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「よかった・・・認めてもらって・・・」
美中年を肴に等と言って結局頼子も飲みに行ってしまい―正確には仲のいい二人を邪魔しにいくためなのだが―家には二人が残された。
心臓が破裂するかもしれないようなことばかり続き、息をつく暇もなかったが、何とか無事に双方の両親に認めてもらい、柚月は安堵のため息をつく。
「人に認めてもらうのがここまで嬉しいとは思いませんでした」
「同じだよ。でも・・・相手が岬でなかったら、そこまで嬉しくはなかったかもしれないな・・・」
万感を込めてしみじみとつぶやく柚月。岬も相槌を打つ。出会ってからここに着くまでに、本当にいろいろなことがあったと思う。
まさか自分が柚月と知り合うことになると思っていただろうか?この男を大切に思うようなことになるだろうと思っていただろうか?
柚月がやんわりと抱きしめてきたので、岬もゆっくり抱きしめる。柚月の腕がわずかに震えていたので、彼が不安に思っていたことを察する。
(普段はかなりの自信家なのに・・・)
そんな柚月を見て苦笑する岬。岬がかかわると、いつもの『生徒会長』は一人の恋する男になる。
最初はそれが困ったけれども、今はそれがとんでもなく嬉しい。岬は柚月にとって特別であることが、誇らしくてならない。
「先輩・・・好きです」
今の気持ちを素直につぶやいたのだが・・・意に反し柚月が固まった。
「どうしてそこで固まるんですか・・・」
せっかく人が気持ちを口にしたのに・・・そんな不満を柚月にぶつけると、わざとらしく咳払いをする。その顔は微妙に赤みがかかっていた。
「はじめて聞いたな、その言葉」
「そうですか?」
とぼけてはみたが、それについては岬のほうがよく分かっていただろう。今までのらりくらりとごまかし続けてきたのだ。
まったく言っていないわけではないような気がするが、こうやって気持ちをこめて口にしたのは、初めてかもしれない。
「そうか・・・別にいいか」
「ですよね」
今言ったのだから・・・岬は柚月を抱きしめ、柚月は岬を抱き返す。柚月の暖かさが伝わり、岬は幸せに浸っていた・・・。
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