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『大学で男を作ったらどうなるかわかっているか?』そんなことを言われ、柚月は頭を抱える。
そんなこと微塵もあるはずないのに。




「おいおい。俺、そんなに信用ないか?」



『ないです』即答され、ずり落ちそうになる。

「おいおいおい・・・いくらなんでも、それは傷つくぞ?曲がりなりにも俺たち付き合ってるんだよな?俺にはお前しかいないのに・・・」

まるで浮気を見つかった彼氏が弁解に使うような言葉。
だが、彼にとってそれはただの弁解ではなく、真実そのものだった。
傲慢そうに見えて実は結構繊細なところもある柚月が、身、心ともに預けられる相手は岬しかいないのだ。


「えぇ・・・まぁ、その・・・俺だって、先輩を信じてないわけじゃないんですよ?
ただ、先輩ってもてますからね。変な男が言い寄ってくるんじゃないかと心配で心配で・・・ほら、学校が違うから何をやってるか分からないだろうし」


岬の言葉を聞いていると、あまり信じられているような気はしない。
もっとも、彼の過去の男性経験の多さからすれば岬がそう思うのも当然かもしれない。
柚月が岬と知り合う前は嫌というほど性交渉を重ねていた覚えがある。遊びや、家関係など、いろいと。


「ま、大丈夫だ。俺は別に九条を継ぐつもりじゃない。俺に言い寄ったって別にいいことなんかないさ」

もし彼が九条の跡継ぎであれば、別に寄ってきてもおかしくはない。
大学のうちから人脈作りに励むものがいることは知っているし、実際に過去にも九条の資金目当てで言わば『生贄』として差し出されたこともある。
だが、今となっては彼は一人の男でしかない。それなら声をかける意味はない・・・彼自身はそう思っている。


「あーあ、この人って・・・ま、それならいいです。俺、結構独占欲強いんですから。覚悟しておいてください」

何の覚悟をすればよいのだろうか?独占欲の強い岬と付き合うことか?それとも浮気をしたときか?
前者なら受けて立つ覚悟はあるが、後者は・・・考えたくもない。

そんなことあるはずがない・・・と考えている時点でアウトなのか。


「覚悟ねぇ。俺も見くびられたものだ。まったく、人が浮気するかのように言いやがって・・・。
まぁ、いい。そこまで言うんなら・・・これからは絶対逃がさないからな。もし俺のいない間に浮気したら・・・犯すからな」


岬が浮気するとは到底思えないが、自分だけ言われてばかりなのも何だか癪だ。少しくらい脅しておいても罰は当たらないだろう・・・そんな気持ちで聞いたのだが、岬の答えは想像を絶するものだった。



「じゃ、浮気しよっかな・・・」



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