その4.5

「秋本さんに会えたの?」

「うん。あの人僕を一目で分かったんだ。嬉しかった〜」

夏目に先生とのデートのときに秋本さんに会ったことを話したのだ。
そしたら自分のことのように喜んでくれる。言った甲斐があったというものだ。
しばらく一緒に喜んでいたが、夏目がしばらく考え込む。どうしたの?と聞いたら、





「でも・・・先生は複雑かもね。だって、いくらそういう経緯があったとはいえ、かつての恋人だろ。
その人とべたべたされると複雑な気持ちだと思うけど・・・。



なんていうのかな。その人は歩にとって大切だと分かっているのに、嫉妬してしまうんじゃないかな。
そう思う自分が嫌だったりもするかもしれないし・・・まぁ、先生がそう思うかは別としてね。
あくまでも想像の域を出ないけど」


「そうかな?」

夏目の考えが不思議だった。
先生は秋本さんに、僕のことを想い続けることを言っているはずだし、もしそうしていなくても、今付き合っているのは僕たちなんだからいいんじゃないか。だけど、夏目は寂しそうな顔をして言う。


「そういうもんなんだよ。頭では分かってもね、どうしようもないんだ・・・





相手が好きならね。頭の中がぐちゃぐちゃになってしまう







そういうものなんだ・・・。だったら今度、僕は先生だけだと言っておこう。そう思い僕は夏目に抱きついたのだった。



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