7月26日:記入者 朝比奈和真

数日前、俺のたった一人の親友が俺を残して独りで逝ってしまった。

死因は交通事故。

俺の家に来るはずだったあいつは・・・約束とは違うところ、二度と手の届かないところに行ってしまった。
酔っ払いの事故に巻き込まれたと知ったとき、俺の腕の中で冷たくなっていったとき、警察署から引き摺り出して、そいつを殺してやろうかと思った。
俺のたった一人の友達を奪ったそいつが許せない・・・。
そんなことをすると、あいつは『俺を美しく死なせてくれ、馬鹿野郎!』と言って、俺をぶん殴るんだろうな・・・。
でも、俺をぶん殴りに帰ってくるなら、俺はこの手を血で染めても構わない。
刑務所くらいなら、喜んで入ってやるさ。それほど恭祐が好きだったんだ。




俺は人付き合いが下手だった・・・というより、人と関ろうとするような男じゃなかった。
別に馴れ合おうとも思わなかったし、独りが寂しいと思ったこともない。
だけど、あいつは何を血迷ったのか、そんな俺に纏わりついた。
どうやら当たり前のように独りで過ごしていたから、放っておけなかったらしい。
そりゃ、俺の気持ちなど全くの無視だから、最初は鬱陶しかったさ。


でも・・・笑ったり怒ったり泣いたり、気付けばそんなあいつが好きになった。
俺に欠けていただろう物を、持っている男だということを知った。だけど、そうだと気付いた時は慌てたよ。

だって、ホモだぜ?

俺は生まれてこの方男の裸に興味はないし、今でもそう思っている。

だけど、あいつは例外だった・・・。

仕方なくそれを認めてからは、ますます惹かれていった。
いつの間にか恭祐のいない学校生活など、考えることが出来なくなった。


告白はしなかった。誰も友達のいない・・・というか、相手に興味のない俺と、クラスの中心にいるような人気者の恭祐とじゃつりあわないというのもあったけど・・・俺にとってはそんなことはどうでもよかった。
それ以上に問題だったのは・・・あいつはブラコンで、弟の裕也くんを溺愛していたんだ・・・。
つまり、俺は男として認識されていなかったわけだ。



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