7.

え?という前に体勢を入れ替えられ、気づけば広岡が下になっていた。
三上にここまでの力があるとは思わなく、抵抗する暇がなかった。
貞操の危機を感じたが、更に冷たい瞳で見据えられ、鳥肌が立つ。


「ぅ・・・」

三上が広岡自身を口に含んだ。ゴムのなんとも言えぬ風味と歯ごたえが嫌であるらしい。
最初は不味そうにしゃぶっていたが、それには慣れたのか、それとも感覚を思い出したのか、ゆっくりと舌を使い、先端を刺激する。


「ふふ・・・勃ってる・・・」

わざと広岡に意識させるかのように説明し、三上は音を立ててそれを舐める。

「しゃべ・・・るな・・・」

口を動かすため、広岡自身が一回り大きくなる。

「気持ちいいんだ、先生?」

「あぁ・・・だから・・・俺も・・・限界・・・」

『だから入れさせてくれ』と懇願すると、三上も『俺も我慢できない』と、言った・・・。





「くっ・・・」

相当な激痛なのか、端正な顔が苦しげに歪むが、それには気にせずに三上はゆっくりと沈み込む。

「大丈夫・・・か・・・」

痛みで余裕を失った三上に声をかけたが、彼は何とか平気であるらしい。息を整えてから答える。

「平気・・・だから・・・動いて・・・ください」

最初のほうは痛いとか、優しくしろとか、見ているほうはプロレスごっこにしか見えないようなやり取りをしていたが、三上のほうも落ち着いてきたらしい。何度も突かれるうちに、甘ったるい声を出すようになってきた。

「ん・・・ぁ・・・」

腰を動かすのと同時に三上自身を扱いてやると、自ら腰をグラインドさせてその刺激を受け止める。

「あ・・・あ・・・そこ・・・気持ち・・・イイ・・・!」

こうか?強く動かすと、耐え切れなくなったのか、三上の両腕が広岡に絡まる。

「そ・・・もっと・・・。先生は・・・気持ち・・・いぃ・・・?」

想像を絶するほど甘えた色で訴えかける。

「あぁ、さ・・・最高だ・・・」

ほどよく締め付けるそれは、どんな女としたときも感じられなかったもので、すっかり余裕など失っていた。ぎゅっと抱きしめる。

「あ、あ、あ・・・」

枯れそうな声で三上が鳴き声をあげる。普段の彼とは違い、燃えてしまいそうなほど熱かった・・・。

「だめ、あ、そこ・・・い、いぃ!」

「やば・・・い・・・いきそう・・・イ、イクっ!」

終わりが近くなった彼は腰を激しく動かし、一気にフィニッシュ。それと同時に三上のほうも終わりを迎えたのだった・・・。





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「後悔・・・してますか?」

捨てられた仔猫のごとく、弱弱しく三上がつぶやく。広岡とそういう関係になってしまったことを指しているのだろう。
もともと恋愛自体に無縁な三上はともかく、職業上広岡はかなりの常識人で、女の子好きなのだ。
抱いたのは自分の癖に、広岡のほうが何か大切なものを奪われたような気がしてならない。




「何、お前が黙ってくれるなら問題ない」



しかし、後悔していると言うつもりはなかった。言いたくなかった。そして・・・言えるはずがなかった。



「それなら・・・ずっと黙っておきます」



うっすらとだが、それこそ見逃したら一生見られなくなるんじゃなかろうかと思えるような笑みを見せる。

「お・・・おい・・・今、笑ったか?」

「俺を何だと思ってるんです?」

「冷徹極まりない氷の女王」

「・・・きつい一言ですね。でもまぁ・・・いっか」

広岡の腕を枕にして、すやすやと寝息を立てる。

「ま、まじ?寝ちゃったの?」

好ましくはない手段だとは言え、セックスによって少しは仲良くなれるかなと思ったが、本人にその気は全くなく、さっさと眠りに入ってしまった。
それにしても、そんな顔が出来るなら、もっと人前で見せればそこまで孤立しないと思うのに・・・とはいえ、そんな貴重なものを人に見せてたまるかという気持ちもあり、更に教師という立場も大いに関係してくるため、単純に結論できない部分がある。


それでも、三上の支えになってやりたいと思うのは紛れもなく事実であって、彼の笑顔が見れるならどんな努力もしよう。
こうして哀れな教師、広岡はどんどん深みにはまっていくのだった。



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