●世界征服を狙うロシア、アジア征服を狙う中国

 

 西側諸国は「ソ連の消滅」以降、テロと「無法国家」の脅威のみに目を奪われ最大の脅威が見えなくなってしまっている。世界征服を狙うロシアとアジア征服を狙う中国の脅威だ。両国は同盟関係にある。仏国、独国は完全に、偽装したロシアに取りこまれてしまった。

 「日本におけるロシア専門の大学教員の九割は、ロシアの〃意識した情報工作員〃であるので、決して、一九九0年代以降のロシアの大軍拡を語ることがない。・・・ロシアは日本に対して現在、一千から三千発の核を投下する態勢にある。同時に、中共も・・・約百基ほどの水爆搭載ミサイルを日本に投下すべく、照準をあわせている。日本は核武装を含め、可能な限りの軍事力の強化をしない限り日本の独立と安全はもはや保障され得ない」(中川八洋教授『国民の憲法改正』百頁以下)。中国の百基の水爆の爆発威力は広島型原爆二千発分に相当する。

 日本政府・防衛庁のロシア、中国の軍事力分析には、こうした事実はわずかも触れられていない。意識的に目をつぶって見ないようにしているのだろうが、現実の歪曲否定であり、国防義務の放棄である。反国家行為だ。

 米国防総省は、二0一0年頃に米国を狙う中国のICBMは最大六0基になると予測している。移動式になり、MIRV化(多弾頭化)もされるから、米国の先制攻撃も無力と化し、MD(弾道ミサイル防御)も有効性が大幅に減殺されることになる。すなわち、中国は米国を逆抑止できるようになる。中国が台湾を軍事侵略占領し、日本を実質的に軍事占領せんとするとき、米国は逆抑止されて中国を核攻撃できなくなるのだ。このまま進めば、日本の独立と自由はなくなる。

 中国の核軍拡を支援しているのが、日本のODAであり、日米の対中貿易と投資による中国経済の高成長、経済大国化だ。ODAを直ちに中止し、貿易・投資を原則中止にしなければならない。敵に塩を送るのは利敵行為だ。日米は台湾独立を積極的に支持し、米日台同盟をもって全体主義侵略国家の中国を攻勢的に封じ込めていかなくてはならないのである。

 西側は、ロシアは共産主義を否定して西側と基本的に同じ価値をめざしている国家だ、ととらえてしまっている。ロシアに徹底的に騙されている。ロシアの国家目標は世界征服だ。これは一貫している。ロシアが共産主義をめざしたのは、人間解放のためではなく、その逆の世界征服のためである。世界征服のためには、ロシアは経済的=軍事的、政治的に列強をはるかに凌駕する強国にならねばならない。レーニンらは、共産主義を「資本主義の次にくる、生産力を無限に発展さすことができるシステムだ」と信じたからこそ、また人間を完全に支配することができるシステムだと信じたからこそ、それをめざしたのである。共産主義に幻想を抱く左翼は、この真実を認識すべきだ。

 だが共産主義では経済力において資本主義国に勝てないことが明白になった。これでは国家目標を達成できない。それで、中国が一足先に資本主義化の道をめざしていった。ロシアは十年遅れたが、世界征服という国家目標を大謀略によって覆い隠すことに成功しつつ、資本主義化をめざしたのである。一九九一年の八人組のクーデターとそれに対抗したエリツィンらの「白色革命」という大演技だ。共産主義は衣である。いつでもより良いものに取り替えることができる。つまり共産主義を捨てても、ロシアの本質である世界征服は不変である。米国は核を大削減している。最大の核大国はロシアだ。ロシアは資本主義化によりソ連時代よりずっと強国になる。大反攻の日が近くやってくる。

 西側はロシアの正体に気付かねばならない。日本はロシアと中国の中枢を攻撃できる核戦力を早急に配備しなければならない。残された時間的余裕は余りないのだ。

                二00四年七月十一日記


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