● テロと左翼との戦いを断固進めよう

 

 一、テロリストと左翼の戦いに屈するな

 

 私たちにとって、イラク戦争とその後の新イラク国家建設支援は、独裁政権やその残党また侵入したアルカイダらとの戦いであるだけでなく、各国の左翼(共産主義勢力)との戦いでもある。日本なら、左翼マスコミ、日本共産党、社民党、新左翼、市民的左翼らである。

 イラク戦争一周年を迎えて、左翼勢力はプロパガンダ攻勢を強めている。たとえば次のようにだ。「米国ら同盟国のイラク侵略戦争で、イラクでは無辜の市民が多く殺された。そして今、反米武装勢力との戦闘でイラクは内戦状態になりつつあり、またもや多くの市民が犠牲になっている。テロを戦争で撲滅することはできない。この暴力の悪循環を断ち切るには、米国らが直ちに主権をイラク人に返還して、撤退するしかない。そして国連中心でイラク復興を行うべきである」と。

 このように左翼は、三十万のイラク国民を虐殺してきたフセイン独裁政権を打倒したイラク国民解放戦争を、「侵略戦争」だと規定して全否定する。また、自由な新イラク国家建設を妨害し、失敗させることを狙って、平気でイラク国民を巻き込んだ無差別テロを行う旧フセイン政権残党やアルカイダ等のテロリストを、「反米武装勢力」とか「反米抵抗勢力」と表現して持ち上げる。こういうことは、私たちとは正反対の誤ったイデオロギーで頭脳と心を支配されてしまっている左翼の常である。

 もしも、米軍ら同盟軍がイラクから撤退すればいかなる状況が出現するのか。そのことを少し考えてみれば、左翼の主張が単なる嘘プロパガンダであることが、すぐに理解される。

 今、米軍らが撤退すれば、旧フセイン政権残党のテロリスト共が、再び国家権力を奪還することになる。米軍なしの国連など軍事的に全くの無力だ。そうなれば、彼らは米軍らを支持し協力したイラク国民を大虐殺する。とりわけ、シーア派住民とクルド人が徹底的に弾圧されることになる。一九九一年の湾岸戦争後にも、同様の理由で彼らへの大虐殺がなされた事実によって、このことは確実である。クルド人には再び毒ガスが使用されるかもしれない。毒ガスは、技術があればすぐに製造できる。スンニ派住民であっても、同盟軍に協力した者、支持した者は無慈悲に弾圧されることを避けられない。何十万人もの尊い命が犠牲になるだろう。

 またアルカイダが、今後はこのイラクの新独裁政権に保護されて、そこを根拠地として特殊訓練を積み、世界各地へ出撃して残虐な無差別テロをより一層拡大していくことになる。大量殺傷兵器もイラク独裁政権から手に入れることになる。そして使用するであろう。もはや米国が再び地上軍をイラクへ投入してくることはないからだ。

 あるいは、核開発を進める独裁的国家イランが、イラクに軍事侵攻し、シーア派の住む南部を支配することになるかもしれない。

 そして、「我々は米軍を撤退させた。米国に勝った。もはやアメリカはイスラムの地に地上軍を送り込んでくることはできないのだ」と主張する、テロリスト集団の政治的影響力は、飛躍的に増大していき、中東地域の政治秩序は激変していくことになる。親米政権は、テロリスト集団とそれを支持する大衆の攻撃にさらされていくことになる。一般のイスラム国民にとっては、自由や権利が一段と圧殺される事態になっていくのである。

 もし、左翼の戦いに屈して米軍ら同盟軍が撤退すれば、今述べたようなことになる。左翼の主張が、謀略のプロパガンダであることが分るであろう。彼らには、人道感覚が欠如してしまっているのだ。左翼は、敵の米日英政府らを攻撃するために、「無辜の市民の犠牲」を声高に叫び、「市民の味方」を嘘プロパガンダしているのである。彼らは本質的に市民の生命や自由や権利には関心がない。利用しているだけである。

 左翼の狙いは、敵を敗退させ、敵の秩序を崩壊させ、自らが独裁権力を握れるような状況を創出することである。彼らは、自由で民主的な新イラク国家建設が失敗することを心から願い、自らもそのために戦っている。つまり、人々の悲劇、不幸を歓迎しているのである。かようなまでに、左翼という人種は人としての土台が狂ってしまっている。それは、自由主義国家、民主主義国家、資本主義国家という文明化された国家を、「悪」「帝国主義国」だと定義づける誤ったイデオロギーに、頭脳と心を支配されてしまっているためだ。だから左翼は、アメリカ政府や日本政府らのやることは全て邪悪であり、粉砕しなければならないと固く信じ込んでいるのである。洗脳の恐ろしさだ。

 

 二、イラク戦争は合法で正義である

 

 左翼はまた、「国連の新たな決議なしになされたイラク戦争は違法であり、大量破壊兵器も発見されず、戦争の唯一の大義も崩れ去った。米軍らは直ちに撤退すべきだ」と世論を煽動している。左翼ではないが、左派的な民主党も同様に主張している。

 米国とその同盟国の対イラク戦争は完全に合法である。ブッシュ大統領は、自衛権の他に国連決議六七八号、六八七号、一四四一号を根拠に開戦した。大統領が昨年三月十八日の演説でも明言したように、六七八号は当時も有効だ。クウェートに侵略したイラクに対する軍事制裁決議である。すなわち、フセイン独裁政権打倒を命じたもので、未完のままであった。それを実行したのである。

 六八七号は、フセインに大量破壊兵器の完全廃棄と査察を義務づけた停戦決議だが、この義務不履行によって、戦争が再開されたのである。米英両国は九八年にも、この決議に基づいてイラクを軍事制裁している。武力行使に新たな決議は不要である。

 もちろん、ブッシュ大統領もブレア首相も国連による追加決議を得るために最大限の努力を尽した。ところが、本質的にフセインの味方である独裁国家・侵略国家のロシアと中国が反対し、フランス、ドイツ等も反対して、それが不可能になったために、先の決議に基づいて開戦していったのである。フセイン独裁政権に軍事制裁を加えるのは、法が安保理に命じていることである。決議六七八号、六八七号、一四四一号が命じていることだ。それらの国々はこの義務を果さなかった。

 国際法を順守したのは米英ら同盟国である。日本政府は直ちに米英を支持した。違法な戦争だと叫んでいる者たちこそが、国際法に敵対する側にいるのだ。イラク戦争を不法であると断じるアナン国連事務総長は、その資質に重大欠陥があり、更迭されねばならない。

 米国は、自国と世界の安全のためにイラクを武装解除させることと、圧制からイラク国民を解放し、中東地域で自由と平和を促進するために、開戦したのである。前者のみが戦いの大義ではない。その結果、二千五百万のイラク国民が解放され、追いつめられた独裁国家リビアは核開発計画を放棄した。まさに、イラク戦争は法に基づいた大義ある戦争である。

 大量破壊兵器は簡単に廃棄や隠匿ができる。将来運良く発見されるかもしれない。また既に技術がある以上、独裁政権を放置すれば、すぐに製造再開が可能だ。だから、大量破壊兵器発見の有無にかかわらず、フセイン政権を打倒したことは全く大義あることであった。

 もちろん、アメリカ政府はテロリストにも左翼にも決して屈することはない。三月十八日、ブッシュ大統領はイラク開戦一周年を記念して、イラク駐留から帰国した将兵らを前に演説した。「米国と同盟諸国は歴史上最も野蛮な政権の一つを葬り去った」「殺戮者たちがいる限り、世界に安全な場所はない。テロリストたちを破壊するまで、世界は団結して戦うほかない」と、テロとの戦いを断固継続することを宣言するとともに、同盟国にもそれを呼びかけた。

 私たちは戦列を乱してはならない。内部の敵である左翼の嘘宣伝、謀略宣伝を粉砕し、内外の敵を打ち砕くまで戦いを続けていこう。それが安全への唯一の道である。

               二00四年三月二十三日記


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