再び君と・・・

プロローグ

僕の名前は夏樹歩。今年の春に清風高校に入学する普通ではない高校生である。
もちろん、容姿は十人並みだし、おつむもそこそこでしかない(注:といってもこれは自覚していないだけであるが)。

ではなぜ普通の少年と違うのか。
実は、僕は全部というわけではないけれど、前世の記憶というものがある。
それなら、俺もあるからそんなに珍しいことではないというかもしれない。
だけど、僕がほかの人と違うのは、人格も前といっしょだということだ。

つまり、前世の記憶を持つ夏樹歩ではなく、死ぬ前の僕が違う身体で生きているようなものだ。

ただ、性格のほうは母さんがあまりに明るいため、以前の静かな性格は引き継ぐことはできなかったけど。
それはいいとして、重要なのはただ生まれ変わったことではない。

確か・・・19年前に自殺したけど、どうしてか未練があって幽霊になってしまった。
他人から取り残されるのがこんなに寂しいと知ったのはそのときだった。
だけど、さまよっていたときに声をかけられた。




僕のかつての大親友、倉科息吹だった。




彼は本当にいい奴で、
僕が男と付き合うと言っても、
一瞬泣きそうな顔をしたけど、
「おまえが幸せならいい」と言ってくれた。
だから彼の存在は僕にとって恋人の次に大切な人だった。いや・・・そういう記憶があるだけで、どっちが上かは実際にはわからないけど。だけど、生きている時は泣きそうな顔をした理由がわからなかった。





それが心残りだったのかもしれない。





だけど、死後その理由がわかった。
彼は僕に告白をしてくれた。
忘れ去られたと思っていた僕を覚えておいてくれた。
だから、自殺したから難しいが、もし僕が生まれ変わったら付き合おうと言った。




ずっと苦しい思いをさせてしまったから。




そして奇跡的に僕は生まれ変わる。
だけど、記憶を受け継いだと言っても忘れていくものがほとんどだった。
でも、僕が恋人や倉科にもらった想いだけは鮮明に残っている。





そして僕はずっと倉科に恋をしつづけている・・・。



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