Side Shun
そろそろ待ち合わせの時間だ。あれから30分近く待っている秋本さん。本当にすっぽかされたらしい。悪い子にはお仕置きが必要だ・・・とか、今度は何を使おうかなんて物騒なことを言っている。ちょっと・・・いや、かなり同情していると目の前に二人の男が現れる。
「光輝兄!」
・・・のほかに、もう一人男の子がいる。年は俺と同じくらい。何か綺麗という言葉が似合う、漠然とそう思った。というか、何で男連れなんだよ!光輝兄は男好きじゃなかったはずだよな!?見知らぬ男と行動を共にするような人ではない。それなのに・・・そいつは誰なんだ!不細工だったらまだよかったのに、兄の隣にいるのが不気味に合っているから、俺の心臓がぎゅっと締め付けられるのを感じる。
『光!遅かったじゃないか。どういうことか説明してもらおうか』
『博!これには深〜いわけが』
え?目の前で感動的というか・・・血で血を洗うような再会劇が行われて、俺と兄はただ呆然とするしかなかった・・・。
要約すると、俺たちはそれぞれ恋人同士の片割れに遭遇してしまったらしい。兄が光くんと一緒にいたのはそういうことじゃなく、たまたま待ち合わせ場所も一緒で、ただ単に巻き込まれただけだったということになる。一瞬でも疑った俺が馬鹿だった。
「・・・まさか俺たちがそういうことになったと思ったのか?」
ため息をつかれ、俺の声も自然と小さくなる。
「だって・・・光輝兄、モテるんだもん」
「俺はお前以外の男と付き合うつもりはないぞ?」
「じゃぁ、女だったら付き合うんだ・・・」
「あのなぁ・・・」
「そうだよな。光輝兄、綺麗な女の子が好きだし・・・」
気まずい空気が流れた。光輝兄には何もやましいところはないことは知っているんだけど、やっぱり男二人で来たのはショックだった。その気持ちを察してくれない光輝兄にも苛立ちを覚えてしまった。
「・・・瞬は俺をそういう風に見ていたのか?」
俺の態度に光輝兄の機嫌が悪くなっていく。それでも俺は止めることが出来なかった。
「・・・光輝兄こそ俺の気持ちを解ってくれない・・・」
「本当に・・・お二人にはご迷惑をおかけしました」
一触即発の空気に割り込み、深く頭を下げて秋本さんが謝った。自分より年上の男が謝っているので、俺たちは喧嘩をしている場合ではないことに気づいた。
「いえ・・・別に。無事会えてよかったですね」
「悪いのは俺だから・・・二人とも喧嘩しないで、ね」
必死に謝られて、俺の毒が一気に抜けてしまう。どうも光くんには人を惹きつける力があるようだ。しかし、その後に続いた言葉には、絶句せざるを得なかった・・・。
「どうせだから、ダブルデートしよ!」
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