4話

そんなある日、南はしばらく付き合っていた人と別れた。
先日大学で南と一緒にいた子であるはずだが、そのときは仲よさそうに見えたので、ちょっと意外だ。
別に去るものは追わないだろうからその必要はないんだろうけれど、なんとなく落ち込んでいるような気がして慰めることにした。


「まさか振られるなんて思っていなかったよ。最近のお前、いい感じだったのにな」


「・・・何か思ってたのと違うって言われた・・・」


「結構女の子適当に扱ってたんじゃないの?お前、モテるからなー。ひょっとして、浮気・・・は、ないか・・・・」


『違うよ・・・』南は寂しそうに否定する。そういえば、高校の頃にそういう質問をしても『どうでもいい』といった反応だった覚えがある。
ちゃんと否定するのが、南が着実に進歩している証だ。


「そんなことするわけないじゃないか。お前に怒られることくらい目に見えてるからな。だけど、みんなそうやって俺から離れていくんだ・・・」


大切なのは南がどう思うかなのであって、森川の感情はここではあまり関係ないと思うが、ひょっとして・・・それに気がついた。
付き合ってみると分かることだが、南自体は結構甘えたな部分がある。ただ、華やかなイメージが先行しているので、ギャップからそう見られたのだろう。
しかも、人を寄せ付けなかった以前ならまだしも、ここ最近はちゃんと彼女のことを大切に扱っていたはず。だが、みんなそれに気付かずに、『大人っぽくてかっこいい南』しか認めなかったのかもしれない。


「ま、お前にはいいところがあるんだからさ、そのうちちゃんとお前を好きだといってくれる人が出てくるさ」


普段は女好きでも、南にはいいところはたくさんある。それを少しばかり知っている森川は女たちがそれに気付かないのを残念に思ったし、腹立たしくも思った。
とはいえ、それと同時にそんな一面を見られるのが自分だけだという優越感も持っていたので、複雑な心境ではあった。
ある程度慰めたので、これ以上一緒にいることもない。一人にさせてやろうと思い、帰ろうとした。だが、帰ろうとする森川を、南の長い腕が引きとめる。


『ま、仕方ないか・・・』


失恋の傷は思ったよりも深いらしい。ため息をつきつつも、側にいてやることを選ぶ森川だったが・・・そこで南が森川を押し倒した。


「何やってんだよ・・・」


南はホモだったっけ?押さえつける手をどけようとしたが、南のほうが握力も腕力も上だったため、それはかなわなかった。
南は片手で動きを封じて、器用なことにもう片方の手で森川の下を脱がす。


「今日はお前が俺を慰めてくれるんだろ?」


「え?」


「俺は振られたんだ・・・」


「ちょ・・・!」


「お前にはカノジョいないんだし、いいだろ?」


「だからってこんなの・・・痛!」


寂しさを埋めてくれるのであれば、誰だっていい・・・幾らなんでもこんなのは屈辱だ。森川は必死に暴れた。
だが、それが運の尽きだったようだ。彼が相手にしてきた女は抵抗などしなかったのだろう。苛立ちを覚えた南が近くにあったネクタイで森川の手を縛り付けてしまう。
そして動きを封じた後に四つんばいにさせ、有無を言わさず侵入してくる。


「痛・・・や・・・やめ・・・お願いだから・・・」


無理矢理犯されているという屈辱と、友人に裏切られたというショックを混ぜた表情で懇願する。だけど、南がその動きを止めることはなかった。
痛さとその他諸々の感情から森川は次々に涙が出てくる。だが、そんなことは全くのお構いなしに、南はその欲望を中に放ったのだった。



NEXT



サイトINDEX   サイトTOPページ   Novel