女幹部というのは清洲純子。ストレートな髪と女子にしては高い身長で、客観的に見ればかなりの美形なのだが、恋愛には全く興味がなく、悪巧みを生きがいとしている、まさに悪の組織の女幹部のようなやつである。
ライバル
() ではないらしく、歩も彼女には比較的なついている。






「女幹部・・・いい響きだな。夏目くんのボタンだったら私だって欲しいぞ」





「え!!」

まさかそんなことが!俺も含め一同驚く。そんな事は気にしていないようで、秘密結社の女幹部が続ける。

「今日は卒業式だよね。だから決めたの。私、夏目くんに初めてをあげることにしたの・・・だから、今日の夜いい?」

「冗談だろ?」

「ばれたか」

舌を出して笑う。冗談だとしても、実に恐い。本気だったらなおさら悪い。彼女がそういうことを言うと、裏に数々の謀略があるような気がするのである。俺だけでなく、クラスの皆さんも同じことを思うだろう。



「それより・・・お前も俺のボタン欲しいのか?」

女幹部はにやりとしていった。

「勿論だとも。夏目くんのボタンは女子生徒および、一部の男子生徒の中で高額取引されることは目に見えてるからな。さらに夏目くんの鑑定書があれば値段は一気に跳ね上がるのだよ」

「そうなのか?じゃあ、売り上げの半分で手を打たないか?もとは俺のだからそのくらい当然の権利だと思うが」

するとしばらく考え込んでから言う。

「第二ボタンは既に失われているし、半分もってかれるからちょっと辛いけれど、それでもかなりの儲けになるからそれで手を打とう」

これで俺と清洲の同盟が成立した・・・と思った。だけど、清洲が呆れながら言う。

「ん・・・確かにその話題を持ち込んだ私も悪いが、お前ものりすぎるのはどうかと思うぞ・・・」



清洲が指差した方向を見ると、歩が烈火のごとく怒っていた。



「夏目ー、いい加減にしてよね。清洲も清洲だよ。僕の夏目に何てことを!」

「やっぱり子供の独占欲は健在か。別にいいじゃないか。お前らはいつでも会えるが私は機会がほとんどなくなるからな・・・」

清洲はいとも簡単に歩をあしらった。俺たちと清洲は高校が違うのだ。だから、会う機会も自然となくなってしまう。そう思うと少し寂しい。

「デートのときはたまには誘えよ。じゃ、また会う日まで・・・」



そう言って清洲は去っていった。そろそろ人も少なくなってきたので、俺たちも学校を後にすることにした。



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