6月8日:記入者 樋口恭祐

と、いうわけで、俺はあいつの想いを受け入れる準備をしたわけよ。
こっちの想いも限界だったからね。抑えることが出来るかな・・・と最初は思っていたんだけど、俺自身を突き破ってしまいそうなほど日に日に気持ちは強くなっていき、さすがにこれ以上裕也への想いを知られたくなかったわけで、和真には失礼かな・・・とは思うんだけど、裕也をただの可愛い弟して見るには、和真が必要だった。
でも、そういう事実もあるけど、彼が相手なら俺もいい、そんな気もするんだ。




だけど、それにはとんでもなく大きな、俺でも対処不可能な問題があったんだよね。



それは・・・裕也がおそらく和真に恋しているだろうこと。



俺がそう思ったのだから、おそらくそれは事実だろう。
何となく視線の種類が違うんだよね。こう・・・切ないというか・・・何か言いたいけれど、押し殺している、そんな感じ。

いや〜参った参った。俺、失恋よ?
今までは誰も好きな人がいないと思っていし、俺も害虫はそれなりに駆除してきたつもりだから、想いつづけるだけでよかったはずなんだけど・・・。

え?ちょっと待て、何で俺泣いてるんだ?
想うだけでよかったんじゃないのか?
側にいることができればよかったんじゃないのか?
自分の気持ちを整理するんじゃなかったのか?



ははは・・・今になって気づくなんて、本当に馬鹿だ。



俺、そこまで好きだったんだな・・・。今まで、裕也には俺がいてやらないと、と思っていたけど、俺のほうが裕也なしじゃいけなかったみたいだ・・・。




ま、だけど、裕也が選んだ相手なら、人であればオッケーさ。
人外生物だったらさすがに賛成できないけど。お兄ちゃん、にっこり笑って祝福しちゃう。
でも、ほんの一瞬だけ涙を見せるんだ。そうすれば優しい裕ちゃんのことだから、俺から和真を奪った・・・罪悪感を抱くと思うんだよね。

いや、抱かせてやる。

だから俺はそのときしおらしく、「一回だけキスして・・・」ってねだるんだ。もちろん拒否権は与えません。
上手くキスしてからは、押し倒すの。すると、当然裕ちゃんは怯えるよね。
好きでもない奴にされようとするんだもの。
だから、そん時に笑いながら手を離してやるの。
そんで、『冗談』だと。俺ってば、何て優しいお兄ちゃんなんだろうな。




でもなぁ・・・まさか和真を好きになるとはな。
俺、どーすればいいの?
せっかく練習(?)してあいつの太いナニを受け入られるようになったのに・・・。
これって三角関係なのね?一人のハンサムな男をめぐる仁義なき兄弟の戦い。あぁ・・・素敵!






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6月15日:記入者 省略

季節は梅雨だ。雨が降り続いて鬱陶しい・・・。
俺の頭も今カビだらけ。
本当に・・・裕也のこと、どうしよっかな。
弟には幸せになって欲しい。
これは嘘偽りもない。
だけど、あいつらが結びついた時の疎外感は嫌なのよね。
だって、俺、用済みになるんだもの。
はぁ・・・。おっと、そんなに落ち込んでいちゃいけないな。
俺はみんなのアイドル。
常に明るくがモットーなのだ。











でも・・・誰かほんの少しでいいから俺の気持ちを分かって欲しい・・・。





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