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俺を気遣ってそう言ってくれていることは分かる。
判ってはいるんだけれども、こんなことを考えているときには痛い一言だった。
俺の存在理由が分からない。俺は光輝兄のために何かしたいのに・・・。




「いや、何もしなくていいって言ってるわけじゃないぞ?勘違いするな」



だけど、俺の気持ちが伝わってしまったのか、慌ててそれを否定した。

「何ていえばいいのかな・・・」

本当は彼の中で温めておくつもりだったようで、話すつもりはなかったらしい。

苦笑いで誤魔化そうとした。

だけど、今回ばかりは俺もそれを許さなかったため、渋々と・・・本当に渋々と白状した。


「どんな辛いことがあっても、瞬の顔を見るだけで頑張ろうって気になった。
大学やバイトと忙しいけれど、お前が待っていてくれるから、朝目が覚めると『おはよう』と言ってくれるから、俺はここまでやってこれたんだ・・・自分でも信じられないけどな。
確かに大切な弟だけど、普通そこまでは依存しないだろう?どうやら・・・想像以上にお前のことが大切らしい」


「光輝兄、本当に本当?」

「嘘だと言ってほしいのか?」

「いや、言ってほしくないけど・・・」

だけど、何て言えばいいんだろう?彼の言うことは紛れもなく真実で、決して光輝兄を疑っているわけじゃないんだ。
だけど、自分で言わせておいて勝手な話だとは思うけれど、いつも彼はさりげなく気持ちを伝えてくれることが多く、こうやって光輝兄がまっすぐに想いを伝えてくれることはほとんどないから・・・俺の都合のいい話を聞いているんではないかと思ってしまう。






「嘘をついて俺に得することなんかないんだよ・・・」





穏やかに彼は、俺の髪をかき回した・・・。



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