●イラク解放戦争と左翼らの「平和」「反戦」運動

 

 一、イラク解放戦争は合法

 

 三月二十日(日本時間)米英両国は四十四ヶ国以上の支持・支援を受けて、「イラクの自由作戦」を開始した。この戦争の目的は、三月十八日に行われたブッシュ大統領の「最後通告演説」に余すところなく述べられている。手遅れになる前に危険は排除する。つまりフセイン独裁政権を打倒して大量殺傷兵器を廃棄し、それによって米国をはじめ自由世界の平和を守る。また残虐な独裁政権によって自由を奪われ迫害されてきたイラク国民を解放して、彼らの自由イラク建設を助けることである。「独裁者が去ったとき、イラク国民は、活気あふれる、平和的な自立した国家の手本を中東地域全体に示すことができます」と述べられている。

 昨年九月に発表された新国家安全保障戦略に基づいた戦いである。「封じ込め戦略」ではなく、先制攻撃による「解放戦略」だ。安保理常任理事国のフランスが公式に拒否権発動の方針を明確にしたこと等によって、安保理が国際平和を守る責任を果さないことがはっきりした。それで米国は世界の要求を実行するために、自衛権を行使したのである。

 また一九九0年十一月の安保理決議六七八、九一年四月の停戦決議六八七はどちらも依然有効である。昨年十一月全会一致で採択された決議一四四一は、イラクは決議六八七など、一連の決議で求められた履行義務に重大な違反を犯していると決定している。だから米国など各国には決議六七八、六八七に基づいて攻撃を再開する権限がある。そして行使したのだ。

 左翼やリベラル左派は「安保理決議なしの武力行使は国際法違反だ」と攻撃しているが、自衛権は国際法で認められているし、安保理決議六七八、六八七、さらに一四四一もある。イラク解放戦争は全く合法なのである。

 

 二、左翼らの「平和」「反戦」は欺瞞

 

 左翼マスメディアをはじめとする左翼らは、危機感をつのらせて世界各国で平和・反戦運動を展開している。これが米英ら連合軍の戦いをけん制する存在になっていきうる可能性がある。「イラクの自由作戦」の大勝利を願うならば、われわれも日本における左翼らの平和・反戦運動を解体するべく戦っていかなくてはならない。私の心は米英ら連合軍と共に在る。

 「平和」「反戦」のスローガンはいかにも俗耳に入りやすい。だから左翼らは好んでこれを使い、民衆を洗脳し味方につけようとする。そして米英日政府をけん制せんとしているのだ。

 だが左翼らは、「フセインは大量殺傷兵器を廃棄せよ!」とデモをしただろうか。決してしなかった。フセインが決議一四四一で与えられた最後の機会をとらえて、大量殺傷兵器を全て廃棄していれば、連合軍による武力攻撃は回避できたのだ。「平和」「反戦」を掲げるのであれば、当然すべきことを彼らはしてこなかったのである。すなわち左翼らの「平和」「反戦」スローガンは欺瞞なのである。

 中東のいくつかの国の政府は、公的あるいは私的に、フセインは国を去るべきだとのメッセージを発してきた。米英も早くからそれを要求してきた。ブッシュ大統領の最後通告演説でも、フセインとその息子たちが四十八時間以内にイラクを出なければ武力行使をすると謳われている。左翼らは平和を求めて、独裁者フセインの退陣と出国を主張したであろうか。それを掲げてデモをしたのであろうか。断じて否である。皆無だ。

 左翼らのマスメディアは連日、「空爆による市民の死傷者数は何人だ」と独裁政権が発表する偽数字をそのまま報道して、フセインの情報戦を全面的に支援し、米英ら連合軍の「非人道性、侵略性」をプロパガンダしている。しかし彼らが、フセイン独裁政権が住民に疎開を許さず、「人間の盾」になることを強制していることを非難することはない。これは戦争犯罪だ。三月二十八日には、南部の都市バスラで住民千人が市外へ逃れようとしたら、特殊部隊のサダム・フェダイーン(サダム挺身隊)が迫撃砲や機関銃などで住民を激しく攻撃し、多数が殺害されている。左翼らがこれらに抗議してデモをすることも当然のことながら皆無である。

 サダム・フェダイーンはソ連=ロシアのKGBと同じで、軍、政府、一般国民を監視し、サダム・フセインに忠誠を示せない者を逮捕状なしで連行し処刑する。イラク反体制組織イラク・イスラム革命最高評議会は二十六日、開戦以来、サダム・フェダイーンが正規軍の将校六十二人を処刑したと発表した。その他にも特別治安局、総合治安局、総合情報局、軍治安局、軍情報局という治安組織が、国中のあらゆる場所に何重もの密告網を張り巡らして、フセインに忠誠を尽さない者を令状なしで連行し処刑している。フセインは、国家テロルによる恐怖で国民を奴隷的に支配しているのである。イラク国民にフセイン政権を批判する自由は一片もない。そうすることは死を意味する。

 イラクの独裁政党であるバース党は社会主義政党だ。社会主義国は、ソ連、中国、北朝鮮、シリア、リビア等でも全て、秘密警察が密告制度を使って国民を恐怖支配する国家なのである。イラク国民に一切自由はない。国民は強制されたスローガンを反復するだけである。

 左翼らはこのようなイラクの独裁体制を糾弾し、デモをしたことがあるだろうか。答えは言うまでもない。彼らはイラク政権を支持、擁護しているのである。より正確に言えば、平等主義・社会主義(共産主義)に洗脳されているために、彼らのほとんどは、イラクが自由ゼロの独裁国家であることを認識することができないのだ。

 左翼らはサダム・フェダイーンらによる反撃と、米英ら連合軍の〃苦戦〃を、喜々として報道している。すなわち左翼らの言う「平和」「反戦」とは、米英ら連合軍の戦争(侵略戦争だと規定する)に反対するだけのものであり、フセイン軍の戦争は支持するものである。左翼は一九五0年代の朝鮮戦争では、北朝鮮・ソ連・中国の韓国侵略戦争を解放戦争、革命戦争だとして支持し、韓国・米国らの防衛戦争を侵略戦争だと嘘プロパガンダして、反戦運動を展開したのであった。六0年代と七0年代のベトナム戦争でも、独裁国家北ベトナム・ソ連・中国の南ベトナム侵略戦争を解放戦争だとして支持し、南ベトナム・米国らの防衛戦争を侵略戦争だと攻撃して、反戦運動を戦ったのである。

 十三年前のイラクのクウェート侵略戦争でも、左翼は、アラブの反動親米政権を追放する正義の革命戦争だととらえて支持、擁護したのである。そして国連決議六七八に基づく米国を中心とした多国籍軍のクウェート解放戦争に対して、反戦運動を展開した。

 サダム・フセインは大量殺傷兵器を開発し、テロリストを支援して、西側自由世界を逆抑止して、地域覇権を確立しようとしてきた。フセインの言う「平和」とは、将来の恐しい侵略への過渡期に過ぎない。われわれはフセインが長距離核ミサイル等を保有した場合の脅威を想像すべきだ。またイラクは恐怖支配の社会であり、日常的に無辜の国民が多く殺され傷つけられている。イラク国民は独裁者フセインに侵略されていると言ってよいのである。つまりイラクの現状=平和とは、国民にとってはフセインから侵略戦争を受けている状態なのだ。

 左翼らが使う「平和」や「反戦」は、自由な社会の平和の追求や侵略戦争反対という、普通の人々の観念とは全く異なったものなのである。その反対物だ。騙されてはならない。

 「自由のない、無数の無辜の国民が殺されている〃平和〃よりも、米英による解放戦争を求める」と密かに語ったイラク人の言葉が全てを物語っていよう。

 左翼は反自由主義(反民主主義・反資本主義)の社会主義者(共産主義者)やアナーキストであり、自由主義国の解体をめざす反米英日勢力である。彼らは今、フセインテロ政権の別動隊として「平和」「反戦」を掲げて戦い、民衆を洗脳している。われわれは彼らの欺瞞と正体を国民に暴き、解体していかなくてはならない。断固、米英ら連合軍を支持していこう。

                                              二00三年三月三十一日記


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