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岬は柚月に全てを任せることにする。完璧に主導権を明け渡すことに抵抗がないわけではないが、柚月が相手なら別にかまわなかった。
もっとも、男とセックスなどしたことがないからそうせざるを得ないという事情もあるにはあるのだが。




「足、開いて・・・」



穏やかな口調で柚月が指示する。言われたとおり開くと・・・。

(かなり、恥ずかしいかも・・・)

複雑な思いで柚月を見つめる岬。今まで誰にも見せなかった・・・秘中の秘である場所を見せるのだ。居心地が悪くて仕方がない。
自分自身を見せるのは不思議と抵抗なかったが、こればかりは勝手が違った。


「綺麗だな・・・まだ使われてないようだ・・・」

『当然でしょうが!』即岬は突っ込みを入れる。何が悲しくて普段出すために使う場所をそれ以外の目的で使うのか?
相手が柚月だから辛うじてそれを許せるのだ。じっくり見ないでほしい・・・ムードのない空気に頭を抱える岬。


「そうか・・・それなら俺が最初の一人なんだな・・・」

感慨深げに柚月は頷く。だからその話題には触れずにさっさと最初の一人になればいいのではないか・・・そう言おうとしたのだが、よくよく見ると柚月は震えていて・・・緊張を隠していることを察する。



(別に隠さなくてもいいのに・・・)



またもや取り繕って『余裕たっぷり』の男になっている。別に岬は何でもできる『完璧』な『生徒会長様』だけが好きなわけではないのだ。
一人の男のことでここまで迷う彼のほうが好きなのだ。
だが、それは柚月なりのプライドなのかもしれない。好きな相手にはいいところを見せたい・・・そんな柚月も柚月なのだ。
そう結論した岬は、考えるのをやめ、柚月に身を預けることにする。が、肝心の柚月は岬を置いてどこかに行ってしまう。


「え、何・・・ソレ?」

しばらくたって戻ってきた柚月が持ってきたのは、ボディーソープ。まさかここで洗いっこするのか?そんなボケた事を考えたのだが、そうではないようだ。

「何かつけないと痛いからな。まぁ・・・後でヒリヒリすると思うが、ないよりはましだろう」

要は、それを後ろに入れるというわけだ。

「えっと・・・もう少しマシなものは・・・」

「文句言うな。俺だってまさか今日するとは思わなかったんだ。ってか、あの場で持ち出すこと自体無茶だろう」

『確かに』岬も苦笑する。いずれこうなるだろうことはわかっていても、今日することになるとは思いも寄らなかった。
いろいろとごたごたしていて、親に認めてもらうことしか考えていなくて、そこまで考える余裕もなかったのだ。


「そんなことはどうでもいいだろう・・・いいかい、岬?ここから先は本当に俺も止められないからな。嫌だと言うのは今のうちだぞ?」

と、最後に念押しをする柚月。

「ったく、こういうときに限って先輩ってヘタレなんだから。何でもう少し強気にいかないんですかね。そんなこと言ってると気が変わりますよ」



それはすなわちOKのサインだった・・・。





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ボディーソープが入ってくる・・・それを覚悟して目をつぶる岬。
深呼吸しながら受け入れるのを待っていると、後ろに当たったのは何とも言えぬ、生暖かい感触だった。
それは決して岬を侵すことはなく、入り口でさまよっている。つつ・・・と過ぎたかと思えば、一本一本ひだを探るようにして動き、岬を惑わせる。
何だろう・・・いや、本当は気づかないはずはないのだが、認めたくなかった部分もあった。快感というわけではないが、不快でもない、言葉に表せない妙な感触・・・目を開いた途端、岬は一気に凍りつく。




「え、汚い・・・!」



やはり・・・というか、それ以外想像できなかったのだが、柚月が岬の股に顔を埋めている。



「別に・・・岬のだから汚くないだろう」



顔を上げ、柚月はあっさりとこんなことを言ってのける。ただ、そこは仮にセックスで使ったとしても、なめるところではないだろう・・・というか、なめる必要はないのだ。濡らすのなら、別に指に唾液をつけたって問題はないのだ。

「いや、俺にとっては問題あるわけで・・・」

「細かいことは気にするな」

岬の不満はあっけなく一蹴される。そういえばこんな人だった・・・あきらめの境地に達した岬は抵抗をやめ、大人しくなる。

「いい子だ。もう少し我慢して」

「ん・・・」

大人しく身を任せる岬。それに気をよくしたのか、柚月は今度は音を立てながら刺激する。ねっとりと、いやらしく、わざと岬に聞こえるようにしているようだ。

「何か・・・変な感じ・・・」

話によると、男同士でも感じるらしい。前立腺を直に刺激するため、ダイレクトに快感が得られるようだ・・・が。

「大丈夫。そのうちよくなる・・・」

「というか・・・その・・・するなら早くしてくれたほうが・・・」

むずがゆくて困る。このどっちつかずの状況から開放してほしい。気持ちよければ問題ない・・・だろうし、痛ければ痛ければでそのときに考えればいい。

「あぁ・・・早く入れてほしいというわけか」

「え?」

「それなら・・・おねだりしてごらん?『入れて』って」

根本的に何かが違う・・・困惑する岬。だが、柚月はやる気満々であるらしい。

「というか、先輩が入れたいんじゃないんですか?」

と、話をそらす岬。するとあっけなく柚月は肯定する。

「そ。ちょっと俺も限界なんだ。と、いうことで、入れていい?」

「いいよ、先輩。俺も早くあなたがほしい・・・」





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彼とひとつになる・・・想像を絶する圧迫感に、顔をゆがませる岬。異物の侵入は容易いことではない。
早く入れてほしいのに、『こうしないと痛いから』と、嫌がる岬を無視して柚月は指で散々岬を弄ったのだが、普段出すために使うその器官は予想通りなかなか柚月を受け入れず、吐き出そうと試みてしまう。


「岬・・・力を抜いて・・・」

「む・・・無理かも・・・どうすればいいの・・・先・・・輩」

力を抜こうとすればするほど、逆に力がこもってしまい、柚月を拒んでしまう。そして、そんな焦りがさらに岬を焦らすことになる。

「時間はあるから、焦るな。ちょっと・・・ここ動かして」

自分を受け入れるイメージでぴくぴくさせて・・・そう命じる柚月。あまり想像はできなかったものの、岬は岬なりに努力して動かす。

「こう・・・ですか」

「そ。それでいい。痛いかもしれないけど、ちょっと我慢して・・・」

「くっ・・・」

岬が動くのを見計らって、柚月は少しずつ体を沈みこませる。

「い・・・痛・・・」

「いい子だから、もう少し我慢して。ちょっと動かせる・・・?」

『ん・・・』言われるままにそこを動かす岬。滑りやすくなっているためすんなりとはいかなかったのだが・・・内側に力を入れたときに、一気に柚月が入り込む。



「・・・あぁっ!!」



鈍い音を立て、柚月が突いてくる。それは生まれてはじめて味わう、文字通り串刺しにされるような痛みだった。



「っ・・・入ったよ・・・岬・・・」



優しい声であやす柚月だったが、岬は肩で息をするのが精一杯だった。
早くこの痛みをどうにかしてほしい。
ただでさえ頭の中が熱くなって何も考えられないのに、更に気が狂ってしまいそうだった・・・。



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