その1


僕は意外にも緊張していたが、親友が一緒のクラスになったおかげでだいぶそれも和らいだ。

「よかった。歩といっしょのクラスで!」

と言うのは現在大親友の夏目。
小さい頃からずっと一緒にいる。
見た目はなかなか整っている奴である。
172と、僕よりも背が結構高い。

が、自分で言うのもなんだが、

妙なところで僕よりも乙女なところがある。
僕はそれを知っているから、どうしてもかわいいと思ってしまうときがある。
まぁ、他の人にはそんなところは見せないようだけど。


「よかったのは僕も一緒だよ」

心から言う。今まで彼には結構救われてきたから。

「そういえば・・・あの人見つかったってほんと?」

「うん」

僕が救われてきたのはそこにある。
夏目には僕のことをすべて話してある。
自分が生まれ変わりだということ、
倉科に恋をしていることを。

気違いだと思われ、
嫌われるかと思ったけど、
彼はそんなことをせずに親友であってくれている。

嬉しいときも、悲しいときもずっとそばにいてくれた。
それがどれだけ僕を救ってくれているかは、
彼は気づいてはいないだろう。
そして気付く必要はないかもしれない。

だから、いくらこの恋が成就したって、
絶対に夏目は失いたくないのだ。
もしそんなことになったら、
僕は絶対幸せにはなれないから。



「よりにもよって・・・うちの担任だとはねぇ。倉科先生・・・かわいそうに」


そうだよね・・・ってなんか同情する相手が違うんじゃないか?僕は言い返した。

「普通は僕のほうにするんじゃないの?」

「だってねぇ・・・倉科先生の苦労が手にとるようにわかるんだもん・・・ってごめん!」

僕が夏目を押し倒そうとしたので、慌てて謝った。


一応僕は押し倒すより押し倒されたいんだからそういうことさせるなって。


まぁ、夏目は例外だけど。一応フォローするつもりか、夏目が続ける。


「まぁ、ほどほどにがんばれよ」


うん。僕は心の中で礼を言った。
その言葉が僕にものすごい勇気をくれる・・・。
先生が一人になるのを待って会いに行くことにしよう。




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