Seventeenth



・・・・・俺が・・・欲しい・・・・・?




瞬がとろけそうな顔で言った。俺の聞き間違えかと思ったけれど、そうではなかった。
瞬の言葉を聞き間違えるはずがない。
それって・・・そういう意味だよな?
今まで心のどこかではそれを遠い未来のことだと他人事のように思っていたけれど、こうして今現実として存在している。


さすがに俺は戸惑った。

俺も、瞬も、男だ。仮に男という要素を抜いても、血のつながった兄弟であることには変わらない。
今はこうやって触っているだけだけど、これ以上進む・・・一線を越えると、後戻りが出来なくなる。
他人であれば、別れればそれで済むけれど、血の絆はそれを許してくれないということを、瞬は解っているんだろうか?
ただその場の勢いでモノを言っているんではなかろうか?




いや・・・解っていないのは、俺か。怖いからといって進まなければ、何も変わらないか。
確かに、間違った方向に進む確率はないわけではない。いや、瞬の想いを拒まなかった時点で、今こうやって彼に触れている時点で、俺は間違った選択をしてしまったのかもしれない。
しかし、それ以上に俺たちにとっていいきっかけになるかも知れないということを、どうして考えようとしなかったのだろうか。
血のつながりだってそうだ。俺たちの絆はどんなものよりも強い。
今であればどんなことがあっても、それが切れることはない・・・いや・・・例え瞬が嫌がっても、俺が切らせない。

瞬は全身で越えることの出来ないはずだった壁を、越えようとしてくれるじゃないか。
それなのに俺はこれでいいのか・・・。いや、いけないだろう。
残念ながら瞬の努力だけでは無理だろう。彼は臆病だ。今俺がNOと言えば、絶対それに従う。
俺を不幸にするくらいなら、自分だけ不幸になろうとする・・・そしてそれを幸せに思う。別に俺のためではない。何の裏もなく思う、そういう子なんだ。だから俺が瞬の手を取ってやらなければならない。





もし、『間違った方向』に進んでしまったのなら、それはそれでいいじゃないか。
地獄に堕ちるというのなら、とことん堕ちよう。
瞬が相手であるのなら、喜んでそれを受け入れようではないか。
だから瞬・・・お前も覚悟を決めろ。





お前に俺の全てをやるから・・・お前も俺に全てを・・・。



NEXT



TOP   INDEX