Nummer achtzehn〜勘違イ、ソシテ、真相〜


途端、いらだった顔をする。

「同じ大学だが・・・本当にタチの悪い女だ。
あいつ、どうしてかお前を気に入ってるんだよ。最初は俺の友人の振りしてお前に会う機会を狙ってたけど、それに満足できなかったらしい。何度も会わせろと煩かったんだ。
あんな悪女にはやれないと断ったんだが・・・まさか知らないうちに俺の携帯を盗み見てたとはな。
お前も会ったことを秘密にするし・・・あいつはお前に会えて大喜びしていたし、てっきり恋人同士になったかと思ったんだよ。
それについては誤解だと解ったけど・・・」


げっそりとやつれてしまった。狙いは俺のほうだったのか。
考えてみたら、納得できないこともない。もし光輝兄が狙いで、俺を傷つけるのが目的であれば、目の前で密着したほうが効果はある。
しかし、あの人は光輝兄との親密さをアピールしていた・・・。しかも、秘密といいながら光輝兄には話してある。更には俺の応援もしていて、真相がやっぱり解らない。どういうことなのだろう?首を傾げた俺に、兄は憎憎しく吐き捨てた。



「要は、俺がどう言うか予想していてお前を焚きつけたんだよ。そうすればお前がぼろぼろになる。
そんなお前を引きずり込もうと目論んでたんだとよ。
万が一結びついたら恩人の座を得ようとも考えてたらしいな。
鷹司の奴を甘く見ていた・・・。
それより、鳩山先生とはそれなりにいいムードだったじゃないか・・・」


結論を言うと、こうなる。




つまり俺は彼女の手の上で踊らされた?




でもまぁ・・・不謹慎だけど、ちょっと嬉しい部分もある。
だって・・・少しは俺を人に渡したくないって思ってくれたんだろ?鳩山先生とのことだって・・・。


「・・・鳩山先生とは偶然会っただけだから・・・」





「じゃぁ・・・どうしてあの時脱がされた・・・しかも、おとなしくしてるし」





光輝兄の機嫌が悪いような気がするのは気のせいだろうか・・・あ、「二股」ってそういうことか。
黙っていたい過去だけど、白状しないとまたこじれてしまう。


「何だか知らないけど・・・気がつけば脱がされてた。
ほんとは・・・その、怒らないでほしいんだけど、





鳩山先生の腕に縋ってもよかったかな





・・・って」


何?兄の空気がどんどん冷たくなっていくので、俺は急いで弁解した。

「あの人だったら優しく抱いてくれそうだし・・・」

「ふーん」

「でも、一瞬だけだって!
それからは、あの腕が光輝兄のだったらどれだけよかったか・・・そればっかだった。
・・・本当に救いようがないよな、俺って。何か光輝兄には迷惑ばっかりかけてる気がする・・・」


「それでいいんだよ。なりゆきとか、そういうのじゃなくて、お前にはよく考えて結論を出してほしいんだ。
お前が鳩山先生のところがいいというのなら・・・





俺はいつでもお前の意思を尊重する









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