第1話・「さらばウルトラマン」


 
 まあ、始まってしまったからには仕方が無い。
 我々は適当に近所のイベントへリサーチというかマーケティングというか何と言うか、そういっ
たものを行いに出かけた。

 で、まぁわざわざ行かんでも分かることなのだが、日本国憲法では性別が女性に分類される
方々ばっかしであった。
 それでも、当時の私らは若い。きっと即売会にはみつみ美里が描いたような人々であふれて
いるのであろうと信じていたのだ。ついでに電話しただけで大手作家さんがゲスト原稿を寄稿し
てくれるものだとも。

 だが、現実は、えっと、まあ、あれだ、あれ。

 世界は弱肉強食、弱いものは常に強者から肌を喰い千切られ、肉を噛み砕かれ、血を啜ら
れ、内臓を引き千切られ、骨をしゃぶり尽くされ、脳と髄液をストローで吸われ続ける。それが
現実の世の中である。
 だが、真っ白い地平の向こうからやってきたあいつの影が、篭るだけではだめだ。と、挫ける
俺に教えてくれた。
 俺達と、現実との戦いが始まったのだ。色々な意味で

 さて、皆様は『ベルリン天使の詩』という映画を覚えておいでであろうか?ちなみに私は覚え
ていないのだが。
 そのラストシーンはこんなものであったと思う。
 「気の強いバカ女の世迷いごとのような愚痴を天使(ハゲた薄汚いおっさん)が嫌な顔一つせ
ず相槌を打ちつつ聞いてあげる。これが、人間として生きていこうとする天使が見つけた正し
い生き方であった。」

 つまり、一部の漫画家さんがメジャーな出版社から作品を発表させてもらえない時代に可愛
い女の子の裸を描かなければならないのも同じだ。
 
 媚びれ。

 決意のときは来た。
 
 我々は、プライドをドブに投げ捨てた。
 描くぞ!女性向け同人誌を!!




             モドル      〈続く〉