「・・・はい」
家についてから第二ボタンを取って、約束どおり歩にあげた。
「ありがとっ。大事にする!」
大事にするって・・・そんなものを大事にしてどうするんだか。使い道はないのに。まぁ、歩が喜んでくれるのは嬉しいけど。
「ところで、これから空いてる?僕の親たち、せっかくの日なのにどうも帰ってこないみたいなんだ」
「空いてるけど、どうする?泊まろうか?一人なんでしょ?」
すると歩は喜んで、俺に抱きつく。
「やった!そうしてくれると嬉しい!あ、でも無断外泊はまずいから言ってきてね。僕はいつものとこで待ってるから」
それから俺は家に帰って親に歩の家に泊まるということを言ってきた。
慣れている親は、文句言わずに、非常に快く許してくれた。
それどころか、いっそのこと同居してしまったら?なんて言う始末である。
さすがにそれはいろいろとまずいので笑ってごまかし、俺は歩の家に戻った。
いつものところといえば怪しい響きはするのだが、何のことはなく、歩の部屋なのである。そこに向かうと彼はベッドに座っていた。隣に座るように促してきたので俺は言われるままに座った。
「キスして・・・」
歩がねだるので、俺は言われるままにキスをした。いつもはまず逃げるけど、今日は俺もしたい気分だった。
最初はついばむだけの軽いものだったけど、段々それが深いものに変わっていく。
歩の顔も赤みを帯び、段々と色っぽいものと変わってくる。口からかすれた官能的な声が漏れてくる。
どうやら感じてくれているようだ。それが嬉しい。名残惜しげに口を離すと、歩がその顔で言う。
「今度は僕の番だね。夏目、脱いで・・・」
俺は上を脱ぐ。前は歩がしていたんだけど、恥ずかしいから断固拒否をしたところ、自分で脱いでもいい事となった。
上半身裸になると、歩は俺の体をゆっくりとベッドに寝かす。そして俺に赤い跡をつける。
「ん・・・」
俺の口から声が漏れる。それに気をよくしたか、歩が俺の各所に跡をつける。
やわらかい快感が俺を襲う。それはそれで気持ちいい。だけど、何かじれったい。
不満そうな目を向けると、歩はやっと望みの場所を攻めてきた。俺の乳首を手でいじってくる。
気持ちいい・・・。俺は歩の与えてくれる快感に身を任せていた・・・。
恋人同士じゃないけど、俺たちは時々こういうことはやっていた。いつから始まったかは恥ずかしくて口には出せないけど。冗談半分で「そういうことをしたらまずいかも」と言ったら、歩のほうは何故か乗り気で、なし崩し的にやることになってしまった。立場が逆のような気がするのは気にしないで欲しい。最初は気まぐれで上下を変えていたけれど、最近は俺も下のほうで慣れてしまったから・・・。
しばらく前のことを思い出していたが、突然の刺激に俺は身をよじる。
「あん・・・・」
世にも恥ずかしい声を出してしまった。俺は恥ずかしさでいっぱいだった。歩は悪逆な笑みを見せる。
「へ〜男でもこんなところ感じるんだ?」
知ってるくせに・・・お願いだからそんな事聞かないで欲しい。恥ずかしくてたまらない。歩はそんな事はお構いなしで俺の乳首を甘噛みし続ける。
「んぁ・・・」
俺には質問に答える余裕はなかった。それだけ歩に翻弄されていた。だけど・・・しばらくするとその快感が辛いものとなってくる。まだ先に進まないのか・・・。しばらくそこから進む様子がないので、俺はついお願いしてしまった・・・。
「歩・・・こっちも・・・」
俺は自分のものを指す。歩のほうも気付いてくれたようで、乳首への刺激をやめ、俺自身を扱く。
「あ、あ、あ・・・・い、いぃ」
桁違いの刺激に俺のほうも理性が飛びそうになる。
歩は手は動かしているものの、嬉しそうに俺の顔を見ている。俺はその飛びそうな理性を総動員して言った。
「あのさ、恥ずかしいから俺の顔見ないで欲しいんだけど・・・」
「なんで?フェロモン全開の夏目って結構可愛いよ?僕がそんなの見逃すわけないじゃない。勿体無い」
うっ・・・。そんなこと言われても困るんですけど。
俺は穴があったら入りたいほど恥ずかしかった。だけど・・・歩が喜んでくれるならそれも仕方ない。
歩に全てを任せてしまおう。ここで俺の理性は砕け散った。貪欲に歩のくれる快感を受け止めた。
「あぁ・・・もっと・・・・」
それに答えてくれるかのように歩は激しく上下する。俺は自分の乳首をいじろうとしたけど、歩に止められた。
「僕の仕事奪っちゃダメだよ」
そう言って再び乳首をかまれる。俺は上下両方の刺激を与えられ、淫らな声をあげる。
「あ、あ、あ、気持ち・・・イィ・・・」
ここまで来ると俺の口から喘ぎが出るのをとめることができなかった。
「あ・・・あ・・・あぁぁぁぁ!」
実にあっけなく俺は頂点まで上りつめてしまった・・・。歩はあれで汚れてしまった俺の体を拭いてくれる。
「ごめん・・・歩の手を汚しちゃって・・・汚いのに」
すると歩は必死に否定してくる。
「夏目のだから汚くないもん。それより・・・ここから先どうする?僕としては夏目に入れてもらうのがベストなんだけど、もしそれがいやなら僕のほうが入れてもいいよ?自信はないけど・・・」
俺は苦笑した。どうやら彼はやる気満々らしい。
「さすがにそれはまずいでしょ。ここまでなら親友同士ならやる人はいるかもしれないけど、ここから先はいくらなんでも冗談にならないよ?」
そうなのである。俺たちが恋人同士なら何も問題はない。
だけど俺達はどんなに親しくても親友同士であるため、これ以上続けるわけにはいかないんだ。
その上、歩には好きな人がいる。もし最後の一線を越えてしまったら、その人と会ったときに歩はきっと俺としたことを後悔するだろう。
もしそうされれば、俺は今度こそ立ち直れなくなる。
だから、そうなる前にやめておかなければいけない。思春期の過ちですます(俺自身はそうしたくないんだけど)ことのできる段階で・・・。
歩のほうは納得がいかないような顔をしていた。だけど、しばらく考え込んだのか、残念そうに言う。
「僕としては最後まで行きたかったけど、夏目がそういうのならそうしたほうがいいのかもね・・・」
そう言って俺に寄りかかってくる。しばらくその状態でいたが、俺は一言。
「服着ていい?」
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