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恥ずかしそうに言われ、俺は首を縦に振る。
それがスイッチとなって、また兄の顔が近づき、ゆっくりと口付けを交わす。


「ん・・・」



永遠など、存在しない。存在しないからこそ、求めてしまうのが、永遠。



「目・・・閉じろ・・・」

耳元で甘い声をかけられ、ぞくりと身震いする。
本当は光輝兄の顔を見ていたかった。
二度と大好きな人を忘れないようにと、この目に焼き付けておきたかった。
だけど、身体が言うことを聞かず、大好きな人に魔法をかけられてしまった俺は、言われるままに目を閉じた・・・。




今俺は時が止まってしまえばいいと思った。
一瞬だけど、二度と時を刻んでほしくないと思った。
その癖に、本当は永久に開くはずのない希望の蕾が、ほんの少し、開いていくような気がした。
そんな瞬間が本当に愛しくて、ずっと浸っていたかった。
だけど、幸か不幸か、時間は止まってくれなかった。
光輝兄はやわらかく、だけど力強く俺の唇をこじ開ける・・・わけではない。
触れるだけのキスをしてからはすぐに離した。
もう少ししてほしかったと残念に思ったけれど、その代わりか優しく頬に触れてきて、耳元で何か言った・・・聞き取れなかったけれど・・・。




だけど、かすかに震えているその声で、何となく俺がほしい言葉を言ってくれていたような気がした。
確かに存在した境界線が、静かに崩れ落ちていった。

俺は両腕を光輝兄の首に回した。

そうしておかないと、自分がばらばらになってしまいそうだった。

光輝兄はそんな俺をぎゅっと抱きしめ、俺もまた彼を抱き返す。

それほどまでに大好きな人とのひと時は気持ちよく・・・そして・・・熱く・・・そして・・・。



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