8月13日(前編):記入者 樋口恭祐
あ、俺、ゲスト出演ね。え?どうでもいい?何?どうして俺がいるかって?細かいことは気にしない!
裕也は勇気を振り絞って和真のもとに行く。どうやら俺の書いた日記を見たようだ。
俺の・・・いや、裕也自身の気持ちを伝えに行くつもりだろう。
頑張ってくれよ・・・。
別に気取ることはない。
自分の気持ちをまっすぐに伝えれば、それでいい・・・いや、そうしなければならない。
あいつは不器用なやつだけど、言い換えればまっすぐな想いにはまっすぐで返す奴だから・・・。
あんなことがあったから、多分裕也も辛いかもしれないけれど、自分から逃げないでほしい。
今逃げれば、一生逃げる事になると思う。そんな人生は送らないでほしい。
「和真さん・・・これ・・・」
和真は俺の秘蔵版の日記を読んだ。
寂しそうな目をした・・・わけでなく、大爆笑だった。
ここは笑うとこじゃないぜ。
普通はしんみりするとこだっつの。
俺ですら初めて見たよ・・・全く。
「ははは・・・もーだめ・・・らしくない。・・・馬鹿が・・・そーゆーことくらい俺には言えっての・・・本当に・・・馬鹿・・・野郎・・・」
人は本当に悲しいときには、笑うという。
気がつけばそれは笑い泣きになっていた。
狂ったように笑ったのは・・・己を制御するためか・・・笑わないとやっていられなかったのかもしれない。
普段和真はそんなに感情を表さない。彼をそうさせてしまった俺自身を哂う。
「俺は・・・そんなに頼りなかったか・・・。
そうだよな・・・知り合ってからずっと・・・俺はいつも気遣ってもらうばっかりでお前のことを考えてなかったんだな・・・。
俺がお前を好きになっちまったせいで・・・お前はこんなに苦しんでいたんだな。本当に・・・ごめん・・・ごめん・・・」
謝る必要はないぜ?俺は笑顔を振りまいていたのは、愛想でもなんでもない。
もちろん、俺だって聖人ではないし、結構自己中心的なところもあるから、計算していた部分がなかったとは言わないけれど、ただ笑っていれば自分が楽しいから・・・それが大部分を占めているのは本当だ。
怒っているより、笑っているほうが健康にもいいだろう?和真も裕也も、そんなにしおらしくしないで欲しい・・・でないと、俺がここにいる意味がない・・・。
「もう一つ謝らなければいけないんだよな・・・。
こればっかりは呪い殺されても文句は言えないだろうな・・・まぁ、そのときは仕方ないか。
俺は恭祐が呪うんだったら、喜んで呪われてやる。
裕也・・・信じてもらえないかもしれない、どうやら俺はお前が好きらしい・・・」
「でも・・・和真さん・・・なんで僕を?
僕は散々酷いことをしてきたんだよ。
和真さんに好いてもらえる資格はないんだ・・・」
自分の気持ちを言おうとしたくせに、裕也は聞き返した。信じられないらしい。
あー・・・哀しいけれど、それはこの優しいお兄様でも否定できないな。
裕也・・・シチュエーション的には最高だけど、やっちゃぁいかんよ。
「だけど、もしお前がその『酷いこと』をしなければ、俺はお前に興味を持つことはなかっただろうと思う・・・責任、とってくれるよな」
To Be Continued・・・
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