お茶の歴史
●お茶の伝来…はじまりは、薬?
「茶は南方の嘉木(かぼく)なり(意味は『茶経』の項にて)」という書き出しで、お茶の飲み方や効用をまとめた
『茶経(ちゃきょう)』が唐の陸羽によって記されたのは、今から1200年以上も昔。
その後まもなく、日本でもお茶に関する記述が登場します。
その頃のお茶は、保存のよい磚茶(だんちゃ)の製法で作られていたと考えられています。
お茶の葉を煮詰めて団子のように固め、削ったものを煮出して飲む。
ちょうど漢方薬のように、味や香りを楽しむというより薬効を期待される飲み物だったようです。
●抹茶の誕生…心を癒す飲み物
本格的にお茶が日本に定着し始めるのは貴族から武士の時代へと移り変わった、鎌倉時代以降のこと。
800年程前、栄西(臨済宗開祖)が、中国から茶の種子を持ち帰り、その栽培を各地に広げたことがきっかけとなりました。
現在の抹茶にほぼ近い製法でお茶が作られるようになり、武士や僧侶の間で、楽しみとしてのお茶が飲まれるようになっていきます。
室町時代には、日本の代表的な文化のひとつ「茶道」が確立されました。
●煎茶と玉露の誕生…より身近なものへ
お茶が普段の生活の中で習慣として飲まれるようになるのは、江戸時代です。
この時代に、現在馴染みの深い煎茶や玉露の製法が生まれました。
急須にお湯を注いで出す、その入れ方も、よりお茶を親しみやすくしたのでしょう。
そして現在では、気軽で健康にもよい飲み物として、お茶は欠かせない物になっています。