プロローグ


俺は倉科息吹。
今年清風高校の一年の担任になる。
今年で33になるが、まだ独身だ。
面倒くさいからではない。



彼以外誰も好きになれないのだ。



だが、彼には恋人がいたから、
ずっと親友で居つづけた。
負担になってしまうから。
だから、告白したのは偶然彼の幽霊に会ったときだった。
彼は想像とは裏腹に、断らなかった。
もし生まれ変わったら付き合おうと言ってくれた。
おそらく俺を気遣っていってくれたのだろう。



でも・・・うれしかった。



生まれ変わることはできなくても、
俺はずっと彼を好きでいることにした。
それがたとえ過去にしがみついているだけだったとしても・・・。





だが、今は浸っているときではない。
俺は仕事を全うしなければならないのだ。
この入学式で受け持ちの生徒の名前を呼ぶという・・・。

だから俺は次の名前を呼んだ。




「夏樹歩」



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