8月12日:記入者 樋口裕也

弟であるのに、兄のことはよく知っていたと思ったのに、恭祐兄がこんなに苦しんでいるとは知らなかった・・・。
いつも兄は優しくて、明るくて、僕が落ち込んだときは励ましてくれて、そんな様子は全くなかった・・・いや、見せてくれなかった。



僕の・・・せいなのかな。



僕が和真さんを好きにならなければよかったのかな・・・。



そうだ、その通りだ。



そうすれば兄は極普通に和真さんに告白して、和真さんもそれを受け入れるはずだった。
兄を追い詰めたのは和真さんでなくて・・・僕だった。




それに・・・兄がそういう意味で、しかも本気で僕を好きだなんて・・・知らなかった・・・。
遊びだと思っていたけど、あの時のキスは・・・兄が覚悟を持ってやったやつだったんだ。
やっと和真さんの言った意味が分かった。
僕は知らなかったとは言え、兄の気持ちを馬鹿にしていたんだ・・・。




だけど、今落ち込んでいる場合ではないんだ。



この日記、和真さんに見せてあげなきゃ・・・僕はあの人の本当の気持ちを・・・伝えなくてはいけない。



それが僕のできる償いなのだ。



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