4月6日:記入者 樋口恭祐

今日は人生でもっともハッピーな日だった・・・そう言い切っても大げさではない。
あの和真とも一緒のクラスになれたんだ。それを幸せだと言わずして、何を幸せと言うのだろう?
不思議なことに、彼の魅力を知る人は皆無だから、俺が独り占めさ。
最初は鬱陶しがられたり、煙たがられたりしたけれど、本人の意思を無視して、それこそ嫌われる覚悟でずっと纏わりついた甲斐もあって、和真は俺には心を開くようになった。
愛想の悪い和真が俺だけを友達として認めているって、何か可愛いじゃない。




そして、もう一つハッピーなことがあった。それは・・・可愛い裕也が入学すること。
二歳下の弟と今年一年だけではあるが、学校でも一緒になれる。この嬉しさをどう表現したらいいのだろうか。
文字で表現するには飽きたらず、和真に抱きついてキスしても足りないくらいだった。
本当にしたら、『このブラコン野郎が』と苦笑されたけど・・・。





どうせ俺はブラコンだよ。ブラコンで何が悪い!





4月9日:記入者 樋口恭祐

別にこの日は何もないよ。ただ、もしこの日記が誰かに見られて出版されるような日が来た時のために、愛する裕也の説明を入れておこうと思ってね。

裕也ってのは俺の弟の名前。決してペットの猫の名前ではない。
目に入れても痛くないほど可愛くて、俺様はメロメロ
(死語)なのだ。
確かに彼は実の弟だけど、俺はただの弟としてみていない。一人の恋の相手として彼を見ている。




いやはや、俺って末期だよね。ホモの上に近親相姦だぜ?どうすればいいのよ?
俺がホモであるのは仕方ないと割り切ることができるとしても、近親相姦はな・・・。
弟が可愛いから、では納得できないっしょ。恐いもの無しとされているこの俺でさえも、この想いだけは手に余している・・・。






4月19日:記入者 樋口恭祐

考えてみたら、和真の説明をしておかなければいけないな。俺ってばいけない子。

朝比奈和真は、俺の親友。極々普通の家だけど、ひょっとしたらどこかの武士の子孫かもしれないな。
素敵な名字と愛想の悪さでごまかされたかっこいい見かけ(これは後になって気づいた)が気に入って接近したんだ。
そりゃ、最初のほうは鬱陶しがられたさ。彼は元々人と接するのが得意な性格ではないんだもの。
だけど、諦めなかった甲斐もあって、俺たちは親友までになった。
無愛想で有名なあの和真が俺の前だけでは笑顔も見せてくれるようになったんだ。






4月30日:記入者 樋口恭祐

今日は和真と遊園地に行った。高校三年生にもなって、野郎二人で遊園地なんて、周りはかなり引きそうだけれども、和真を笑わせるのはここが一番なのだ。



今日も俺は体を張ってしまった。
いつも俺は強がっているけれど、本当はお化け屋敷やジェットコースターなどの絶叫、恐怖系はとんでもなく苦手なのだ。
この世にこんなのが存在している理由がわからない。日本の法律で禁止してしまえばいいのだ。


だけど、彼は絶叫している俺を見ているのが楽しいらしい。
だって、初めて笑ったのが、お化け屋敷で恐怖のあまり奴の腕にしがみついた俺を見たときだったんだもの。
そんときは一瞬、何でこんなときに笑うかな・・・と思ったんだけど、まぁ、それ以上に笑ってくれたのがうれしかった。
それなりに俺に心を開いてくれていることがわかったから。


そんなわけで懲りずに今日もそれらで楽しんでしまった。
彼が柄にもなく爆笑したことは、言うまでもない・・・。



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