●「イラクの自由作戦」大成功
ブッシュ大統領は五月一日、イラク戦争から帰還中の空母エーブラハム・リンカーンの艦上からテレビ演説し、「大規模戦闘の終結宣言」を行った。大統領は「米国は自由の大義と世界平和のために戦った。米国の安全は守られ、イラクは自由になった」「独裁体制から民主化には時間がかかる。我々は仕事が完了するまでイラクに留まる」等々と述べた。
優れた情報偵察活動とGPS(全地球測位システム)やレーザー目標指示装置を用いた精密誘導兵器攻撃、そして柔軟性に富んだ優秀な戦術によって発揮された米国の軍事力は、まさに圧倒的であった。米英主導の連合軍は、わずか三週間でバグダッドを陥落させフセイン独裁政権を崩壊、消滅させてしまったのである。首都陥落のニュースに私は何度もこぶしを突き上げたものだ。空爆で指揮通信手段、指揮系統を破壊されたフセインは、化学兵器、生物兵器を使うこともできなかった。フセイン自身、既に死んだか重傷を負ったか、身を隠すのに汲々としているかのいずれかだろう。
独裁政権は打倒され苦難の時代は終りを告げた。何十年も自由を圧殺され奴隷的に支配されてきたイラク国民は、歓喜と旧政権に対する怒りを爆発させた。人々は手に手に米国旗を持ち、USAを連呼して街を走り回った。フセイン像を引き倒し、その顔を靴で何度も叩きつけた。これは最大の侮辱を意味する。また人々は独裁政権の建物を次々と焼き討ちしたのである。
米国の力とテロ支援国家を許さないとの固い意志をまざまざと見せつけられたテロ支援国家は、肝を冷やした。たとえば米国に名指しで脅されたシリアの独裁者アサドは四月二十日、完全に屈服して「イラク戦犯の亡命を受け入れる気はない。逃亡してきたイラク人は全て国外退去させる」と表明した。五月三日、パウエル米国務長官は「シリアが国内のパレスチナ過激派の拠点の閉鎖を開始した」と言明した。
米英両国は現在、残存勢力の掃討と治安維持、逃走中の旧政府高官らの捜索、大量殺傷兵器の捜索を進め、復興人道支援機構の下で行政サービスの提供や生活インフラの復旧を行っている。またイラク人による暫定政権づくりの準備を進めている。
四月十五日には各民族、宗派の代表を集めて、イラク暫定政権樹立に向けた第一回準備会合が開かれ、新生イラクのあり方が協議されて、十三項目の基本原則が合意された。以下である。イラクは民主的であるべきだ/将来のイラクは民族中心主義に基づくべきでない/将来のイラク政府は民主的な連邦制に基づくべきだ/法の支配がすべてに優先する/政治的暴力を排除し、直ちに復興に取り組む/バース党を解体し、社会への影響力を取り除く/女性の地位を含む多様性を尊重する/外部からの押し付けではなくイラク人が指導者を選ぶ等々である。
様々な問題が生起するだろうが、右「合意」がある以上、今後の暫定政権の発足、憲法の制定、新政府の樹立も基本的にうまくいくであろう。なぜなら例えば今、イランに本拠を置くイラク・イスラム革命最高評議会は、指導者をイラクへ派遣してシーア派内の自らの影響下にある住民に反米デモをやらせ、米軍への発砲も起しているが、米英軍はこういう右合意を否定する行動は断じて許しはしないからである。イラク国民は自由で民主的な新イラクの建設を進め、中東全体の模範となっていくであろう。
米国は、フセインが大量殺傷兵器と中長距離ミサイルを所有し、またテロリストとも結託して、米国を逆抑止し、中東を支配して石油戦略を発動する危険を、事前に打ち砕いたのである。自由世界の平和を守り、イラク国民を解放した米英両国に、私は心から感謝したい。石油の八十八パーセントを中東に依存しているわが国も、貴い犠牲を払って将来の平和を守った両国に、感謝の意を表わしてしかるべきである。
二00三年五月四日記