●日本侵略を狙う中国を封じ込めよ

 

 一、敵を利用した中国の軍拡

 

 中国共産党は、一九四九年の中華人民共和国の建国以来、自国民八千五百万を殺してきた独裁政党である。中国共産党が所有する国家が中国であり、「人民解放軍」も中国共産党の私兵だ。中国には、「法の支配」は言うまでもないが、「法治主義」すら存在しない。「人治主義」があるだけである。

 国内において国民を独裁支配する全体主義国家(独裁国家)は、必然的に対外侵略をする。国内において国民を既に侵略しているから、他国侵略に対する道徳的、思想的ブレーキは皆無だからだ。中国共産党は台湾を侵略し、わが日本を侵略し、東アジア諸国を征服することを目標にしている。現在、中国が対外侵略を開始しない理由は、超大国の米国の軍事力があるからだ。今は米国の核の傘と通常戦力が中国の侵略を抑止しているのである。

 中国は現在、経済力を強化し、ハイテクノロジーを強化して、核軍拡と通常戦力の近代化を精力的に進めている。その狙いは米国を「逆抑止」できるようになるためである。それが可能になれば、中国は台湾を侵略して領土化し、さらに日本を侵略して属国化し、東アジア諸国を征服することが可能になる。

 こうしたことは、全体主義侵略国という中国の本質を見るとき容易に分ると思われるが、実際はそうではない。日本政府は毎年多額のODAを中国に供与して、中国の核軍拡、通常戦力の近代化を積極的に支援しているのである。日本の侵略を狙う中国の軍事力増強を支援するのであるから、これを利敵行為、売国外交と言わずして何と言うのだろうか。日本政府も議会も、国家安全保障を否定する政治的大犯罪を犯し続けているのである。

 保守派の一部から非難の声は上っているが、大きな声にはなっていない。このような日本の在り方は異常である。米国政府も対中外交を誤っているが、それでも議会における中国批判勢力は巨大であり、従って米国では日本の対中ODAのようなことは起こりようがない。日本には「法の支配」の思想そのものがなく、単なる「法治主義」しかなく、法が命じる国防の責務が、政府と議会に欠如してしまっている。

 政府や与党の中にも共産主義者がいるし、左翼でない場合でも、中国の秘密工作員に籠絡されたり、弱みを握られたり、あるいは訪中時の手厚いもてなし(演技)に舞い上ってしまって親中派になったり、ODAに絡む利権を得ることで親中派になっている政治家や官僚が多くいるのである。これらの売国親中派勢力の影響力によって、中国へのODAは継続されている。もちろん、日本の左翼は対中ODAを推進している。左翼はこの件では決して「政治腐敗」を糾弾することはない。大歓迎なのだ。

 日本等の大企業はどんどん中国に進出しているが、それが中国の技術力、経済力を強化し、軍事力の増強となる。先頃も日本の代表的鉄鋼メーカーであるJFEスチールが、中国で一貫製鉄所の建設に踏み切ることを発表した。JFEスチールの最先端鉄鋼技術は中国に渡り、潜水艦や戦艦等の兵器の耐久材料に転用されることは確実である。

 日本企業の中国進出に絡んでまた政治家が口利きを行ない、企業から謝礼を受け取る。こうしてまた親中派の政治家がつくられていく。

 日本企業は認識しなくてはならない。中国が将来、台湾、日本への侵略を開始するとき、中国における日本企業の資産は全て無償で国有化されてしまうのだ。中国共産党は、中国の経済力・技術力=軍事力の強化になるから、外国企業の進出を大歓迎しているのであり、将来侵略を開始する時には全て収奪する意思だから、進出を大歓迎しているのである。全体主義侵略国家の中国に対しては、契約など通用しない。

 現在の日本政府には無理な相談だが、政府は対中投資と貿易について、国家安全保障の観点から厳しく規制しなくてはならないのである。敵国は経済的にも封じ込め弱体化していくことが鉄則である。自由世界のリーダーの米国政府はそうしなくてはならない。日本政府はまた、中国の国費留学生や研究員の受け入れも禁止しなくてはならない。彼らは党の命令を受けて日本のハイテク技術を盗んでいる。それが軍事技術に転用されていく。

 

 二、中国の謀略外交

 

 全体主義国家の外交は謀略である。騙しである。政府が嘘を述べても、それを暴露して糾弾する権利は国民にないから、政府はどれだけでも嘘をつける。中国には自由な報道はありえない。共産党の独裁国家なのだ。

 「中日友好」のスローガンもそのひとつである。この真意は、(1)「友好」を語って日本の警戒心を解き、思想的に武装解除させてしまう。(2)そして日本の経済力、技術力を利用して中国を軍事大国にしていく。(3)将来、日本を含む東アジア諸国を侵略支配する。このような用語法を「反対語法」あるいは「転倒語法」といい、全体主義国家や左翼の常套手段である。日本の保守派はこういう基本的なことすらほとんど認識していないのが現状だ。

 中国共産党は、「日中友好」のスローガンを日本の左翼(左翼マスコミが中心となる)を使って宣伝させていく。日本のテレビ、新聞のほとんどは左翼が支配しているから、大量宣伝の力によって「日中友好」は真実になっていく。中共はまた、大きな影響力を有する親中派の大物政治家や官僚また大企業を使って、日本の政治・外交に影響力を行使させるのである。中国だけが「友好」を唱えても効果は大きくない。日本国内で呼応して大々的に唱えられるから、効果は絶大となるのだ。左翼は当然だが、左翼ではない親中派の政治家や官僚や企業家や学者も、客観的には中共の尖兵となっている。

 さらに中共は、学問的な装いをこらした謀略の情報戦を展開する。すなわち日本や米国等の中国学者に、たとえば「中国を孤立化させず、国際社会に積極的に参加させていくことが、中国を穏健化させ、国際社会のルールを尊重する国に変化させていくことになる」「中国の市場経済化は、いずれ中国の民主主義化をもたらすであろう」等々主張させていくわけである。この謀略理論は、日本や米国等の保守派にもかなりの程度信じられてしまっている。米国の新国家安全保障戦略(二00二年九月)にも深刻な影響を及ぼしている(後述)。

 こうして日米EUなど西側は、投資・貿易、ODAを通じて中国の軍事大国化を支援させられているのである。とりわけ日本は無惨だ。

 七月に発表された『防衛白書』は、日本を狙う中国の中距離核戦力(INF)を完全に捨象してしまっているのである。そして日本では、「日中友好」がしきりに言われている。これは日本が中国の情報戦に破れ、国防が危機に瀕していることを如実に示している。中国の対日核戦力は約百基の水爆で、爆発威力は広島型原爆二千発分に相当する。政治家から「日中友好を害するから対日核については伏せておくように」といった指示が出されていることは間違いないところであろう。

 日本政府・防衛庁、議会は、法が命じる最も重要な責務である国防の責務を放棄しているのである。敵の情報思想謀略に敗北している。左翼は国内の敵である。

 

 三、中国の核戦略

 

 米国防総省が去る七月三0日、議会に報告した『中国の軍事力の年次報告』によれば、現在の中国のICBMは約二0基だが二00五年までに約三0基に増え、二0一0年までに最大約六0基に増える可能性があるという。

 中国の国家戦略は、直接米国と核戦争をするものではなく、戦略核で米国を「逆抑止」して、台湾や日本など東アジア諸国を侵略し征服することである。中国が台湾や日本等を武力侵略するとき、米国が中国を核攻撃するとすれば、米国は中国のICBMやSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)による核の報復を覚悟しなければならないとするならば、米国は中国を核攻撃することを断念するだろう。つまり米国は侵略国中国に逆抑止されることになるのだ。日本や台湾からすれば、米国の「核の傘」が無効となる。だから中国は非戦略核をも使って日本、台湾等を侵略できるようになる。

 中国の核戦略は上記の国家戦略の中核として位置づけられている。現在の中国のICBMは射程一万二千kmの東風5型であるが、それを射程一万三千kmの東風5型改に置き換えつつある。両者とも地下サイロ方式で液体燃料であるから、発射命令から発射まで三0分から六0分かかる。これであれば米国は、ICBMやSLBMによる先制核攻撃で破壊することができるから、中国は米国を逆抑止できない。

 しかし中国は、自動車搭載のICBMである東風31型を二00二年から実戦配備し始めた。射程こそ八千kmで米国北西部までしか狙えないが、固体燃料だから十分から十五分で発射できる。移動式であるから、米国のICBM、SLBMによる先制核攻撃での破壊は不可能である。

 さらに中国は射程一万二千kmの固体燃料で車載可能のICBM東風41型の開発を進めており、これはたった四分で発射できる。二0一0年にはこれら合せて最大六0基になるというわけである。しかも中国は諜報活動によって、米国から核弾頭のMIRV化(個別誘導多弾頭)技術を盗取しているから、東風5改型、東風31型、東風41型はMIRV弾頭となろう。もしもこれら合せて六0基で、平均四個の多弾頭を持つとすれば、これだけで二四0個の核弾頭となる。

 そうなった場合、米国は中国に逆抑止されることになる。移動式の東風31や東風41は米国のICBM、SLBMあるいは核トマホークSLCMの先制核攻撃によっては破壊できないし、B‐2ステレス爆撃機の奇襲攻撃も成功する確率は高くはない。たった四分で東風41は発射可能だからだ。一方の米国本土のMD(ミサイル防御)は、ブッシュ大統領がロシアのプーチンに騙されて極めて小規模なものに矮小化されてしまった。しかもロシアと中国を除外して、テロリストと無法国家を対象とするものになってしまっているから、中国の二四0個の核弾頭に対処することは不可能なのである。しかも、MIRV化弾頭は飛翔軌道の計算が困難だからなおさらだ。

 中国はさらに、東風31型を潜水艦発射型にしたSLBM巨浪2の開発も完了している。巨浪2ミサイルを十六基搭載する新原子力潜水艦もいずれ配備されていくことになる。

 もしも日本や米国が、対中戦略を大転換しなければ、いずれ中国は米国を逆抑止できるようになり、米国の核の傘は無効になってしまう。そのとき中国は短距離核、中距離核をも使って台湾、日本を軍事侵略できるようになる(中川八洋教授の『中国の核戦争計画』徳間書店一九九九年九月刊の二十、二十一、三十六、三十七頁等を参照しつつまとめました)。

 

 四、米日台の東アジア戦域限定核戦争戦略

 

 中国の侵略から日本の自由と独立を守り抜き、中国を封じ込めていくには、日本はどうしたらよいのであろうか。法の支配、本来の九条の支配を厳守して国防の責務を果すしっかりした政権が誕生することが大前提となるが、日本は米国の核部隊を日本に配備してもらうとともに、日本独自の核部隊も配備しなくてはならない。そして同時にMDも配備していかなくてはならないのである。法の支配、九条の支配に反する「非核三原則」など直ちに廃棄すべきだ。

 まずひとつの方法は、米国の核部隊の日本展開である。中距離核のパーシング2(射程二千km)部隊と、地上発射型の巡航ミサイル核トマホークGLCM(射程二千五百km)部隊の日本配備である。このためには米国は、一九八七年にソ連(ロシア)と交したINF全廃条約(地上発射型のINF=中距離核戦力の運搬手段の全廃を約束した)を破棄する必要がある。

 ロシアはINF条約を順守する意思などはじめから持っていない。同条約は、ソ連を完全に封じ込めていた米国の「欧州戦域限定核戦争戦略」を解体するためにソ連(ロシア)が仕掛けた謀略である。米国は騙されたのだ。欧州に配備されていたパーシング2と核トマホークは全廃され、今では生産工場すら無くなっている。だがロシアは、取り外した核弾頭を保管し、INF生産工場を維持している。私たちはロシアの正体を米国の指導層に伝え、INF条約の破棄とパーシング2とトマホークの再生産と日本と欧州への配備・再配備を訴えていかなくてはならない。

 また私たちは、父ブッシュ元大統領が一九九一年に水上艦艇から撤去してしまった核トマホークSLCMと、クリントン前大統領が一九九四年に水上艦艇から撤収してしまった核爆弾を、再積載してもらうよう米国に働きかけていかなくてはならない。

 もうひとつの方法はINF条約があっても可能な方法で、日本が米国からパーシング2とトマホークGLCMの技術を買い、生産し配備していくことである。今も米海軍の原潜は核トマホークSLCMを搭載をして日本近海でも活動しているが、日本もオペレーター付きでSLCMも購入し配備していくのである。

 もちろん米国は、中国(やロシア)の戦略核から本土を防御するMDを構築していくようにしなくてはならないし、日米は日本を防御するMDを配備していくのである。

 日本独自の核部隊と米国核部隊の日本配備が併存することが一番良いのは言うまでもないところだ。なお、パーシング2とGLCMは自動車搭載の移動式ミサイルである。

 今MDを除外して論じるが、米日がこのように核戦力を配備すると、もはや中国は日本を侵略できなくなる。完全に封じ込められてしまう。なぜならば、もし中国が日本を先制核攻撃したとすれば、移動式の日米のINFには命中しないから、それは直ちに中国の主要軍事基地、指揮中枢施設、北京や上海など主要都市に向けて発射され、それらを破壊し尽すことになる。しかし、一方の米国本土は無傷のまま残っているから、大量のICBMが中国へ向けて発射され、中国の被害はさらに倍化する。中国は戦争目的の日本の征服が不可能になるばかりか、国が亡ぶことになる。こういう戦争の結果が分ってしまうから、中国は日本を攻撃できなくなるわけである。中国は日米によって完全に封じ込められてしまうのである。

 これを、米日による「東アジア戦域限定核戦争戦略」(中川八洋教授前掲書四十四〜四十九頁)という。これに米国本土と日本のMDが加わるから、より一層完璧な戦略になる。祖国の存立と国民の生命と自由がかかっている。日本は国防費を抑え込んでいる時ではない。国防にお金を惜しんではならない。

 台湾が中国に侵略占領されれば、日本は海上航路を封鎖されることになって衰退に向うしかなくなる。つまり、自由主義国家台湾の独立を守ることは、日本の独立を守ることである。日米は台湾の独立を全面的に支持し支援しなくてはならない。米国、日本、台湾は同盟関係を結び、台湾にも米軍のパーシング2、GLCM核部隊を配置して、東アジア戦略限定核戦争戦略を実施していくのである。

 

 五、法の支配を守る強力な保守政権を

 

 言うまでもなく現在の日本政府では、この政策・戦略の実行は不可能である。政府は、法や本来の憲法九条が命じる国防の責務を果しておらず、放棄している。そればかりか利敵行為を積極的に行なっている。中国へのODA供与もそれだ。政府はまた、「核兵器廃絶」と「非核三原則」を得々と主張するという亡国政治を行なってきている。戦後、ソ連‐ロシア、中国の侵略から、日本の自由と独立を守ってきたのは米国の核の傘であるのに、現在もそうであるのに、政府は両スローガンを唱えるのである。このスローガンは、ソ連、中国の尖兵である国内の敵である左翼のものであるから、日本政府の左翼思想の洗脳度は異常だ。

 今年も小泉首相によってヒロシマ、ナガサキで繰り返された。両市長は左翼であり、両市の〃平和式典〃とは、世界の「自由ある平和」を守り続けてきた自由主義国家米国の核兵器を廃絶させて、日本と世界を、ソ連、中国の核兵器で侵略支配させるための左翼の戦いなのである。左翼は思想を武器にして戦う。思想謀略戦である。参加を拒絶し、両市長を侵略者だと厳しく糾弾してこそ、日本の総理である。

 中国を日本征服を狙う全体主義侵略国家だと認識できず、ODA等で中国の対日侵略軍事力の増強を支援している日本の政治家や官僚は、国防という法が命じる最大の責務に違反している。国防は、政府の政策選択の問題ではなく、法が命じる義務であり選択の余地はない。彼らは法の支配を否定して、私益、党益、省庁益から政府を私物化しているのだ。「法治主義」では認められても、立派な文明国家の原則である「法の支配」(法が主権者)では、それは最大の政治的犯罪である。そのような人物は、直ちに更迭されなくてはならない。

 法治主義は、誤った法律であれその法律に基づく行政を合法(律)とするものだが、法の支配は、法に違反する法律は制定してはならず、そのような法律を無効だとする哲学である。法とは古くから伝承されてきた永遠の真理ともいうべきものである。

 一般犯罪では国は亡びない。だが政治家や官僚が、敵国とその尖兵の左翼の情報心理戦、思想戦に破れ、また洗脳されて、誤った国家安全保障政策を推進するときこそ、祖国は存亡の危機に瀕することになる。自由主義の政治は、法の支配に従う政治である。高い地位には大きな責務が伴うとは、この法の支配を言ったものである。国家の統治層とは、法に従って自己犠牲的に国のために尽していく人々のことである。立派な国民は、政府や議会また裁判官の、法の支配に反する行為や不作為を断じて許してはならないのである。

 立派な国民の代弁者として、保守の言論人、マスメディア、政治家は、法の支配と真正な保守主義の地平から、政府や議会の誤りを厳しく批判し、正しい方向性を広くアピールしていく活動を展開していかなくてはならない。だが残念ながら、そのような言論は本当にわずかである。前出の中川八洋教授の著書も、保守派の中で熱い注目を集めるどころか黙殺に等しい状況がある。形を変えた検閲がなされている。「政府系言論人」ともいうような人々が余りにも多く、力を持っている。彼らは法治主義の思想しか有しておらず、かつ私益も絡んで、政府は多少の注文はつけても基本的に擁護すべし、と考えている。彼らも批判対象でしかない。

 私たちは一人一人が、自らの持ち場で全力で、法の支配の思想をアピールし、中国とロシアの隠された国家目標と戦略を暴露して批判し、客観的にその尖兵である左翼の思想と戦い方を暴露して批判し、日本の国家安全保障戦略を提言する言論などの合法活動を展開することによって、一日でも早く、法の支配を守る真正な保守主義に立脚した強力な政権を誕生させていかなくてはならないのである。

 

 六、米国の対中戦略の誤り

 

 日本は中国、ロシアの隣にある。両国が征服しようとしているのも、米国ではなく日本である。米国は大国であり、かつ遠く離れているから、たとえ国家安全保障戦略を誤っても国が亡びるわけではない。しかし日本はそれを誤れば、国の滅亡に直結する。だから日本は、米国が注ぐエネルギーをはるかに上回るエネルギーを注いで、中国やロシアの国家目標と戦略を分析しなくてはならないのだ。

 日本の国家安全保障戦略の基本は日米同盟にあることは自明であり、永久に堅持すべきものだ。だが、米国が常に対中戦略、対露戦略を正しく立てているという保証はない。だから日本は、米国の対中戦略、対露戦略を受け入れていればよい、ということにはならないのだ。実際、米国の対中戦略は誤っているし、対露戦略については、ロシアの謀略に完全に騙されてしまっていて完全に誤っている。日本は必死に調査研究して、米国に誤りを正してくれるよう全力で訴えていかなくてはならない。

 米国の国家安全保障戦略(二00二年九月)は中国について、「そのような未来のためには、中国の民主化が不可欠である。しかしながら、中国が共産主義の残した最悪の特徴を捨てるプロセスを開始してから四半世紀後、中国の指導部は依然として、自国の国家としての特徴に関して、次の段階の基本的な選択をしていない。中国は、アジア太平洋地域の近隣諸国の脅威となり得る軍事力の増強を追求することによって、最終的には偉大な国家を目指す努力を自ら阻む、時代後れの道を歩んでいる」と批判する。

 しかしそれに続けて、「いずれ中国は、そうした偉大さは、社会的・政治的自由からしか生まれないことに気付くことになる。米国は、変化する中国との建設的な関係を求めている。われわれはすでに、現在行われているテロとの戦いや、朝鮮半島の安定促進など、利害の重なる分野においては、良好に協力している」と述べており、米国政府が中国の謀略に騙されていることを明確に示している。

 「共産主義中国の市場経済化(四半世紀前)は、いずれ中国の民主主義化をもたらすであろう」という謀略理論に、米国政府も欺かれてしまっているのだ。中国が市場経済化を目指したのは、台湾や日本など東アジア諸国を侵略支配できる程の軍事大国になるためである。共産主義経済より市場経済の方が有効だと気付いたからだ。中国の国家目標は東アジアの征服であり、一貫している。手段を変更しただけである。だから、中国が独裁支配を放棄して民主化することはありえない。〃市場経済化〃も括弧つきであって、西側のそれとは全く異質である。

 米国政府の誤りをもう少し引用しておこう。「中国の指導層は、経済的自由が国富への唯一の手段であることに気付き始めている。中国は早晩、社会的・政治的自由が偉大な国家への唯一の道であることにも気付くはずである」。フセイン独裁政権に対する戦争にも、中国とロシアは反対したではないか。金正日を支援しているのも中国とロシアである。

 テロリストや無法国家との戦いに隠れて、最大の脅威(ロシアと中国)が進行している。

                 二00四年九月三日記


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