力が中国の日本侵略を抑止してくれることはないからだ。

 中国の支援を受けて、親中国派左翼が日本政府を乗っ取ることになる。「法の支配」と自由民主主義は破壊され、独裁支配が開始されていくことになる。保守派(自由主義派)は処刑されたり監獄送りとなるが、弾圧されるのは保守派のみに留まらない。左翼であっても、かつて反中国、反北朝鮮、反ソ連(ロシア)の言動を行った者も監獄送りとなり、処刑されるのである。恐怖政治が始まる。

 

 三、アメリカは金正日独裁政権を打倒する

 

 昨年一月の一般教書演説で、ブッシュ大統領は北朝鮮、イラク、イランを「悪の枢軸」と呼び糾弾した。第一番に北朝鮮が挙げられている。それは北朝鮮がイラク、イランに比べて、既に核兵器を含む大量殺傷兵器で武装している政権であるからである。「我々の二つ目のゴ−ルは、北朝鮮などテロ支援政権がアメリカやその友人、同盟国を大量殺傷兵器で脅かさせないということです」と述べられている。

 昨年八月十五日に公表されたアメリカの国防報告では、前記三国を名指して非難するとともに、米国本土へのミサイル攻撃の危険性を指摘した上で、「場合によっては『先制攻撃』が必要である。すべての脅威に対する防衛は不可能であり、唯一の防御方法は敵と戦うことだ。優れた攻撃が最良の防衛である」「米国は事前にあらゆる攻撃手段使用の可能性を否定してはならない。米国は勝利を得るためには手持ちのあらゆる手段を用いて、犠牲をいとわないことを敵側に理解させなければならない」と、核兵器を含む先制攻撃戦略が明言された。

 同年九月二十日に発表された「国家安全保障戦略報告書」では、二十一世紀は一方ではテロリストや「無法者国家」が大量殺傷兵器で平和を脅かす状況も生まれたと指摘し、米国の目標は、建国以来の伝統的価値観である「自由と正義」の側に立ち、「人間の尊厳」の擁護者として、同盟国や友好国を率いて、テロリストや「無法者国家」の独裁者と戦い、世界の平和を守ることであると謳われている。先制攻撃とミサイル防衛がそのための手段である。またアメリカは、世界中が民主主義国家に転換するように協力もすると述べられている。

 金正日は、アメリカは金正日政権を転覆させる意思だと恐怖したからこそ、「拉致問題の解決」を餌にして小泉首相を平壌に呼びつけ、嘘で固めた「日朝平壌宣言」を出して、日本を取り込んでアメリカが攻撃出来ないような状況を創り出そうとしたのである。日本の安全保障、外交、国益というものが理解できない首相は、同盟国アメリカを裏切る形で敵国の独裁者に利用されたわけである。しかしアメリカ政府は、「金正日は核兵器開発を継続している」旨を公表して、日朝平壌宣言を無効にし、日本を誤った道から救い出したのであった。

 アメリカはまずアルカイダとタリバン政権を壊滅させ、今まさにテロ支援国家=無法者国家イラクのフセイン独裁政権を打倒しようとしている。フセインの次は金正日である。フセイン政権や金正日政権は、テロリストを支援し自らもテロルを行うだけでなく、国内においては自国民を侵略支配している独裁政権であると、私たちは正しく認識しなくてはならない。

 アメリカ政府がこの間、「アメリカは北朝鮮を軍事侵攻する意思がない」「平和的・外交的に解決可能だと楽観している」と表明してきたことは、あくまでも情報心理戦争の戦術である。すなわち二正面作戦を強いられることを避け、まず対イラク戦争に全力投入するためである。金正日もそのことを理解している。

 

 四、金正日の瀬戸際外交を拒絶すること

 

 金正日はアメリカが対イラク戦争を準備し始めた昨年十月以降、戦術を転換して瀬戸際外交を展開しているが、対イラク戦争の開戦が目前に迫っている。従って金正日はアメリカ政府に「不可侵条約」を結ばせるべく、瀬戸際外交を更にエスカレ−トさせていく。

 何が考えられるか。多くの核弾頭ミサイルの保有宣言は当然なされる。アメリカ西海岸に届くテポドン2型改良型の保有宣言もなされよう。もちろん核弾頭である。再処理施設の再稼動もなされる。さらに「大演習」と称して三十八度線に更に戦力を結集させて「南進の動き」も見せることだろう。イラク戦争が始まってからなされるものもあるだろう。

 金正日はこうしてアメリカを政治対話の場に引き出して、「不可侵条約」を締結させることを狙うのである。「アメリカが条約締結を拒否したら南朝鮮を武力解放することもあり得る」と脅すだろう。もし北朝鮮が武力南進すれば、ソウルは火の海と化し、一週間で韓国の多くは占領されてしまうだろう。しかもアメリカはイラク戦争を戦っており、もうひとつの大戦争を同時に戦うことは困難を極める。アメリカ政府は不可侵条約を締結する誘惑に駆られるにちがいない。そこが狙い目なのである。

 もしもアメリカ政府が金正日の脅しに屈して不可侵条約を結んでしまえば、一章、二章に論述した未来が待っている。アメリカは自由主義国であり、一度締結した条約やそれに準ずる共同声明文に拘束されてしまう。だから便宜的に結ぶという選択肢はない。不可侵条約やそれに準ずる文書を取り交わせば、将来より大きな危機、より大きな犠牲、より大きな国益の損失が待っている。

 だからアメリカ政府は断固拒絶しなくてはならない。日本政府も日本の国益から、断固拒絶するようアメリカ政府に言わなくてはならない。

 五、イラク戦争中の南進と日本侵略の可能性


 アメリカが脅しに屈しなかった場合、金正日は「アメリカはイラク戦争後に北朝鮮を潰しにくる。それならば、イラク戦争中に南進するとともに、日本を人質に取ることでアメリカの増援を阻止する起死回生の作戦を実行しよう」と考えないだろうか。どうしてその可能性はないと言えるだろうか。国家安全保障における原則は、「疑わしきは対処せよ」である。

 金正日がいまだ瀬戸際外交をやっていると思わせておいて、奇襲南進して韓国の多くを占領したとしても、アメリカがイラク戦争に勝利した後にさらに大部隊を増援に送り込んでくれば、北朝鮮は何ヶ月後には敗北することになる。金正日はそのことを熟知している。だからアメリカに韓国救出を断念させる作戦を実行できるかどうかがポイントになるのである。

 以前の文(「国防こそ政府の最大の責務である−北朝鮮は皇居等の武力占領と日本への核攻撃を狙う−」九九年五月十五日付)にも書いたが、日本を人質にとる作戦を同時に実行することによって、アメリカに韓国救出を断念させることは可能になり得るのだ。

 金正日は、十万人の特殊部隊を未発見の秘密地下トンネル十数本等を使って韓国に侵入させ、化学兵器等を使って空軍基地、司令部、兵舎、政府機関を攻撃する。三十八度線からも長距離砲、ロケット弾、ミサイルを空軍基地、司令部、主力部隊、都市に向けて大量に投射する。化学弾頭も発射される。百万の朝鮮人民軍が一気に南進する。

 金正日は同時に、日本に侵入させている特殊部隊に、皇居、東宮御所、国会、首相官邸、防衛庁、警察庁、警視庁、原発、テレビ局、東京、横浜、大阪等の高層ビル等を襲撃させるのである。彼らは化学兵器、生物兵器、高性能爆弾、機関銃等で武装した決死隊である。一瞬のうちに制圧、破壊され、人質にとられてしまうのは間違いない。

 現在の自衛隊には「領土侵犯対処」「領海侵犯対処」の規定が付与されていないから、実戦即応の陸自特殊部隊を皇居や国会等に配備することが出来ない。また交戦規定も定められていない。こんな国は他にない。左翼(侵略勢力)のイデオロギー攻勢に屈服した政治家・官僚の大罪である。この不作為は憲法九条違反である。本来の九条二項は自衛のための軍隊の保有を認めている。一項は自衛戦争を認めている。政治家・国民は国防の義務を負っているのだ。

 国家元首の天皇陛下御一家を人質にとられ、首相、防衛庁長官以下の大臣と国会議員全員も人質にとられ、防衛庁内局の幹部と制服組の幹部も人質にとられ、警察庁、警視庁は破壊され、無数の国民も人質になる。

 そこで金正日は日本政府とアメリカ政府に声明を発するのである。「日本政府は直ちに米軍の基地使用を拒否せよ。アメリカ政府は日本、グアム、ハワイ、米本土等からの増援を直ちに中止せよ。さもなければ天皇や皇太子や首相以下大臣や国会議員を処刑する。高層ビル内の人質を処刑する。原発を破壊し、東京、大阪等の都市で毒ガスや細菌を撒布する。我がコマンドは日本各地に潜伏している。さらに百基の核弾頭・化学弾頭・生物兵器弾頭のノドンミサイルを東京、大阪等に撃ち込むことになる。日本は韓国のように壊滅することになるだろう。日本と日本国民よ、それでもよいのか。アメリカ政府に告ぐ。アメリカが韓国救出に向かうならば、我々は日本を壊滅させる。そうすれば日本は間違いなく反米国家となって中国やロシアと同盟することになる。日本の技術力、経済力が両国に渡ることになる。アメリカの国益にとって日本と韓国とどちらが大きいか考えてみることだ。さらに我々がロサンゼルスを破壊する核ミサイルを保有していることを忘れるな」と。

 もしこのような状況が創り出されたならば、日本政府はすぐに屈服することになるし、アメリカ政府も国益を考えて韓国救出を断念せざるを得ないだろう。北朝鮮は韓国を併合することになる。金正日はアメリカと平和条約を結んで統一朝鮮を承認させ、また日本とも平和条約を結び、莫大な身代金を獲得することになる。

 私たちは絶対にこのような事態にならないようにしなければならない。

 

 六、日本有事の臨戦態勢で臨め

 

 アメリカは前章で論じたような、日本を人質に取ってアメリカに韓国救出を断念させる金正日の作戦にまではまだ想像力が回っていないと判断される。しかし国家の存亡がかかってくる日本こそが、この危険性に気付き、早急に対処措置を構じるとともに、同盟国アメリカに伝えていかなければならないのである。敵側の立場に立って考えてみることである。この小冊子は日本の枢要等に百七十五部ほど送付されているが、日本を愛し日本を守る意志に依って受けとめて頂きたい。そしてしかるべき方面へも情報として伝えて頂きたい。

 私たちは早急に次のことを実現しなければならない。(1)内閣は従来の反国家的な九条解釈を是正する閣議決定を断行する(一月十日付論文参照)。(2)日本軍(自衛隊)に「領土侵犯対処」「領海侵犯対処」任務を導入する自衛隊法の改正を行う。そして直ちに機関銃、ライフル、手榴弾、無反動ロケット砲、ガスマスク・防護服、装甲車等で武装した陸軍特殊部隊で皇居や国会等の重要施設を警護する。また除染のための化学防護部隊も常駐させる。海軍に日本海沿岸を警護させる。(3)交戦規定を定める。武器の先制使用と敵の殺傷は当然のことである。

 (4)皇居、国会等に空気浄化装置付きの対化学・生物兵器シェルタ−・核シェルタ−を建設する。(5)日本への化学剤・生物兵器の持ち込みを阻止するため、北朝鮮の万景峰号などの船舶の入港を禁止する。(6)ワクチン、解毒剤を大量生産し、医療関係者教育を実施する。都知事は都民にガスマスクを支給する。

 (7)有事法制を整える。「基本計画」の策定その国会承認は不要かつ誤りである。国防軍の活動に予め枠をはめるような愚は繰り返してはならない。国家と国土と在外邦人の生命と財産を守るためには、戦況の変化に応じて必要となるあらゆることをしなければならないのである。日本軍はアメリカ軍と共に朝鮮半島においても戦うのだと決めることである。集団的自衛権の行使は自明のことである。

 (8)アメリカから核トマホークをオペレーター付きで導入し、陸上と艦船に配備する。(9)もし金正日が武力南進の気配を示したならば、日本はアメリカと共に自衛権を行使して、北朝鮮に先制攻撃を行うことを決定する。その場合、核兵器による先制攻撃も排除しないと決定する。攻撃は最大の防御である。(10)国民に対して国防教育をする。正義の軍備と戦争があり、一方に悪の軍備と戦争がある。両者を峻別しよう。対北朝鮮戦争は正義である。自由主義と全体主義の戦いは永遠に続く。

                 二00三年三月十日記


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