Nummer sechzehn〜夢カ現カ〜


光輝兄の本当の想い。
額面どおりに受け取れば失恋なのかもしれない。
でも、俺はそうは思わなかった。


本当は男に興味なんかあるはずのない彼。
弟には絶対手を出さないといっていた。
でも、それを曲げてくれた。
俺の気持ちを否定しないでくれただけでなく、受け入れてくれた。
流すべき告白に、本気で答えてくれた。





もう俺は・・・それで充分だよ。充分すぎて、嬉しすぎて、申し訳なくなる。





や・・・やばい・・・


「お、おい、わ、悪かった・・・」

「光輝兄の・・・ばか。俺は今嬉し泣きしてるんだけどな。その・・・本当に俺でいいの?」

「お前でなくていいのなら、ここまで苦労しない・・・」

ひねくれているけれど、「お前じゃなければいけない」と言われているようで。





「光輝兄・・・大好き」





俺は何のためらいもなく抱きついた。
嬉しくてしょうがなかった。
片想いで終わるはずだったこの恋。
忘れる宿命だった。
それが叶うことになったのだから。
光輝兄も、ぎゅっと抱きしめてくれた。
それが夢でないことを照明してくれる。





「本当に俺でいいのか?」

抱きしめながら聞いてきた。
その表情を知ることは出来ないけれど、何となく苦しそうだった。
それで俺は全てを察した。自分の出した結論に責任を感じているのだ。


「光輝兄じゃなくちゃ・・・嫌・・・」

彼の言葉に傷ついたことは何度もある。それでも、それも彼の優しさだと気づいたから。
俺を遠ざけたのも、彼なりの考えがあったことに気づいたから・・・。


でも・・・やっぱり気になることがある。





「光輝兄は、どっちの俺が好き?」



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