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ビジターのいない夢
ナイツがイデアパレスに幽閉されてどのくらいか・・・
 
自由を奪われたナイツは・・・
 
狭いイデアパレスの中で泣いた。叫んだ。暴れた。
全身掻きむしられる思いで外を見つめ続けた。
もうナイトピアはほとんど残されていない。
このまま死んでしまったら・・どんなに楽だろう・・・
でも自分の中の何かが自分を死なせてくれない。
ナイツは憔悴しきっていた。
 
リアラはナイツが幽閉されて以後自分のナイトメアから
ほとんど出ることはなかった。
いつナイツが来るかもしれない。
あいつは、このまま黙ってるような奴ではない。
必ずここへ来る・・そんな気がしてならないのだ。
でも待てど暮らせどナイツが来る気配はない・・・
こんなはずじゃなかった・・はずなのに・・・・・・・
退屈と苛立ちに耐えられなくなり、遂にイデアパレスの様子を
見に行こうと決心したのだった。
 
そこにはリアラの想像と全く違うものがあった。
気力のかけらさえ感じられない、人形のように横たえるナイツの姿だった。
 
―――――何だこれは?
 
変わり果てた「ライバル」の姿にリアラは立ち尽くすしかなかった。
自分に気付いているのかさえはっきりとしないほど・・・
しかしその目は確かにリアラに向けられている。
 
でも・・・あいつは俺を見ていない・・・・
突き刺さるような視線を確かに感じるのに・・・
ナイツが見つめるものは・・「リアラ」では・・なく・・・
 
「・・・・見るな!!!」
 
リアラは急に背筋に悪寒を感じて後ずさった。
 
「俺を見るなぁぁぁ!!」
 
リアラは逃げるようにしてその場を離れた。
一番見たくないものを見たような気がして・・
一番見られたくないものを見られたような気がして・・
 
何だあれは?本当にあいつなのか?
何故だ・・俺の・・全て俺のせいか?
俺があいつをあんなにしてしまったのか・・?
嫌だ!!こんなのは・・・・・・・・・・・・・・悪夢だ!!
 
リアラは自分が犯した「過ち」を認めようとはしなかった。認めたくなかった。
ワイズマンや他のナイトメアン達にとっては都合のいい事だが、
自分にとって、ナイツにとって、とんでもない事態を引き起こしてしまった。
今まで築いてきた物全てを打ち砕いてしまった。
ナイツは俺を責めているだろう・・俺は裁かれるのか・・・?
 
リアラは再度イデアパレスを訪れる事にした。
またあの目で見つめられるかもしれない・・でも!
少しでも希望が欲しいから・・・
 
ナイツはリアラを見て・・・・・笑った。
起き上がり、ゆっくり顔を上げ、懐かしそうに言った。
 
「またケンカしてぇよなぁ」
 
また笑った。俺を責めて、恨んでいるけど、あいつはまだ「生きている」!
それなら償うこともできる!
 
「俺は死なないぜ。お前をぶん殴るまではな」
「・・上等だ!」
 
リアラも笑った。嬉しさがこみあげてくる。
何だ、この感情は・・
とにかく今は・・・
自分がするべき事は一つ・・・
 
ナイトメアへ取って返したリアラはワイズマンの元へ・・・・
 
「マスター、お話がございます。・・・ナイツの事です」
「聞かぬ。済んだ事だ」
「お聞き下さい、マスター!ナイツは・・ナイツの精神は破壊されました」
「・・・」
「今なら奴をマスターの思いのままにできます、・・・だから」
「釈放せよと・・・?」
「・・・・・・・・はい」
「・・お前らしくもない・・そもそもお前が言い出した事ではないか」
「私はただ、ナイトメアの利益だけを考えて・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・下がるが良い」
「はっ!」
 
リアラは失望のうちに自分のナイトメアへ帰った。
しかしそこで彼が見たものは・・・
 
「よぉ」
「!!」
「まっさきにお前に挨拶しようと思ってな」
「な・・なぜ・・・釈放・・されたのか・・??」
「そぉ〜さ!お前のお陰でなっっ!!」
「うわっ!?いきなり何をするっ!!」
「だから、挨拶だよ!どうした、お前も挨拶ぐらいしろよ!」
「・・もちろん、そうするさ!」
 
愉快・・そう、これが愉快という感情。生まれて初めての気持ち。
久しぶりに自分の全てをぶつけられる相手に再会し
嫌いなはずなのに嬉しさがこみあげてくる。
二人はずっと戦っていた。お互い倒れるまで。
 
それからしばらくの間・・・
ナイツはワイズマンに従いリアラと共にナイトメアン達の指揮をとっていた。・・
もちろん彼は一生ワイズマンに仕えるつもりはない。
ワイズマンを油断させようとしていたのだ。そして、リアラと二人でワイズマンを・・・
 
そして決行の時がやってきた。
まともに戦って勝てる相手ではないので、二人はワイズマンのナイトメアを
少しずつ削りワイズマンを封じ込めるという作戦をたてていた。
二人で協力し大きなパラループを作る。あっという間に削れていくナイトメアの中で
あまりに突然の事になす術もないワイズマン・・・
 
「よおおっし!あと一息だぜ!」
「・・ちょっと待て!何か・・聞こえないか?」
「・・・・??」
「ナイトメアが、・・いや、ナイトディメンション全体が揺れ動いてる!!」
 
ナイトメアが急激に減ったことによりナイトメアとナイトピアのバランスが崩れ、
その狭間にあるイデアパレスが崩壊しかけていたのだ。
イデアがなくなりナイトピアの形はなくなったものの、ナイトピアそのものは
まだそこにある。でも・・・二人はナイトメアを削り取ってしまった。
ナイトメア全体の大部分を占めるワイズマンのナイトメアを、極限まで縮めてしまっていた。
もしイデアパレスが崩壊すれば、二つの世界は衝突し、両方滅びてしまう・・・
二人は・・もちろん止める方法を考えた・・でも、もう遅い・・
その時、縮んだナイトメアの中でワイズマンが動き出した。外へ出ようとしている。
二人は一度に起こった事を理解できず混乱していたが、
  
「・・マスター!!」
 
リアラはそう言うとワイズマンの元へ飛んだ。
 
「おいっ、何するんだよ!?」
 
何を思ったか、リアラはナイトメアからワイズマンを引きずり出した。・・・・・
身体は縮みボロボロになっていた。これが自分達の生みの親。これが?・・そう・・
どんな事が起きようとこの事実は変わらない。自分達は何をしていた?何をしようとした?
自分が今ここにいるのは、これのお陰なのに、自分はこれに、・・・何をした?
さらに混乱したナイツは身動きできなくなってしまった。
そして、そのままワイズマンをイデアパレスへ導いてゆくリアラを
ただ見送るしかなかった。咎める事も助ける事もできず・・・・・
 
やがて揺れはおさまった。
 
ナイツには何が起こったのかわからない。でも、リアラとワイズマンが
ナイトディメンションを救ったという事ははっきりしていた。ナイツはリアラを待っていた。
・・・・リアラは一向に戻ってこない。
リアラ・・俺の事、恨んでるか?
もしワイズマンが生きていれば反乱を起こした俺達を放っておくわけがない。
ずっと命令なんて聞いてなかった俺と、ずっと命令に従ってたお前が同じ罰を受ける。
そうならなくてもこんな事になったのは俺のせいだ・・
そしたら・・俺の事恨むの当り前・・だよな。
でも、俺を恨んでるなら・・俺が憎いなら・・必ず生きて帰って来い!
このままなんて悔しいだろ?俺に仕返ししたいだろ?だから・・・!
 
リアラ、そしてワイズマンがどうなってしまったのか・・・
ナイツは知るのが恐かった。イデアパレスへ近付けなかった。
それではナイツは何をしているかと言うと、縮めてしまったナイトメアを
セカンドレベル達と協力して修復していた。ナイツが、他のメアンと協力している。
ナイツは・・・ナイトメアを元に戻せば全て元通りになると思った。そう信じたかった。
自ら指揮を取るナイツにセカンドレベル達は従った。ナイツが反逆者であることは
百も承知だが、ナイトメアの修復に反対はしなかった。むしろナイツの態度に
頼りがいすら感じていた。まるで・・・かつてリアラが彼等をまとめていたように。
 
一方ナイトピアでも大きな変化が表れていた。
イデアキャプチャーに捕らえられていたイデアが次々にビジターの元へ戻る。
イデアキャプチャーを破壊していたのは・・・・・・リアラだった。
リアラはナイトピアにいた。そしてワイズマンはかつてイデアパレスがあった場所で・・・
イデアパレスは既に崩壊していた。しかし狭間にワイズマンが入り込み
二つの世界の衝突を防いでいた。その時ナイトピアに押し出されたリアラは、
狭間を塞がれてナイトメアに戻れなくなってしまったのだった。
やはりリアラもまた、ナイツと同じように、全て元に戻せばまた最初からやりなおせると信じ、
イデアを解放していたのだ。
 
やがてナイトメアでは修復を終えようとしていた。
ナイツは真実を知るのが恐かったが、やはり自分の目で確かめるしかないと思い、
意を決してイデアパレスへ飛んだ。そしてそこで全てを悟ったのだった。
 
ナイツはイデアパレスを修復し始めた。
全てのイデアを解放したリアラもまた・・・
 
イデアパレスが完成すればワイズマンは再び蘇るだろう。
そして反乱を起こした二人を処罰するだろう。二人はその事を知っていながら
やらずにはいられなかった。このままでは終われなかった。
二人にとって一番大事なのはナイトピアでもナイトメアでもなく、ワイズマンでもなく、
自分の命でもない。二人には分かっていた。だからもう繰り返さない。
自分の存在を賭けてでも守りたいものが、イデアパレスの向こうにあるのだ。
 
 

これは本当はだいぶ前に考えてたお話で、 慣れないキーボードに手こずりながらこつこつと書いて いたのですが、過って消してしまい(自爆)それ以来 やる気を無くしていたのでした・・・でもこうしてちゃんと 完成して良かったです(^^ 全然まとまりないんですけどね。書いてるうちにどんどん変わってきちゃって。 最初、ナイツがイデアパレスを脱出するために リアラを説得してたんですよ。無理ですよねぇ(^^;   TOP | SITE MAP | NiGHTSの部屋