●中国は反日侵略戦争を遂行中


 一、先の大戦は法的に全て完了済み

 

 日本の戦争処理は法的に全て終了している。日本は、誤った先の大戦に関して、連合国の極東国際軍事裁判所(いわゆる東京裁判)等や他の連合国の連合国戦争犯罪法廷において、連合国から課せられた責任者等に対する死刑を含む処罰を、そのままに受諾した。また日本は、交戦国ではない国家に対しても十分な賠償を支払ったのである。このように、戦争に関する日本の謝罪は完全に法的に終了している。

 その後に、蒸し返す行為は違法行為である。なぜならば、蒸し返すことは決着した平和条約等を破棄するに等しいからだ。これが、国際社会を律する国際法である。法を無視、否定する国は野蛮国だ。

 中国(中華人民共和国のこと)との関係では、日本は中華民国と戦争したのであるからそもそも法理に反し、中華民国を切り捨てたから憲法九十八条二項と国際信義に背反し、共産中国に屈服したから国益を否定する完全に誤った取り極めではあるが、日中共同声明と日中平和友好条約によって、戦争は法的に完了している。胡錦濤らは「日本は過去の戦争の反省を行動で示すべきだ」と要求したが、日本政府は「蒸し返しは日中共同声明等の破棄に等しい」と、毅然と抗議してやればよいのだ。中国は国際法を否定する野蛮国家なのである。

 ところが、日本政府も政治家も、国際法や国家関係がわからないものだから、これまでにも何度も反省とお詫びを繰り返してきた。そのため中国(や韓国)は、この戦術の有効さを認識して何度も使うようになっているのである。今回も中国の謝罪要求によって、小泉首相はバンドン会議の席で、「痛切な反省と心からのお詫び」を表明した。首相の行為は、単に独裁国家中国への屈服だけでなく、日本が自ら締結した国家間取り極めを否定するという文明国にあるまじき恥ずべき行動を世界に示したことでもあるのだ。厳しく非難されねばならない。

 日本人は戦争と平和条約の知見がない。条約が結ばれ法的義務が終了すれば、戦争は水に流すのだ。お詫びの繰り返しは、誠実さの発露ではなく、条約を否定する反国益行為なのである。そもそも日本は、中華民国と戦争したのであり、中国とではない。あの戦争は、一九五二年の日華平和条約で全て終了したのだ。

 

 二、中国は反日侵略戦争を遂行中

 

 求められていることは、全体主義侵略国家の中国に対して、日本はいかなる戦略で外交を展開していくのかである。そのためには、中国がいかなる国家なのか、その国家戦略は何かを深く認識しなくてはならない。「日中友好」を掲げる日本政府、政治家、保守言論人が、これらを認識していないことは明らかだ。「アルカイダとの友好」を唱えたら、世界の笑い者にされるばかりか、テロ支持者だと激しく糾弾されることは火を見るより明白だが、「日中友好」「日中関係の改善」も同質の誤りなのである。「日露友好」「日朝友好」も同断だ。

 中国は、ソ連・北朝鮮と共に韓国を侵略し、チベット、新疆ウイグルを侵略し、台湾に何度か戦争を仕掛ける等々、建国後十七回も戦争をやっている。また漢民族に対しても、大躍進政策や文化大革命等で八千万人以上を殺害している。つまり国民を侵略している独裁政権なのだ。日本に対しても、主権国家の専管事項たる宗教(靖国神社参拝)と教育に、繰り返し内政干渉してきた。これは侵略行為だ。一九九五年、六年には、東シナ海の日中中間線の日本側に侵入して海底天然ガスの掘削を行ない、昨年は原潜で日本領海を侵犯した。中国は、宮古島、石垣島、尖閣諸島への軍事侵攻の準備を進めているのである。

 中国政府は、自らの正統性と権威をデッチ上げるために、また独裁支配を維持するために、歴史を偽造し、それに基づく愛国反日教育で国民を洗脳し続けている。すなわち、「反日」は、中国共産党政権存続のための戦略なのである。しかし、消極的なものではない。中国の反日戦略の目標は、日本の征服、属国化である。その象徴は、日本を狙う百基の水爆だ。日本政府はこの事実を国民に隠している。

 中国は、現在は軍事力を使わない反日侵略戦争を遂行中である。軍事力を行使するばかりが戦争ではない。中国は「孫子の兵法」を身につけている。「孫子」は、軍事力を使わずに敵に勝つことが最も良い戦い方だと教えているのである。中国の〃武器〃は、「歴史認識」という思想戦(反日デモを含む)であり、「中日友好」の謀略スローガンであり、中日共同声明・平和友好条約である。

 外交戦術としての「中日友好」があるからこそ、歴史認識での恫喝が効くのだ。もし中国が、一九六0年代までのように「反日」を掲げていれば、日本側も警戒心を高め、敵対的になっていく。そうなれば、歴史認識で攻め立てて日本の屈服を引き出そうと狙っても、聞く耳を持たぬとなって、目的を達することができなくなる。だから中国は、戦術転換して、外交政策として「中日友好」の謀略スローガンを掲げるようになったのだ。

 「中日友好」は転倒語であり、真意は日本を征服し属国化することである。このスローガンの威力は絶大である。日本は一九八0年度から二00三年度までに、三兆三千三百三十四億円のODAを中国に供与して、中国の経済・核大国化を援助してきた。百基の水爆が日本を狙っている。日本企業は中国に進出し、中国の経済発展を支えてきた。経済強国化は軍事大国化の土台である。ODAの対中国供与は、刑法八十一条の外患誘致罪に抵触する。

 中国に進出した日本企業は、圧力を受けて、中国の代弁者になる。今回の反日デモに際しても、進出日本企業から日本政府に対して、「日中の友好関係に配慮した対応をして頂きたい」といった要望が出された。小泉首相の屈服売国外交はまさにそうしたものであった。自由民主党は、経済界からの政治献金と票に大きく依存しているのだ。

 中国人は、「中日友好」スローガンが騙しであることをちゃんと認識している。なぜなら中国国内においては、「中日友好」など微塵も主張されていないからだ。中国は国定教科書で、歴史を偽造して反日教育を展開し、国民を洗脳してきた。また、国民洗脳のための反日建造物や記念館も次々と建設してきた。これらも、日中共同声明、日中平和友好条約に違反し、否定するものだ。

 その成果として、「殺せ!殺せ!殺せ!日本人を殺せ!大和民族を滅亡させよう」「核兵器、化学兵器、生物兵器を使ってでも、この地上から日本民族を徹底的に消滅させ、日本を地図から完全に抹殺せよ」(『人民日報』のインターネット「強国論壇」「中日論壇」に出ているもの。黄文雄著『中国「反日」の狂奔』二一頁より)と、狂信的に叫ぶ新世代が大量に創出されているのである。益々増加していく。

 中国は、大量の対日核戦力をバックにしつつ、軍事力を用いない反日侵略戦争を実行中なのである。だが、「中日友好」スローガンに洗脳されている日本政府には、これを認識することができない。今回も、歴史認識=反日デモで攻撃されると、小泉政権は、「日中関係の改善」ばかりに配慮して、先の大戦の反省とお詫びを繰り返した。首脳会議の冒頭に、笑顔で握手をした小泉氏、会談を「ベリー・グッド・ミーティング」と語った小泉氏は、主権国家日本の総理大臣の姿ではない。中国の属国の代表者の姿そのものである。また毎年百名を大きく超える日本の国会議員が北京詣でをしているが、まさに「朝貢国」の姿ではないか。

 軍事力を使わない中国の反日戦争は、かくの如く既に大きな勝利を収めてきている。今回も中国は、歴史認識・反日デモで日本を攻撃して、中日外相会談で「歴史の共同研究」を推進するとの合意を勝ち取った。これは日本側からの提案であった。今の日本政府に、中国の圧力を排除する力も、また中国のデッチ上げの愛国反日教育を是正させる力もないことは、一連の政府の行動で実証済みである。従って、歴史の共同研究とは、日本の学校教育への中国の侵略的介入を、日本政府の方から求める行為なのである。教育に関する日本国家の主権を放棄する、売国の反日行動だ。

 胡錦濤は「歴史認識の反省を行動で示すべきだ」と要求した。首相の靖国神社の参拝中止である。これに対しても、小泉首相は当然すべき抗議をしなかった。八月十五日の首相の靖国神社参拝は、危うくなったと見てよかろう。「参拝すれば、また反日デモが勃発して、日中関係は悪化する」との怯えからである。

 中国は「A級戦犯」の存在など問題にしていない。中国が狙っているものは、首相や閣僚の靖国神社参拝そのものの中止である。すなわち、実質的に靖国神社を解体することである。そうすることによって、日本国民から日本国家を守る精神を奪い取ることを狙っているのだ。日本民族を中国の属国にふさわしい民族にするためである。

 また中国は、歴史認識問題等で日本政府を叩頭させることによって、日本国内の中国の事実上の手先である左翼勢力(彼らは「日米同盟の破棄、自衛隊解体、靖国神社解体、台湾は中国の一部、日帝打倒」を主張する)の強化を図っているのである。

 

 三、国益を否定する小泉首相を退陣させる

 

 メディアは、JR西日本の電車脱線事故で、会社の体質や不祥事に、連日厳しい批判を展開した。しかし、小泉政権の対中屈服・売国外交の犯罪性の大きさは、JR西日本の何万倍であるにもかかわらず、弱々しい批判が微かに聞こえてきただけであった。保守メディアから、即時退陣の主張が大々的になされて当然なのにである。JR西日本によって、日本の独立が脅かされるわけではない。だが日本外交が決定的に誤れば、日本は中国に征服され得るのだ。そうなれば、国民は何百万人が虐殺され、他も独裁支配されるのである。

 国家の名誉と安全と独立を先頭に立って死守すべき総理大臣が、国防軍の最高指揮官たる総理大臣が、その反対のことをやって恥じることがない時、そして、それを厳しく糾弾する保守メディア、保守言論がないとき、国民は、国家の名誉と安全と独立を守る精神を涵養していけるであろうか。

 自由主義国家日本の存立と永続のための土台は、正しき法思想(法の支配)と真正な保守主義=自由主義の獲得である。現在の日本国家にはこれが欠如している。法は政府の上位にあって、全てを支配する。法が主権者である。法は政府と国民に、国家の名誉、国家の安全・独立の死守と永続を義務づけている。総理大臣であろうと、いや、だからこそ、この法の義務に反すれば、政治的犯罪として厳しく糾弾されて退陣させられるのである。法に違反する上司の決定・指示に対しては、部下は異議申立ができるし、しなくてはならない。法の支配によって官僚主義・組織主義も克服できる。

 法の支配という正しき秩序がないときは、私益、省庁益、党益に基づいて、法に反する憲法の条文(その解釈)や法律が作られ、法に反する政治・外交がなされていく。政府、国家が私物化されていくのである。今の日本だ。私たちは、法の支配に違反して、日本国家の国益、安全、独立を中国に売る小泉政権の即時退陣を主張していかねばならないのである。

 国家と政府は全く別の実体である。日本国家を愛するということは、時の政府を支持・擁護することとイコールではない。私たちは由緒ある日本国家・自由主義の日本国家を愛し、保守し、その永続の義務を負うからこそ、時々の政府(政権)の誤りを断固として批判し、改革していくのである。全体主義侵略国家の中国との友好を目指す政治家や官僚は、内なる侵略勢力である左翼か、左翼でなければ、法が保障する自由、日本国家の国是である自由の価値が全く理解できない者たちである。私益を動機に行動していて、法が命じる日本国家の名誉や安全や独立の死守など眼中にないのである。

 総理大臣は、日本国家の永続のために靖国神社を公式参拝する責務がある。政府は、天皇陛下の御親拝が可能になるようにする責務がある。自国民八千万以上を殺害し、侵略戦争を繰り返す共産党独裁国家の中国に謝罪することは、人類に対する犯罪である。日本征服を目標にする中国との友好を目指す政治は、反国家行動であり、外患誘致罪に抵触する。

 以上のことをはっきりと認識し得ない日本の保守勢力の思想的弱さが、とりわけ影響力の大きい保守マスメディアの思想的弱さが、惨めな日本をつくっているのである。法の支配という文明国家の原則を貫くのが、保守勢力=自由主義勢力であるから、外交・国防に限らず内政においても法の支配を踏み外す場合には、保守勢力は政府(政権)と厳しく対決して、改革していかなくてはならない。だから、「政府との協調路線」は、保守勢力、保守言論の自己否定である。それは、時の政府(政権)と協調することによって、自らの地位を保持しようとするものだ。

 なお、「反米保守派」を自称している勢力は、日本の国益・存立に敵対したあの大東亜戦争を肯定する「右翼民族主義派」であって、保守勢力ではない。保守勢力が、対決して解体していくべき対象である。言論界には、左翼とともに、この勢力も一定程度いて、危険である。

 法の支配、自由、日米同盟(真正な自由を共通の価値とすることで結ばれた同盟)を死守する保守勢力が、奮闘して日本を改革していかないと、戦前のように、「軟弱外交を排する」と称して、右翼民族派が台頭してくる可能性も考えられる。反米の右翼民族派は、親米の日本政府と圧倒的多数の日本人に対決すると言うのだから、彼らも反日派なのである。左翼は反米反日だが、右翼も反米反日である。両者とも、自由主義国家日本の敵である。保守主義=自由主義の敵である。(拙文「戦前の日本は左翼国家、反日国家だった」を参照して頂きたい)。

 

 四、日中共同声明・平和友好条約を破棄せよ

 

 日本政府は、同盟国の米国と連絡をとった上で、すぐにでも反日的な日中共同声明・日中平和友好条約を破棄しなくてはならない。

 右共同声明・平和条約には、「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を確立する」と謳われている。中国が一貫してこれを破ってきたことは明らかである。中国にとって「平和友好関係の確立」とは、日本を征服して属国にすることだ。

 先の日中首脳会談で、胡錦濤が既に法的に完了済みのことを蒸し返し、さらにさんざん侵略的内政干渉をしたのに、小泉首相は「日中友好協力関係を発展させたい」と述べた。首相のこの精神の在り方はまさに属国の代表者のそれだ。中国は、こういう関係性を更に飛躍的に深めて、日本を文字通りの属国にすることを目標にしているのである。

 中国にとっての共同声明や条約とは、日本をそれで縛り、自らは破っていくものとしてある。つまり、軍事力を直接行使しない反日戦争の手段=〃武器〃なのだ。私たちはこのことを認識しなくてはならない。北朝鮮やロシアにとっての条約等も全く同じである。

 日本政府は、「中国は一貫して日中共同声明、日中平和友好条約を破ってきた。それは破棄したと同義である。それを受けて、日本も破棄する」と、通告してやればよいのである。そして日本は直ちに自由主義国家台湾と国交を回復し、同盟条約も結ぶのである。日本のこの積極的な外交は、米国にも影響を与えるであろう。米国も本来の中国敵視政策を顕在化させていこう。日米台同盟が形成される。日本の独立・永続のためにはこれが不可欠である。

 冷戦時代、西側自由主義陣営は、東側全体主義陣営を、軍事的・経済的に封じ込めて対決してきたのではなかったか。中国が共産党独裁の全体主義国家で、侵略国家であることは全く同じだ。しかも、中国は経済力=軍事力を飛躍的に強化した。西側は冷戦時代にも増して、中国を強力に封じ込めていかなくてはならないのは明白ではないか。西側もやっといくらか気づき始めてきたが、ロシアも全体主義侵略国家であり、最大の核超大国である。(拙文「ソ連崩壊は大謀略である」を参照して頂きたい)。「冷戦終結」という西側の世界認識が根本的に誤っているのである。

 中国に進出している日本企業は、計画的に撤退すべきである。留まれば、収奪されてしまうのだ。

                  二00五年五月十三日記

 〔お詫び〕 私(古田)が体調を崩したために、パソコンの入力作業が長らく出来ませんでした。7月16日。


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